第115話:ルシュ、がんばる!!!!!!!!!
「くっ!」
ロドンの追撃をチティルは回避しようとする。私が駆けたのは後ろではなく、前。
「ルシュちゃん!?」
チティルが叫ぶ。私はロドンとチティルの間に割って入る。
薙ぎ払われるロドンの前脚を、私は両手で受け止めた。
ロドンが驚いたように一瞬固まる。
「!」
チティルも驚愕の表情を浮かべる。
前脚を受け止めた状態で私とロドンは固まる。一瞬の膠着。
「やあ!」
私は掴んだロドンの前脚を思いきり右に振る。
「ぐおぉぉぉぉ!」
ロドンの身体が浮き上がり右に引っ張られる。
「え!?」
チティルが驚きの声を上げる。私は両腕を振り上げる。
その動きに合わせ、ロドンの巨体が上に浮かび上がる。
振り上げた両腕を、私はそのまま振り下ろした。
ロドンの身体が思いきり地面に叩きつけられ、大きな音と地響きが起こった。
「うそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
チティルの叫び声がツィエンの丘に響いた。
***
「いやぁー……凄いね……」
チティルが私の傍に寄ってきた。
「確かにガワンの時もやるなあとは思ったけど、
ここまでルシュちゃんが強いなんてね……うん、凄いよ!」
パタパタと翼を振って驚きを表現するチティル。
「えへへ……」
チティルの言葉でつい嬉しくなってくる。
ロドンは私が地面に叩き付けた後、私が追撃を入れるよりも早く前脚を引っ込め、
フラフラしながらもものすごい勢いで逃げていった。
既にその姿は見えなくなっていた。
「ふぅ……」
少し疲れたので、その場に座り込む。
不意に目の前に何かが落ちている事に気付く。
「これ……」
私の言葉にチティルが反応して、私と同じ方向を見る。
「ロドンの爪と脚の殻かな……?あの勢いで叩き付けられたから取れたのかも。
高く売れると思うから、持って帰ろう!」
「うん」
少し大きいけど、持って帰る事は特に問題なさそうなので、
ロドンの爪と殻を拾おうとした時、その奥に見覚えのある植物が目に入る。
「あれ、これ……」
ギザギザに尖った青緑色の葉と茶色い茎、葉の根元には白く先端がやや尖った丸い実が付いている。
チティルも私の見つけた植物を見つめる。
「これ、サキスの草だよ!ほら、お店で見せて貰った実と同じ形!」
チティルの言葉が徐々に染み渡るように、感情がこみあげてくる。
「やったぁ……!」
朝から走り回って、何軒も断られて、荒れ地を越えて、ここまで来た。
全部、これのためだった。




