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第46話:トレントの集落と迫る魔獣の影

 大木に扉は無く、高さ10メートルはあろうかという入り口があった。


 大木の中に入ると、ひときわ大きなトレントの姿が目に入る。トレントが奥に構え、手前にはテーブルがあり、それを囲うようにゴブリンが2人、オークが1人いた。


 中は木をくりぬいたような構造かと思っていたが、違った。壁になっている部分は全て木の根で、木の根に囲まれた空間がこの場所になっているようだ。テーブルと椅子の他にも木製の棚や麻袋が壁に掛けられていて、ここに暮らす魔族達の生活の場である事が伝わってくる。


「長老さん、皆さん、こんにちわ」


 メラニーが挨拶する。


「こんにちわ」


 俺とルシュも続いて挨拶した。


「これはメラニー殿、お連れの方々も良く来てくださった」


 年季を感じさせる、少々聴き取り辛さのあるしゃがれた声だった。奥の大きなトレント、長老が喋ったのだろう。


「干しクレウィが美味しく出来上がったので持って来ました。皆さんで召し上がって下さい」


 メラニーの言葉に続いて、俺とルシュはクレウィの袋を下ろしてゴブリンとオークに手渡した。


「おーこれは美味しそうだ、ありがとう」


 オークの男に礼を言われる。


 軽く挨拶を済ませたところで椅子をすすめられ、俺達三人は腰掛けた。ゴブリンの一人がお茶を出してくれる。


 一口お茶を頂いたところで、村長が口を開いた。


「ところで、何か問題がありましたか?」


「そうなんだ。実はこの集落の近くに魔獣が住みついちまって……」


 ゴブリンの一人が答える。


「我々じゃどうする事も出来ないんだ、情けない話だ」


 オークが続けて言う。


 そういえばアステノにはテオックやラピドをはじめ、多少の魔獣なら対応できる村人達がいる。

 そのおかげで今まであまり意識していなかったが、全ての集落がそうというわけではないのだろう。


 今回村長が呼ばれたのは魔法が使えるからという事なのだろうか。

 普段の立ち振る舞いからは荒事が得意な様には見えなかったので、少し意外な気がした。

 この人はどこまで出来るのだろう。


 ルシュを見ると、長老トレントに興味津々な様子で様子を伺っている。

 長老トレントはルシュの様子を見て表情を変えた。

 少し微笑んでいるようにも見える。


「メラニー殿、度々こうやって頼ってしまって申し訳ない」


 長老トレントをはじめ、集落の住民達も申し訳なさそうな様子だ。


「いいえ、こちらもいつもお世話になっているのですから。お任せくださいまし」


 村長は微笑んで答えた。頼られる事を厭う様子が全くない。

 メラニーという人はこの森の広い範囲で顔が利き、信頼を積み重ねてきた人なのだと改めて感じた。


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