↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/67

第51話 淑妃の創作帳に、新しいネタが増えました

陛下が自ら料理をする――。


その知らせは、あっという間に後宮中を駆け巡った。


御膳房では料理人たちが一斉に土下座し、「陛下が不正を調べに来られた」と本気で震え上がった。


ところが、「ただ厨房を借りたいだけだ」と聞いた料理長は、その場で泣き崩れた。


「もし陛下に何かあれば……我ら一族九族でも足りませぬ……!」


陛下はため息をつき、全員を厨房から追い出した。


私は小満を抱っこしたまま、厨房の前の石段に腰掛け、中で悪戦苦闘する陛下を眺めていた。


「ママ、パパ、なにしてるの?」


「料理よ。」


「なんで煙が出てるの?」


「油を入れすぎたから。」


「なんで焦げ臭いの?」


「火が強すぎるから。」


「なんでパパ咳してるの?」


「それは……」


私は立ち上がった。


「ちょっと見てくる。」


厨房の中は煙でもくもくだった。


陛下はかまどの前に立ち、お玉を握りしめている。


顔には煤が付き、黒い龍袍には油が飛び散っていた。


鍋の中には――真っ黒な何か。


……角煮だった、らしい。


「何してるの?」


「料理だ。」


陛下は至って真面目な顔で答えた。


「君が教えてくれただろう。鍋を熱して油を入れ、肉を炒めろと。」


「それで、今は?」


「……少し鍋にくっついただけだ。」


私は鍋を覗き込み、思わず額を押さえた。


少しどころじゃない。


もう炭だった。


「なんでこんな強火なの?」


「君がいつも『早く早く、お腹空いた!』って言ってただろう。」


「だからって、この“早く”じゃないの!」


私は慌ててお玉を取り上げ、火を弱め、水を少し注いだ。


ジュワッ――!


一瞬でさらに大量の煙が立ち上る。


厨房の外から小満の声が飛んできた。


「ママー! 火事ー!?」


「違うから!」


私は思わず叫び返した。


その横で、陛下は私が鍋を立て直す様子をじっと見つめていた。


次の瞬間。


不意に後ろから抱きしめられた。


「ちょ、何してるの!? 焦げる!」


「教えて。」


陛下は私の肩に顎を乗せる。


「手取り足取り。」


「こんなんじゃ炒められないって!」


「このままでいい。」


そう言うと、彼は私の手を包み込むように握り、一緒にお玉を動かした。


今の私は太子の身体だから、陛下より半頭ほど低い。


自然と背伸びする形になり、そのまま彼の腕の中へ閉じ込められる。


そのとき。


パチッ。


油が跳ねて、私の手の甲に当たった。


「っ……」


陛下はすぐに私の手を取る。


そして、そっと息を吹きかけた。


「痛いか?」


「平気。」


「強がりだな。」


そう呟くと、彼は私の手の甲へ軽く口づけを落とした。


その瞬間――


ガタンッ!!


入口から大きな音が響く。


振り返ると、そこには淑妃が立ち尽くしていた。


手に持っていた重箱は地面へ落ち、中のお菓子があちこちへ転がっている。


淑妃は私たちを見て。


真っ黒な鍋を見て。


そして、陛下が私の手を握っているのを見た。


しばらく固まったあと、ゆっくりしゃがみ込み、転がった菓子を一つ拾って口へ放り込む。


「臣妾は……何も見ておりません。」


そう言い残すと、一目散に逃げ出した。


慌てすぎて敷居につまずき、危うく転びそうになりながら。


「…………」


「…………」


私は陛下と顔を見合わせた。


そのとき、小満がひょこっと顔を覗かせる。


「ねぇパパ。淑妃さま、なんで泣いてたの?」


陛下は一瞬だけ考え、真顔で答えた。


「嬉し泣きだ。」


「え?」


「創作帳に、新しいネタができたからな。」

無料で完全版を先行で読む:

https://www.amazon.co.jp/dp/B0HFVJ63T9

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。