表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/77

第38話:空から帰ってきた日

 陽が傾き始めた頃、アステノでは村人達が帰路に付く中、ラピドとアルデリンの姿があった。


「助かったよラピド、僕だけじゃちょっと重くてさ」


「別にどうってことはない、テオックとヨウヘイが戻って来たら飲むぞ」


「ああ、うん、そうだ……ね?」


 空を見ているアルデリンの様子を不審に思い、ラピドが尋ねる。


「どうした?何か見えるのか?」


 ラピドもアルデリンの見ていた方向を眺め、それに気づく。


「おい、なんだありゃ!?」


 空に見えるのは西日を背にした大きな黒い影。大きなその影は次第に村へと近づいてきている。他の村人達も次々に気付き、村が騒然とし始めた。


 そして遂に村の上空に差し掛かり、そこで移動をやめた。


 巨大な影の正体は、白い角と青白い肌をした竜だった。


「おーい!」


 竜から声がした。村人達に向かって呼びかけている。


 竜は少しずつ地面に降りてきている。その背に二つの人影が見えた。


「テオック!ヨウヘイ!」


 アルデリンが声を上げる。


「じゃあもしかしてこの竜は、ルシュか?」


 竜の姿に圧倒されながらも、ラピドが呟く。


 陽平とテオックは竜の背中に乗っており、竜の腕にはラズボードが掴まれていた。


 ***


 竜の背から陽平とテオックが降りる。

 直後に竜が光に包まれ、薄緑の髪色の少女の姿になった。


「ありがとう、ルシュ」


 俺がルシュに声を掛けると、ルシュは少し笑って頷く。


 ラピドとアルデリンをはじめ、遠巻きに見ていた村人達が近づいてきた。


「何事かと思ったよ、びっくりした~」

 アルデリンが心底ホッとした様子で言う。


「なんだよ、お前らルシュが竜の姿してる時を見てるんだから、そこまで驚く事ないだろ。

 俺達は初めてだから滅茶苦茶驚いたけどな」


 テオックの冗談めかした言い方に対して、


「まさか竜の姿で帰って来るとは思わねえよ、違う竜かもしれないしな」


 ラピドが笑いながら答える。確かにそれはそうだ。


 安心した村人達の注意が、ルシュが掴んでいたラズボードに向く。


「それにしても、このラズボード大物だねえ」

 村の調合屋のゴブリン、ミックが感心しながら言う。


「凄いだろ、ルシュがやってくれたんだぜ」

 自分の事のように誇らしげにテオックが語る。


「今日はこのラズボードで宴だ!」


 テオックの言葉に周囲が沸いた。

 これは俺達三人が帰ってくる間に決めた事だった。

 功労者であるルシュが何よりもそれを希望していた、結晶を見つけた時と同じ、あの満足そうな顔で。


 俺達がラズボードを見ながら会話していると、後ろから声を掛けられる。


「お帰りなさい、ルシュ、ヨウヘイ、テオック」


 振り返るとメラニーがいた。この騒ぎで広場に出てきていたようだ。


「村長、ほらこれ凄いでしょ!」


「ただいま戻りました、村長」


「メラニー、ただいま」


 ルシュはすっかりメラニーと打ち解けている。メラニーはルシュの頭を撫でながら告げた。


「それでは宴の準備をしましょうか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ