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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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第50話 恋愛小説は子どもに読ませちゃダメだった

――結果から言うと。


私の嫌な予感は、大当たりだった。


翌朝。


私は小満を迎えに寿康宮へ向かった。


扉を開けた瞬間、その場の空気に固まる。


太后様は上座に座り、こめかみを押さえながら疲れ切った表情を浮かべていた。


淑妃と賢妃は床に正座して頭を下げている。


徳妃は部屋の隅に小さく縮こまり、手には一冊の冊子をしっかり握り締めていた。


そして――


小満だけが。


太后様の隣で背筋をぴんと伸ばし、


貴妃の宮装をきちんと着こなし、


髪まで美しく結い上げられ、


両手で茶碗を持って、実に堂々と座っていた。


私を見るなり、その瞳がぱっと輝く。


……と思った次の瞬間。


すぐに表情を引き締め、いかにも「礼儀正しい貴妃」の顔になる。


「ママ。」


「ご挨拶の前には礼を尽くさなければなりません。」


「無作法はいけません。」


「…………」


私は思わず固まった。


太后様は深いため息をつく。


「太子。」


「お前のところのこの子を早く連れて帰ってくれ。」


「哀家は一晩中、一睡もできなかった……。」


「……何があったんです?」


淑妃が恐る恐る顔を上げる。


「わ、私たちはただ……


貴妃娘娘に少しだけ後宮の作法をお教えしただけで……。」


「どんな作法?」


すると賢妃が袖から一冊の本を取り出した。


表紙は何度も読まれたせいで端が丸くなっている。


タイトルは――


『深宮秘史』


「臣妾は……


『貴妃が陛下のお渡りを迎える章』を読み聞かせただけなのですが……」


「読み終えた途端、貴妃娘娘から――」


賢妃はしょんぼり肩を落とす。


「『セクハラです。』と言われました……。」


「…………」


私は頭を抱えた。


今度は徳妃がおずおずと手を挙げる。


「私は……


『どうすれば陛下にもっと愛されるか』を教えたんです。」


「そしたら貴妃娘娘が……」


徳妃は小満の口調を真似する。


「パパに媚びる必要なんてないよ?

パパのほうからママにくっついてくるもん。」


部屋の空気が凍った。


私の視界まで暗くなってくる。


その時、小満は静かに立ち上がり、


私の手をきゅっと握る。


真面目な顔で言った。


「ママ。」


「あの人たち、知ってることはいっぱいある。」


「でも全部違う。」


「パパが好きなのはママ。」


「本に出てくる悪い狐みたいな女の人じゃない。」


その瞬間。


太后様がついに限界を迎えた。


パンッ!!


机を叩く音が部屋中に響く。


「全員、出て行きなさい!!」


「哀家は少し静かにしたい!!」


私は小満の手を引っ張り、


逃げるように寿康宮を飛び出した。


東宮へ戻る道すがら。


小満が私を見上げる。


「ママ。」


「『侍寝』って何?」


「えっ……」


私は一瞬言葉を失う。


「その……


一緒に寝ること……かな。」


「じゃあ、どうして機嫌を取らないと一緒に寝られないの?」


「それは、その……」


……無理だ。


説明できない。


完全に詰んだ。


ちょうどその時。


後ろから足音が聞こえてきた。


振り向くと皇帝だった。


どうやら起きたばかりらしく、髪もまだ結っていない。


「何を話してる?」


小満は待ってましたと言わんばかりに振り返る。


「パパ!」


「淑妃娘娘がね、パパは狐みたいな女の人が好きだって言ってた!」


皇帝の眉がぴくりと動く。


そのまま私を見る。


「……君が教えたのか?」


「私が?」


私は思わず睨み返した。


「そもそも誰が小満を寿康宮に預けたのよ!」


「太后様のご希望だ。」


皇帝は素直に両手を上げる。


「孫と暮らす気分を味わいたい、と。」


「それで?」


「今は?」


皇帝は少し笑いを堪えながら答えた。


「太后様がおっしゃった。」


「今後は月に一回だけ預かる。」


「それ以上は寿命が十年縮む。」


私は吹き出してしまった。


小満は私と皇帝を交互に見つめる。


そして、大きくため息をついた。


「大人って面倒くさいね。」


「どうして?」


私は尋ねる。


小満は両手を後ろで組み、


まるで小さなおじいちゃんみたいに言った。


「キスしたいならキスすればいい。」


「抱っこしたいなら抱っこすればいい。」


「どうしてそんなに遠回りするの?」


そして首をかしげる。


「前の世界でパパがママを追いかけてた時も、こんなに鈍かったの?」


私と皇帝は顔を見合わせた。


私は笑いながら答える。


「うん。」


「今よりもっと鈍かった。」


「じゃあ。」


小満は純粋な目で聞いてくる。


「どうしてママはパパと結婚したの?」


私は少し考えてから答えた。


「この人が作る角煮が、とっても美味しかったから。」


「…………」


皇帝は黙る。


小満も黙る。


数秒後。


皇帝が真顔で宣言した。


「今夜は朕が料理を作る。」


私は目を丸くする。


「……料理できるの?」


「できない。」


彼は胸を張った。


「でも、覚えればいい。」

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