表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
109/120

第109話:ルシュ、がんばる!!!

 チティルと別れ、まだ巡っていない薬屋へ移動する。

 残りの2店舗の内の遠い方にはチティルが向かってくれるので、私は近い店舗を目指す。


 あまり通り慣れない道に入ると迷ってしまう可能性もあるので、一度大通りに出る。

 次の店舗は更に西にある。ピウリは曲がり角に目印になる建物を描いてくれているので、間違えないように注意して見ていく。


「ここだ……」


 目印になる武具屋を右に曲がり、小道に入る。少し進むと小さな看板の薬屋が視界に入ってきた。


「材料、あるかな……?」


 期待と不安が入り交ざる。ここで見つからなければチティル頼みとなる。


 ……


「……」


 この店にも無かった。チティルはここに向かうと言っていた、彼女が来るのをここで待とう。


 ……


 上空から影がよぎる。


「おまたせ、ルシュちゃん」


 チティルがゆっくりと下降し、着地する。


「薬の材料、あった?」


 これが一番気になる点だ、前置きせずに尋ねる。


 私の質問に、チティルは申し訳なさそうに表情を曇らせる。


「ごめんねぇ、アタシの行った店にも無かったよ」


 結局見つからなかった。力が抜けて肩を落とす。


「でも、ルシュちゃんが行ってない薬屋、一つだけ心当たりがあるよ。

 もちろん薬の材料が見つかるかどうかは分からないけど」


 チティルの思わぬ言葉。落としていた視線が上がり、チティルを捉える。

 彼女は私の視線をまっすぐ見据えてから笑う。


「思い出したんだよね。ちょっと場所が良くないけど、折角だからね。

 ここからそこまで遠くないから、一緒に行こうか」


 一緒に、という言葉が嬉しかった。私は頷く。


 ***


 私とチティルは街の中を南西に移動していた。

 建物の様相が変わり、古びた建物や所々廃墟のようになっている建物も見受けられる。

 徐々に道に物が増え、ヨウヘイと一緒に来た事があるスラムに入っていた。


 あの時はヨウヘイが一緒だったけど……。


「こんな所にある薬屋だし、品ぞろえはあんまりよくないかなあと思ってたけど、普通の薬屋とは扱ってる物が違うかも知れないからね」


 チティルはスラムでも特に警戒する様子もなく進む。

 周辺の住民はこちらを気にしているようだが、明確に何かをする様子はない。


「チティルさんじゃないですか」


 唐突に声を掛けられた。声を掛けてきたのは道端で座っていたオーク。

 顔つきが厳ついと言えばいいのだろうか、目つきが鋭い。


「やあやあ、こんにちわ」


 チティルは特に物怖じすることもなく挨拶する。


「今日はレゾルさんとムーグさんは?」


「いないよ、今日はこの娘とデートだからっ」


 チティルの言葉を聞いて、オークが私の方を見る。


「そうですか、チティルさんなら大丈夫だと思いますが、最近この辺りでスリや強盗するような連中がいるみたいで…

 ボスも頭を悩ませてました。お気をつけて」


 オークの親切な忠告にチティルは翼を振って応える。


「おぉ、そうだったんだね、ありがとう」


 チティルの言葉にオークは頷く。

 オークは私の方にもちらっと視線を向けたが、すぐに視線を他所に移した。あまり興味がないのだと感じた。


 レゾル達はこのスラムにも顔が利くのか。

 チティルがここでも物怖じしない理由が少し分かった気がした。


 また歩き出し、数分経ったときにチティルが口を開く。


「そろそろ薬屋だよ、あると良いんだけどねー」


 その言葉の後に曲がり角を曲がると、木造で所々が蔦に覆われた、周囲と比較しても異様とも取れる建物が目の前に現れた。


「ここだよ、じゃあ入ろうか」


 チティルの言葉に頷き、建物の扉を開いた。

 どうか、ここにありますように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ