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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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第45話 皇太后の選択

寿康宮は夜更けだというのに、煌々と灯がともっていた。


私は剣を手にし、小満の手をしっかり握る。その後ろには賢妃と影七。


……とはいえ、「斬り込んだ」というほどではない。


福海が捕らえられたことで禁軍は指揮系統を失い、その大半があっさりと降伏していた。


殿内では、皇太后が数珠を指で繰っている。


その傍らには、一人の中年の男。


蟒袍に玉冠をまとい、その顔立ちは皇帝とどこか二、三分ほど似ていた。


――睿王。


「深夜に剣を携えて寿康宮へ押し入るとは……太子、お前は謀反でも起こすつもりか?」


睿王は冷笑した。


私は剣を床へ突き立てる。


「謀反を企んだのは叔父上のほうでしょう。」


「兵を動かし、城門を包囲し、宦官と結託して陛下を害そうとした。」


「睿王叔父上、そのどれ一つ取っても死罪ですよ。」


「証拠は?」


「福海は今も私の手の中です。ここへ連れてきて対質させましょうか?」


その瞬間、睿王の表情がわずかに崩れた。


すると、皇太后が静かに口を開く。


「……もう、よい。」


数珠を机へ置き、私を見つめ、それから私が手を繋ぐ小満へと視線を移した。


「太子、こちらへおいで。」


私は一瞬ためらったが、そのまま歩み寄る。


皇太后はそっと手を伸ばし、小満の頬を優しく撫でた。


「この子は……本当に愛らしい。」


小満は不安そうに顔を上げ、小さな声で呼ぶ。


「皇太后さま……」


その一言に、皇太后の目がかすかに潤んだ。


やがて彼女は睿王へ向き直る。


「お前は行きなさい。」


「もはや、哀家にもお前は守れぬ。」


「母上!」


「……哀家は、お前の母ではない。」


皇太后の声音は一転して冷たくなった。


「先帝がご存命の頃から、お前は玉座を狙っていた。」


「そして今度は、先帝の息子だけでなく、その孫まで手にかけようとした。」


睿王は歯を食いしばる。


「まさか、この正体も知れぬ太子のために――」


「正体不明などではない。」


皇太后はその言葉をきっぱりと遮った。


「この子は、哀家の孫だ。」


「哀家がそう認める。」


私は思わず息を呑んだ。


皇太后は私を見つめ、複雑な表情を浮かべる。


「三か月前――」


「皇帝が初めて太子を連れて挨拶に来たあの日、哀家にはすぐ分かった。」


「皇帝がお前を見る目は、息子を見る目ではなかった。」


「……命より大切な者を見る目だった。」


彼女は小さく息を吐く。


「哀家は長く生きてきた。」


「人の情というものを、それなりに見てきたつもりだ。」


少し間を置き、静かに続ける。


「お前たち三人の事情に、これ以上口は出さぬ。」


「だが――」


「誰であろうと、お前たちに手を出したければ、まずは哀家を越えていくことだ。」


その一言で、睿王の顔から完全に血の気が失せた。


影七が配下を率いて前へ出る。


睿王は抵抗することもなく、そのまま連れ去られていった。


皇太后は深く疲れたように手を振る。


「……皆、下がりなさい。」


「哀家は疲れた。」


私は小満の手を握ったまま、その場に跪き、深く頭を下げた。


立ち上がり、踵を返そうとした、その時。


皇太后の静かな声が背中に届く。


「太子。」


「皇帝のことなら……案ずるでない。」


「――あの子は、運の強い子だから。」


胸の奥が熱くなり、鼻の奥がつんとした。


私は振り返らなかった。


ただ小満の手をぎゅっと握り直し、そのまま寿康宮を後にした。

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