第114話:ルシュ、がんばる!!!!!!!!
荒れ地の中にある小高い丘陵地帯、ツィエンの丘を前に私とチティルは佇む。
「さて、周囲には魔獣の姿はないね……
いつ出てくるか分からないから、出来るだけ早くサキスの種を見つけたいね」
「うん」
チティルの言葉に私は頷く。
サキスの種は見つかるだろうか。
サキスの種が採れるサキスの草については、マーテンの薬屋で絵を見せて貰って把握している。
視界の中には所々に草木がある。その中にサキスの草があれば良いんだけど……。
「それじゃあ、手分けしよっか」
チティルと私はそれぞれ別の草木を調べる事にした。
……
丘を徐々に登りながら草木を調べていく。
色んな形状の草花があるけど、サキスの種は見当たらない。
私が何か所か目になる草木を調べ終えた時、チティルが傍に飛んできた。
「見つかった?」
私はチティルに尋ねた。
「ううん、この様子だとルシュちゃんもまだみたいだね」
チティルが答える。
「でもまだまだ探し始めたばかりだからこれか……」
チティルがそこまで言いかけてから私の後ろを見る。
直後、私も左後方からの気配に感づく。
ガシガシといった音が聞こえる。
何か大きな物が近づいてくる、それはかなりの速さで移動し、私達の前に現れた。
その姿は、6本の大きな足で這いまわるように動く巨大な獣だった。
「ロドン……出会いたくないのが来ちゃったね……」
チティルが呟く。
ロドンと呼ばれた獣の顔には目がなく、大きな口だけが付いている。
茶色い体毛に覆われていて、ラズボードよりも大きい。そしてその脚には甲殻のように節が付いていて、とても頑丈そうだ。
目がないのに、こちらの気配を正確に捉えているようで、体全体をこちらに向けている。
「せいっ!」
チティルが先制攻撃とばかりに風の刃を飛ばす。風切り音と共にロドンの頭に小さな跡を残す。
出血はしていない。
「やっぱりアタシの魔法じゃ効果が薄い……レゾルかムーグが居てくれたら……」
ロドンはチティルに注意が向いている。
今にも動き出しそうなロドンに向けて私は身構える。
チティルが羽ばたき、私から少し距離を取り浮かび上がる。
「ルシュちゃん、ロドンを倒すのはちょっと厳しいから、ここは逃げよ!アタシが引き付けるからそのうちに!」
そう言い終わらない内にロドンが前足をチティルに振り下ろす。
すんでの所でチティルがそれを回避する。
チティルが引き付けてくれている間に逃げろという事だ。
でも……チティルを置いていけない。それに、まだサキスの種を見つけていない。
「さあ、ルシュちゃん、早く!」
ロドンがチティルに再び襲いかかる。
私は駆け出した。




