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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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第7話 「How are you」と言っただけなのに、なぜか朝廷で大騒ぎになった件

兵部尚書の屋敷を訪れた日のことだった。


書斎へ案内されると、兵部尚書は申し訳なさそうに頭を下げた。


「殿下、少々お待ちくださいませ。ちょうど急ぎ確認しなければならない書類がございまして」


書類。


その言葉を聞いた瞬間、私は思わず目を輝かせた。


書類?


この時代なら普通は奏状、公文書、軍報などと呼ぶはずだ。


なのに、今この人は「書類」と言った。


もしかして――。


私は期待を隠しながら、兵部尚書をじっと見つめた。


「……こんにちは」


兵部尚書は筆を止めた。


「……殿下?」


「こんにちは」


もう一度言う。


すると兵部尚書は困ったように眉を寄せ、窓の外へ視線を向けた。


「殿下……」


「何か問題でも?」


「いえ。ただ……現在は申の刻でございますので」


「……」


「昼ではなく、夕刻かと」


私は心の中でため息をついた。


違う。


そこじゃない。


私が確認したいのは時間ではない。


その言葉に反応するかどうかなのだ。


しかし、兵部尚書の表情を見る限り、どうやら違うらしい。


それでも諦めきれず、私は彼の机の前まで歩いた。


「ありがとう」


兵部尚書はさらに困惑した。


「殿下?」


「ありがとう」


すると彼は慌てて立ち上がり、深々と頭を下げる。


「殿下、どうかおやめくださいませ。臣の屋敷へお越しいただいたことこそ、臣にとってこの上ない光栄でございます」


……違う。


完全に違う。


私は最後の可能性に賭けることにした。


兵部尚書の目を見つめ、一文字ずつはっきり発音する。


「How are you?」


その瞬間。


空気が凍った。


兵部尚書の手にしていた筆が、空中でぴたりと止まる。


彼の顔には、はっきりと書いてあった。


(殿下……今、何をおっしゃったのですか?)


……終了。


この人ではない。


そう思った瞬間だった。


兵部尚書が突然、自分の額を叩いた。


「なるほど!」


「臣、理解いたしました!」


私は思わず顔を上げる。


「……何を?」


兵部尚書は興奮した様子で私を見る。


「殿下のお言葉は、西方諸国の言葉でございますね?」


「……」


「実は臣、最近異国の文化について研究しておりまして」


そう言うと、彼は急いで棚を開け、大量の書物を取り出した。


「こちらをご覧くださいませ!」


「西域の言語、風習、歴史についてまとめた資料でございます!」


「殿下がお望みなら、今夜一晩かけて研究いたしましょう!」


私は机の上に並べられた、見覚えのない文字だらけの資料を見る。


……惜しい。


方向性は近い。


でも違う。


兵部尚書は真剣な顔で尋ねた。


「殿下」


「先ほどの『ハワユー』とは、西域ではどのような意味なのでしょう?」


私はしばらく沈黙した。


そして静かに答えた。


「……元気です。ありがとう、という意味です」


兵部尚書の目が輝いた。


「やはり!」


「殿下は深い意味を込めておられたのですね!」


私はその場で悟った。


古代人の想像力は、現代人より遥かに豊かである。


翌日の朝議。


事件は起きた。


兵部尚書は満面の笑みで皇帝の前へ進み出た。


「陛下!」


「太子殿下は、まさに天下を見据えるお方でございます!」


嫌な予感がした。


「昨夜、殿下とは西域の言語について深く語り合いました!」


「さらには異国の文化にも精通されております!」


「臣など、まだまだ未熟でございました!」


朝堂が静まり返った。


百官の視線が一斉に私へ集まる。


私はただ思った。


違う。


本当に違う。


私は「How are you」と言っただけだ。


なぜそれが、西域文化の研究になる?


その時。


玉座の上に座る皇帝と目が合った。


皇帝は頬杖をつきながら、どこか楽しそうに私を見ていた。


その視線は長く、妙に優しかった。


最近、この皇帝はなぜか私を見ることが多い。


まるで――


ずっと探していたものを見つけたような目で。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


現代の言葉を試しているだけなのに、なぜか周囲が勝手に深読みしてしまう太子。


果たして、彼女は無事に「同じ世界から来た人」を見つけることができるのでしょうか?


そして、最近なぜか太子を見る皇帝の視線……。


皆さんは、皇帝は何を考えていると思いますか?


「もしかして○○なのでは?」という予想や感想があれば、ぜひコメントで教えてください。


面白いと思った方は、応援(♡・フォロー)していただけると嬉しいです。

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