第111話:ルシュ、がんばる!!!!!
私の言葉にチティルが目を丸くする。
「ルシュちゃん本気!?ツィエンの丘はそんなに遠くじゃないけど、行くまでに結構時間掛かるし、魔獣も危険なのがいるよ?」
チティルが心配そうに声を掛けてくれる。
「うん、私はサキスの種を諦めたくないから……!」
私は心に決めている、思ったままをチティルに伝えた。
チティルは少し困った顔をして、翼を彼女の顔に添える。
「この間の事もあるし、アタシとしてはルシュちゃんがツィエンの丘に行く事にはちょっと賛成出来ないんだけどねぇ……
アタシもフォローできるならしたいけど、アタシも危ないくらいかも……」
チティルの言葉はとても嬉しい。心配してくれている事が伝わってくる。
「チティル、ありがとう。その気持ちだけでも私は嬉しい。ツィエンの丘は、私一人で行ってくるから、大丈夫」
ここまで付き合ってくれたチティルをわざわざ危険な場所にまで付き合わせたくない。
手伝ってくれただけでも十分に感謝している。
「気持ちは変わらないみたいだね。……うーん……」
チティルは瞳を閉じて悩んでいる。少し経ってから瞳を開き、
「分かった、アタシも行く。危なくなったらルシュちゃんを掴んで無理矢理帰って来るからね!」
チティルらしい言い方だと思った。でも、本当にありがたい。
「チティル、ありがとう」
私の言葉にチティルはにっこりと微笑んだ。
***
マーテン北西部に私とチティルは立っている。ここに来るまでの間、私はちょっとした買い物をしてきた。
「ここから、飛べばそんなに掛からないけれど……歩いてだと……
そうだねー……1時間くらいかな。
それくらい歩くと岩肌のごつごつとした荒れ地になって、そこに丘があるんだ。そこがツィエンの丘」
そこでチティルは少し間を置き、
「往復するだけでもう良い時間になっちゃうけど、行くんだよね?」
私に問いかけてくる。
「うん、行く」
私の返事を聞いてチティルが浮かび上がる。
「じゃあいこっか」
チティルが私に確認してくる。
「チティル」
「何?」
「私、思いきり走るから」
「へ?」
私は右足を踏み出し、思いきり地面を蹴り出す。
「!?」
チティルが驚愕の表情を浮かべる。
左足を踏み出し、思いきり地面を蹴りつけ反動で身体を前に押し出す。
踏み込んだ地面に跡を残し、私は思いきり前に進み出る。
風を受け、髪が後ろに引っ張られるようにたなびく。
「ルシュちゃん!?早い!?」
チティルが急いで私を追いかけ飛んでくる。
ヨウヘイが待っている。急ごう、私は自分を抑えることなく走った。




