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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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第49話 今夜は――朕の寝所へ来い

「見られたら何だ?」


彼はまったく動じない。


「俺が自分の嫁を口説いてるだけだ。当然のことだろ?」


顔が一気に熱くなる。


私は慌てて彼の腕を引っ張った。


すると彼はその勢いのまま立ち上がり、私を胸元へ引き寄せる。


ばさり、と大きな外套が私たち二人を包み込み、一枚のマントの中へ閉じ込められた。


「寒いか?」


「寒くない。」


「強がるな。」


彼は少し身をかがめ、鼻先を私の鼻へそっと擦り寄せる。


……いや、この体は太子だから、皇帝より半頭ほど低い。


自然と見上げる格好になって、首が地味につらい。


「ねえ。」


「ん?」


「口説くなら、もう少し別の体勢にしてくれない?」


「どういうことだ?」


「首、折れそう。」


彼は一瞬きょとんとしたあと、


ぷっと吹き出した。


次の瞬間――


ひょい、と私の身体が宙に浮く。


いわゆるお姫様抱っこじゃない。


子どもを抱き上げるみたいに、お尻を支えて持ち上げられた。


「これならどうだ?」


「下ろして!」


「嫌だ。」


そのまま彼は私を抱えたまま、築山の奥へ歩いていく。


私はじたばた抵抗したが、びくともしない。


細身に見えるくせに、この人、とんでもなく力が強い。


「どこへ連れて行く気?」


「いつもの場所。」


築山の裏には、小さな東屋があった。


石の卓には酒が一壺。


それに数皿の料理。


そして――


丸焼きの鶏まで置いてある。


「……これ、あなたが?」


「いや、御膳所に作らせた。」


彼は悪びれもなく肩をすくめる。


「でも味付けだけは現代風にしろって頼んだ。」


「クミンを入れすぎたらしい。そこは勘弁してくれ。」


私は鶏のもも肉を一本ちぎってかぶりつく。


……うん。


確かにクミンが多い。


しかも少し塩辛い。


それでも、不思議なくらい美味しかった。


彼は隣に座り、頬杖をついたまま私が食べる様子を眺めている。


その目は、三か月前――狩り場で私を見ていた時と同じだった。


失って、また取り戻した人を見るような目。


「ゆっくり食べろ。」


「誰も取らない。」


「お腹空いてるの。」


私は口いっぱいに頬張りながら答える。


「朝ご飯、食べてない。」


「どうして?」


「服探してたら三十分も経っちゃって。」


彼はまた笑った。


そして、ごく自然な手つきで私の口元についた油を指先で拭う。


……前世とまったく同じ仕草。


雪が石卓へ降り積もる。


酒壺にも。


彼の肩にも。


私はそんな彼を見つめながら、ぽつりと口を開いた。


「……変わったね。」


「どこが?」


「前の人生なら、こんなことしなかった。」


「人前で抱きしめたり。」


「跪いたり。」


「ウルトラマンの簪なんて贈ったり。」


彼は少しだけ黙り、


そっと私の手を握った。


「前の人生では、できなかったことがたくさんあった。」


「今度は全部できるようになりたい。」


「どうして?」


彼の声が静かに沈む。


「一度、本当に失いかけたからだ。」


「北疆で矢を受けた瞬間、本気で帰れないと思った。」


「頭の中に浮かんだのは、お前と小満だけだった。」


「二人はどうなるんだろう。」


「まだ君をちゃんと口説けてない。」


「前の人生で返しきれなかったものも、まだ返してない。」


私は鶏肉を握ったまま、何も言えなかった。


彼は私をまっすぐ見つめる。


「だから帰ってきてから決めた。」


「皇帝の体面も。」


「君臣の礼も。」


「そんなもの、全部どうでもいい。」


「俺はただ、お前を大事にしたい。」


「そして、そのことを世界中に知らしめたい。」


胸の奥が熱くなる。


私は俯き、鶏肉をもう一口かじった。


「……ほんと。」


「話すだけ話して、なんで急にそんな泣かせにくるの。」


「感動した?」


「してない。」


「じゃあ、なんで泣いてる?」


「クミンが辛かっただけ。」


彼はくすっと笑うと、


そっと私を抱き寄せた。


今度は外套越しじゃない。


本当の意味での抱擁だった。


耳元で彼の鼓動が聞こえる。


一つ一つ、穏やかに。


前の人生と変わらないリズム。


しばらくそうしていたあと、


彼がぽつりと言う。


「……今夜は東宮へ帰るな。」


「え?」


「どこへ行くの?」


「朕の寝所。」


「……小満は?」


「太后がお連れになった。」


「孫と過ごしたいそうだ。」


私は勢いよく顔を上げた。


「えっ!? 一人で太后様のところに?」


「一人じゃない。」


彼は平然と答える。


「淑妃も、賢妃も、徳妃も一緒だ。」


「みんなで“小満に後宮で生き抜く術”を教えるらしい。」


「…………」


目の前が真っ暗になった。


あの毎日恋愛小説を書いては盛り上がってる後宮メンバーが――


うちの五歳児に、


後宮サバイバル講座を開いてるって?


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