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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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第54話 灯籠祭りで“恋敵”登場?

西華門。


俺は青みがかった直垂に着替え、髪を男の髷にまとめた。

鏡を見れば、科挙に受かったばかりの若い書生そのものだ。


小満は桃色の袄裙に白狐の毛皮を羽織り、まるで年賀絵から飛び出してきた福々しい子どもみたい。


一番ひどいのは皇帝だった。


灰色の木綿の着物に、使い古した帯。

髪もわざと少し乱していて、どう見ても落ちぶれた浪人風。


……なのに。


あの目だけは隠せない。


人混みに立っていても、ひと目で目を奪われる。


「これで“お忍び”のつもり?」


俺が呆れて睨む。


「違うか?」


「その顔がもう庶民じゃないんだよ。」


彼は顎を撫でた。


「じゃあ、顔に煤でも塗るか?」


「やめて。余計に怪しい。」

小満は俺たち二人の手を握り、ぴょんぴょん跳ねながら先を歩く。


宮城の外は想像以上の賑わいだった。


通りいっぱいに提灯が灯り、焼き栗の香ばしい匂いが夜風に乗って漂ってくる。


「べっこう飴だー!」


小満は屋台へ一直線。


「これ欲しい!」


職人がにこにこ笑う。


「お嬢ちゃん、一本どうだい?」


俺が財布を出そうとすると、皇帝が先に小さな銀貨を置いた。


「普通のじゃなくて、別の形を作れますか?」


「何をご希望で?」


「ウルトラマン。」


職人は固まった。


「……え?」


皇帝は真面目な顔で身振りを始める。


「丸い頭で、ここに二本角があって、目は大きくて、胸にこう一本線が……」


職人はますます混乱する。


俺は隣で吹き出しそうになる。


散々説明した末、職人は「たぶんこうかな……」という顔で飴を垂らし始めた。


出来上がったのは――


丸い頭にウサギみたいな耳が付いた、謎の生き物。


胸には一本だけ斜めの線。


「……これが、その“ウルトラマン”で?」


職人がおそるおそる聞く。


「そう、それ。」


皇帝は満足そうに受け取り、小満へ差し出した。


小満は三秒ほどじっと見つめ――


次の瞬間、皇帝の脚にぎゅっと抱きついた。


「パパーーっ!

世界一のパパ!」


皇帝は一瞬きょとんとして、それから照れくさそうに笑う。


その笑顔が、子どもみたいだった。

「ママも食べて!」


小満が飴を俺の口元へ差し出す。


一口かじる。


……甘い。


甘すぎる。


「どう?」


「歯が痛くなるくらい甘い。」


「じゃあ、なんで笑ってるの?」


言われて初めて気づく。


いつの間にか口元が緩んでいた。


皇帝は空いた手で俺の手を握る。


温かい。


掌には、この三か月でできた薄いマメがあった。


政務で筆を握り、戦場で弓を引き続けた証だ。


「向こうで催しをやってる。」


「何?」


「射的だ。」


「行こう。」

射的の屋台は大勢の人で賑わっていた。


店主が俺たちを見るなり声を掛ける。


「兄さん、腕試ししていくかい?

当たれば景品をやるよ!」


俺は銃を受け取り、棚を眺めた。


一番上には木彫りの招き猫。


二段目には狐の面。


一番下には、小さな鈴。


「どれを狙う?」


皇帝が聞く。


「じゃあ、あの鈴。」


パンッ。


一発。


鈴が綺麗に落ちた。


「おおっ!」


周囲から歓声が上がる。


「兄さん、うまいねぇ!」


皇帝が口元を緩める。


「もう一回。」


二発目。


今度は狐の面。


また命中。


「すごーい!」


小満は皇帝の肩車の上でぱちぱちと拍手する。


三発目。


一番上の招き猫まで撃ち落とした瞬間、店主は苦笑した。


「参った参った。

兄さん、全部持っていってくれ。」


周囲から拍手が起こる。


「ママすごーい!」


小満は皇帝の肩の上で大はしゃぎ。


店主は苦笑しながら、一番立派な提灯までおまけにつけてくれた。


「兄さん、本当に見事だった。」


その時――


「少し、お待ちいただけますか。」


柔らかな声が割って入った。


俺は振り返る。


そこに立っていたのは、一人の若い書生。


月白色の着物に身を包み、扇を手に穏やかな笑みを浮かべている。


……だが。


俺は一目で気づいた。


礼部尚書の息子だ。


先月、詩会で顔を合わせた男。


あの時、俺は太子。


彼は参加者の一人で、頭を上げることさえできなかった。


なのに今は――


まるで初対面のような顔で、こちらへ微笑みかけている。


本当に気づいていないのか。


それとも……


気づかないふりをしているのか。

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