第47話:羽音の先にあるもの
俺達は集落で休憩し、昼食をご馳走になった後、オークの男ブロズの案内の下、森の小道を進んだ。
「私が案内できるのはここまでだ、すまない。この奥にグアンプの巣がある」
ブロズが俺達に向かって話しかける。
「ありがとう、後は任せてください」
メラニーの言葉にブロズは申し訳なさそうに頭を下げた。
「では行きましょうか」
メラニーの言葉と共に、俺達は奥に踏み込む。
***
「ルシュ、大丈夫か?」
俺は隣を歩くルシュに声を掛ける。
集落に着いた時、ルシュには疲れが見えていた。
精霊の広場でも少し調子が悪そうだったので、体調が気になっていた。
「うん、もう大丈夫」
ルシュの声には疲労感はない。
「二人ともゆっくりしていて良かったのよ」
メラニーが話しかけてくる。
「いや、そういう訳には」
「メラニーだけに任せられない」
俺とルシュが同時に答えた。
集落で今回の魔獣退治を引き受けた時、村長は一人で良いと言った。
流石にそういう訳にはいかないので俺は同行を申し出て、ルシュもそれに続いた。村長が苦笑いしていたのを思い出す。
少し歩いた時だった。
「何か聴こえる……!」
ルシュの言葉を聞き、耳をすませると羽音のような音が聞こえる。
その音は徐々に大きくなっていき、
「っ!」
ルシュが落ちている石を音の方向に投げた。
石の飛んでいった方向からグシュっと何かが潰れる音がする。
俺は音のした方向に進んで確認する。羽音は既に止んでいた。
「コイツがグアンプ……」
そこには20センチほどの大型の昆虫が地面に転がっていた。
大きな羽と3、4センチほどのアゴを持っている。
針がなく、アゴの出っ張った不細工なハチみたいな外見だ。
ルシュの投石によって腹の部分が潰れている。
グアンプは巣を作りそこに群れる虫型の魔獣で、習性はハチを彷彿とさせるものがあるらしい。
単体の危険性は低いが、数が多いので脅威となるようだ。
以前の俺だとこんなサイズの昆虫が現れたら悲鳴を上げていただろうが、今は少し驚く程度だった。
この世界に来てから色々と慣れすぎている気もするが、これも適応というやつだろうか。
「これは斥候役ですね、ここから先は大量のグアンプがいます。
注意していきましょう」
メラニーの言葉に俺とルシュは頷き、更に奥に踏み込んだ。




