第49話:二人の一撃
「取り巻きは私に任せて。二人はクイーンをお願いします」
メラニーの言葉に俺とルシュは頷く。
メラニーが右手を前に突き出すと、10センチほどの氷のトゲが無数に現れた。右手を横に払うと、氷のトゲがグアンプ達に向かって飛んでいく。
取り巻きのグアンプ達は氷のトゲに貫かれ、次々と地面に落ちる。グアンプクイーンにもいくつか刺さったが、クイーンは依然健在でこちらに向かってくる。
「行くぞ!」
メイスを握り締め、クイーンに向かって駆ける。クイーンは他のグアンプをただ大きくしただけではなく、胴の横幅が広く、身体に対してのアゴの割合も大きくなっている。
このアゴに噛み付かれたらただでは済まないだろう。
だが俺に出来るのはただ武器で殴る事だけだ。
「うおぉぉ!くらえ!」
クイーンの頭に向かって思い切りメイスを振り下ろす。
メイスがぶつかり、高い音が鳴った。
俺の振り下ろしたメイスはクイーンのアゴに受け止められていた。
「ぐっ!」
さらに押し込もうと力を入れるが、これ以上腕が進まない。
完全に拮抗している。
下手にメイスを手放してアゴを自由にすれば、俺の命が危ない。
そのままにらみ合いが続き、膠着状態に入ったと思った瞬間、
クイーンの体がとてつもない勢いで下に落ちた。
ルシュが飛び、両手で持った棍棒でクイーンに渾身の一撃を繰り出していた。
その衝撃でルシュの手に持った棍棒が折れる。
「ルシュ!」
ルシュの一撃を受けたクイーンが地面に落ちる。
頭部は大きく凹み、ほとんど身動きが出来ない状態だ。しかしまだ生きている。
「来い、棍棒!」
クイーンのアゴに挟まれた鉄のメイスが消え、スパイクの付いた鋼のメイスが俺の腕に現れる。
「これで終わりだ!」
鋼のメイスの一撃でクイーンは完全に沈黙した。
「終わった……か……?」
動かなくなったクイーンを見下ろす。
「ルシュ、大丈夫か?」
隣に立つルシュに目線を向けると、大きく肩を動かしていて疲労困憊である事が分かる。
ただ衣服は泥や草で多少汚れてはいるが、グアンプの攻撃を受けた様子はない。
服が汚れ傷だらけの俺と比べると非常に綺麗だった。
ルシュなりに全力で戦った証が疲労だけというのが、改めてこの子の身体能力を物語っていた。
「ありがとうルシュ、助かったよ」
ルシュが頷くのが分かる。
後ろにいるメラニーに振り返る。
「村長、おわ……」
と言いかけた瞬間、突如頭上から大きな羽音が聞こえた。




