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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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第35話 皇帝が一線を越えようとしている

朝。


私は息苦しさで目を覚ました。


目を開けると、目の前に絶世の美貌がどアップで迫っていた。


蘇貴妃の長いまつ毛が、今にも私の鼻先をかすめそうだ。


小満はまるでタコのように私の身体に絡みついていた。


片足は私の腰に乗り、両腕は私の首に巻きついている。


しかも寝言まで言っていた。


「……ウルトラマン……変身……」


私は彼――いや、彼女をどかそうとした。


肩に手を伸ばした瞬間。


背後から、低い笑い声が響いた。


寝起き特有の、少しかすれた声。


「昔からずっとこうだっただろう。忘れたのか?」


私は固まった。


……危うく忘れるところだった。


この寝台には、もう一人いる。


皇帝だ。


彼は私の後ろで、片手で頭を支えながら横向きに寝ていた。


布団は腰までずり落ち、寝衣の襟元は緩んでいる。


露わになった鎖骨に、朝の光が淡く落ちていた。


皇帝は私と小満の間を一度見回し、最後に私の赤くなった首元へ視線を止めた。


そして眉をひそめる。


「その手を外せ」


「やってる。でも外れない」


皇帝は手を伸ばし、小満の手首をそっと持ち上げた。


すると小満は小さく「ん……」とうなり、寝返りを打って布団の奥へ転がっていった。


枕を抱きしめ、そのまま眠り続ける。


――静寂。


私と皇帝は一秒ほど見つめ合った。


そして同時に気づく。


間にいたはずの小満という防波堤が、消えている。


「その……」


私は少しずつ後ろへ下がった。


「朝議に行かないと」


「今日は休みだ」


「え?」


「朕が言った」


皇帝はそう言いながら、ゆっくりとこちらへ身を寄せる。


「だから、急ぐ必要はない」


背中が壁に当たった。


もう下がれない。


皇帝の手が伸びる。


ほどけた私の髪を、耳の後ろへそっとかけた。


指先が耳たぶをかすめる。


私は思わず身体を震わせた。


「……何をしているの?」


「整えているだけだ」


「髪を直すだけなのに、どうしてそんなに近いの?」


皇帝の瞳に浮かぶ笑みが、ますます深くなる。


何か言おうとした、その瞬間――


奥の間から、大きな音が響いた。


ドンッ――


小満が布団ごと床へ転がり落ちた。


「うぅ……」


錦の布団の中から、蘇貴妃の天下の美貌がひょこりと顔を出す。


髪は完全に爆発して鳥の巣のようになり、目には一瞬で涙が浮かんだ。


「ママ! 布団に噛まれた!」


「……」


私。


「……」


皇帝。


皇帝は無言で手を引っ込めた。


そして起き上がり、寝台を降りる。


外衣を羽織ったあと、振り返って私を見る。


「朕は朝議へ行く」


「……休みじゃなかったの?」


「嘘だ」


私は枕を掴み、思い切り投げつけた。


皇帝はそれを難なく受け止める。


そして何事もなかったかのように枕を枕元へ戻した。


そのまま身をかがめ――


私の額に、ほんの一瞬だけ触れる。


低く、誰にも聞こえないほどの声で囁いた。


「今夜も来る」


そう言い残し、皇帝は去っていった。


衣の裾が風を巻き起こす。


残された私は、ただ寝台のそばで呆然と立ち尽くしていた。


小満は床に座ったまま、お尻をさすっている。


そして私を見た。


次に、閉じられた扉を見る。


突然、彼女が言った。


「ママ、顔真っ赤」


「暑いだけ」


「そうなの?」


小満は立ち上がると、服の裾をぱんぱんと払った。


「じゃあ、太后様のところへお菓子食べに行ってくる」


「靴を履いて!」


「分かってるってば――」


そう言いながら、小満は橘猫を抱えて走っていった。


裸足のまま。


揺れる裙裾。


その後ろを二人の宮女が慌てて追いかける。


「娘娘、ゆっくりお歩きください!」


私は力が抜けたように寝台へ倒れ込んだ。


天蓋をぼんやり見つめる。


終わった。


この宮廷生活……


ますます、普通では済まなくなってきた。

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