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転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


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33/69

第33話 皇帝になった夫が、もう一度私を口説いてくる

頭がぼんやりしている時だった。


突然、彼が顔を近づけてきた。


額が私の額に触れる。


鼻先が、私の鼻先を軽く擦る。


---


太子の身体は、彼よりずっと小さい。


この距離を保つために、彼は少し腰を屈めている。


それでも。


絶対に離れようとはしなかった。


「ち……父上……」


彼の眉がわずかに寄る。


「へ……陛下……」


その瞬間。


彼の手が、私の腰を軽くつねった。


思わず、小さな声が漏れる。


「お……夫……」


---


その呼び方を聞いた瞬間。


彼は満足そうに目を細めた。


そして顔を少し傾ける。


唇が、私の耳元すれすれに触れた。


低く、夢の中で呟くような声。


「君が太子になった日。」


「俺は君を見に行った。」


---


「東宮の寝台に座って、ぼーっとしてただろ。」


「何が起きたのか分からないって顔をして。」


「その時、俺は思ったんだ。」


---


「終わった。」


「この馬鹿は……俺の妻だって。」


---


私の耳がさらに熱くなる。


「誰が馬鹿よ。」


---


彼は笑いながら続けた。


「君は三日間も東宮から出ようとしなかった。」


「初日は寝台の上で呆然。」


「二日目は庭を三周ぐるぐる歩き回る。」


「三日目になったら、宮女に聞いてた。」


「この近くにタピオカミルクティーを売ってる店はないかって。」


---


「御書房でその報告書を読んだ時。」


「俺は三十分以上笑いが止まらなかった。」


---


私は勢いよく振り返った。


「報告書?」


「あなた、毎日私のことを調べさせていたの?」


---


彼の顔は、もう一寸も離れていない。


揺れる蝋燭の光が、その瞳の奥にある笑みをはっきり照らしていた。


彼は逃げない。


目を逸らさない。


ただ、その近すぎる距離で私を見つめる。


---


「監視じゃない。」


「見守っていたんだ。」


---


「毎日、福海が届ける記録を読んでいた。」


「今日は何をしたのか。」


「何を食べたのか。」


「誰と何を話したのか。」


---


彼の声が少しだけ柔らかくなる。


「君が小満に物語を聞かせて、寝かしつけているところを読んだ時。」


「俺は御書房で、ずっと動けなかった。」


---


私の喉が少し詰まる。


「……それから?」


---


彼は少し黙った。


そして。


静かに言った。


---


「それから毎晩、眠れなかった。」


---


「前世では、君は俺の隣で眠っていた。」


「寝息だって、何回聞いたか分からない。」


「なのに今世では、三つの宮壁を隔てている。」


---


「俺は寝台に横になって、ずっと考えていた。」


---


「彼女は今日ちゃんと水を飲んだのか。」


「この世界に慣れたのか。」


「夜中に怖い夢を見た時、誰か抱きしめてくれる人はいるのか。」


---


彼は淡々と話していた。


あまりにも平静な声だった。


でも。


私は彼の胸に寄りかかっていたから分かった。


---


彼の鼓動が。


さっきより、二拍ほど速くなっていることを。


---


私は顔を上げて彼を見る。


蝋燭の光の中。


その顔は知らない帝王のもの。


けれど。


その瞳に宿るものだけは、知っていた。


---


前世で。


彼が私にプロポーズした日の目。


---


真剣で。


緊張していて。


断られることを恐れているような。


あの目。


---


「……どうしてそんな話をするの?」


私の声は少し掠れていた。


---


彼は低く答えた。


「前世の俺たちは、お見合いで出会った。」


「三ヶ月付き合って、結婚して。」


「一年後には子供が生まれて。」


「六年間、穏やかに暮らした。」


---


「でも。」


「言えなかったことがあった。」


「できなかった恋人らしいことも、たくさんあった。」


---


彼の指が、そっと私の頬を撫でる。


---


「だから今世では。」


「君は太子になった。」


「俺は皇帝になった。」


---


「なら。」


「全部やり直せる。」


---


彼の唇が、少しずつ近づく。


---


「最初の一歩から。」


「もう一度、君を追いかける。」


---


私の頭は、完全に真っ白になった。


---


次の瞬間。


彼の唇が触れた。


---


軽い。


確かめるような口づけ。


---


以前、額に落とされたような、形だけの触れ方とは違う。


---


その口づけは。


唇の端に落ちた。


熱を帯びた温度が残る。


三秒ほど。


---


私は一瞬で顔が熱くなった。


---


彼が少し離れる。


そして。


真っ赤になった私の顔を見て、突然笑った。


---


朝議で見せる帝王の笑みとは、まるで違う。


目尻が柔らかく下がって。


口元の笑いを隠せない。


ただの一人の男の顔だった。


---


「顔、赤い。」


「黙って。」


「耳も赤い。」


「黙れって言ってるでしょ。」


「首まで――」


---


私は目の前の茶杯を持ち上げ。


そのまま彼の胸元へ投げつけた。


---


茶が。


彼の黒い寝衣を濡らす。


---


彼は自分の服を見下ろした。


それから。


ゆっくり顔を上げる。


---


目の奥の笑みは、さっきより深かった。


---


「奥さん。」


「これは家庭内暴力になるよ。」


---


「離婚。」


---


「無理。」


彼は即答した。


「離婚できない。」


---


彼は濡れた寝衣を脱ぎ、椅子の背に放る。


蝋燭の光の中。


鍛えられた肩。


引き締まった腰。


皇帝となった身体の輪郭が、はっきり浮かび上がった。


---


彼は自分の身体を見下ろし。


それから私を見る。


---


「この身体も悪くないだろ?」


---


私は慌てて顔を背けた。


「なんで脱ぐのよ。」


---


「濡れたから。」


彼は当然のように答える。


「君がかけたんだろ。」


---


私は歯を食いしばって、絶対に振り返らない。


---


でも。


彼が近づいてくる足音が、どんどん近くなる。


---


次の瞬間。


後ろから伸びてきた手が。


私の耳たぶをそっと摘んだ。


---


薄いタコのできた指先が。


耳の縁をゆっくり撫でる。


くすぐったくて。


逃げたくなるほど優しい。


---


そして。


男の声が、甘く響いた。


---


「奥さん~」


---


まるで甘える猫のような声だった。


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!

少しでも「面白い!」と思っていただけたら、ぜひ評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

「この先どうなるの?」と思った方は、ぜひコメントで感想を教えてください!

皆さんの応援が、続きを書く一番の力になります。次の話もぜひ楽しみにしていてくださいね!

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