表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/67

第17話:新たな出会いと戦いの予感

 マーテンでの二日目を終え、三日目はアステノに戻る事になった。


 マーテンの東から街道に出て、宿場へ向けて歩き始める。

 行きとは逆方向に進む道は不思議と少し短く感じた。

 旅人とすれ違いながら、俺は昨日の出来事をテオックに話した。


「ほ~、物好きなじいさんがいるもんだな。俺はアステノとマーテン以外の場所なんてほとんど行った事ないぞ」


 そういえばリユードとリヨの種族については分からず仕舞いだった。

 テオックなら分かるだろうか。


「なあ、リユードさんとリヨさんの種族なんだが、灰色の肌に白髪と長髭で、あとリヨさんは青白い肌に角があって……」


 俺の言葉にテオックは視線を上に向け、少しの間考えるそぶりを見せる。

 そして俺に向き直った。


「ん、ああ、多分魔人だろうな。

 魔族の中でもこれといった種族に当て嵌まらず、人族に近い姿をしてるんだよ。

 まあ俺からすれば人族の姿が魔人に近い、だけどな」


 魔人は魔族の中に属していて、他の種族のようなはっきりとした境界がないらしい。

 一口に魔人と言っても姿形から能力に至るまで全く違うそうだ。

 定義が出来ないからこう区分されているのかもしれない。


「しかしリユードねえ、どこかで聞いた事があるような……」


 テオックは少し考え込んでいたが、やがてどうでもよくなったようで話が流れた。

 リユードが名の知れた人物という事はあるのだろうか。

 それ以上は追及しなかったが、少し引っかかりが残った。


 ***


 宿場には昼過ぎに着いた。


 まだ時間としては早いが、ここからアステノまでは距離がある。

 今日はここで一泊して翌日に出発する事になる。


 テオックは「疲れたー」と言いながら早々に部屋に入って寝てしまった。

 旅慣れているようで意外に疲れが出るらしい。

 あるいは単純にマーテンで飲みすぎたのかもしれない。



 一人になった俺は、宿場の付近を散策したり、宿の酒場で軽食を食べながら過ごした。

 喧騒のないこの小さな宿場は、マーテンの賑わいとアステノの静けさの中間にいるような感覚があって、悪くなかった。


 夕食を済ませた後、俺とテオックは酒場で呑んでいた。


 宿場の酒場は木造のテーブルと椅子が並べられているだけのシンプルな造りで、俺とテオックしか客がいないせいか、酷く閑散とした印象を受ける。

 昼間も他に客を見かけなかったから、この宿の宿泊客は俺達だけかもしれない。


 一杯目のリキュールを飲み終えようとした時、酒場の扉が開いた。


 入ってきたのは一人のオークだ。酷く焦った様子で、俺達を見つけるなり真っ直ぐ歩み寄ってきた。


「テオックとそこの人族の冒険者、悪いけど手伝ってくれないか!?」


「あんた隣の宿の……どうしたんだ?」

 テオックが答える。何度か宿場を使っているからか、顔見知りのようだ。


不死者アンデッドがここに向かってきてる!」


「へ?アンデッド?」

 思わず聞き返してしまった。


 ***


 気付けば宿場の外、柵の前に数人の人影が集まっていた。暗がりの草原を見つめている少年が静かに口を開く。


「居るのはスケルトンだけだね。数は……人型が14、大型が3、獣型が4で21体……」


 俺の目からは地平線の方に白い何かがある程度にしか見えない。

 テオックも隣で目を凝らしているが、よく分からないようだ。


 少年が振り返ってこちらを見る。


「あれ?人数これだけ?」


 この場にいるのは俺とテオック、正面にはこの少年とその隣に立っているヒゲ面の男、俺達の右手側にリザードマン。

 その後ろに不安そうな面持ちのオークが2人とお年寄りのオーガが立っている。お年寄りのオーガが俺達の泊まっている宿の主人で、オーク2人は他の宿の主人らしい。実質的な戦力としてカウントされているのは、俺とテオックを含めても5人しかいない。


「俺一人でも余裕だぜ」

 少年の隣のヒゲ面の男が言う。


 その言葉を聞いてから少年がすぐ返す。

「いや、あの数はいくらエルカンでも無理だろ……」


 少年とヒゲ面の男が話し合い、リザードマンが無言でその光景を眺めている間、俺はテオックに小声で尋ねた。


「テオック、スケルトンって骸骨の事か?」


「ああ、そうか、アンデッドの話ってしてなかったな。

 スケルトンは骸骨だな、魔族や動物や魔獣の骨が動くんだよ。アンデッドは見境なく襲ってくるから危険な連中だ」


 アンデッドは他にもゴースト等がいるらしく、魔獣と並んで危険な存在らしい。

 元の世界でそんなものと出くわしたら恐怖で震え上がる自信があるが、不思議と今は何とも感じない。

 これが慣れというやつだろうか。それとも酒が回っているだけか。


「なあ冒険者達、大丈夫なのか?スケルトンは今ここに向かってきてるんだけど……」


 俺達を呼び出した隣の宿の主人が話しかけてくる。

 緊張感なくテオックと話し込んでしまっていた。


「ん、ああ、10分くらいは余裕あると思うよ」

 少年が答える。


「でも取り敢えず作戦立てようか、君達も良い?」


 少年が俺達とリザードマンに話しかけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ