↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/67

第31話 「父上の心には、大切な人がいる」

皇帝は「うむ」と短く返事をすると、工部の方へ視線を向けた。


「太子の言ったことに、間違いはないか?」


工部侍郎は覚悟を決めたように一歩前へ出る。


「陛下に申し上げます。確かに、今年は秋になってから雨が多く……」


「秋に雨が多いのは、今年だけの話ですか?」


私は彼の言葉を遮った。


声は穏やかだった。


けれど、殿内全員に届くほど、はっきりとしていた。


「三年前も、五年前も、十年前も。秋に雨が降らなかった年などありますか?」


「工期が遅れた理由をすべて天候のせいにするなら、工部は一年中、天の機嫌を伺って仕事をしているだけなのですか?」


「それで朝廷から俸禄を受け取る資格があると?」


---


殿内は静まり返った。


遠くに置かれた銅壺滴漏の水音さえ、はっきり聞こえるほどだった。


工部侍郎の額から汗が流れる。


唇を何度か動かした後、ついに頭を下げた。


「……臣の過ちでございます。」


---


皇帝は何も言わなかった。


ただ。


わずかに顔を横へ向け、私を見た。


ほんの一瞬。


けれど、その瞳には明らかな称賛が浮かんでいた。


そして再び正面へ向き直る。


「期限は十日。」


「河道工事を必ず完了させよ。」


「できなければ、工部侍郎は一階級降格とする。」


「臣、承知いたしました。」


---


私は紫檀の椅子に座ったまま、密かに息を吐いた。


背中には、少し汗が滲んでいた。


これが。


この世界へ来てから初めて、私が朝廷で自分の力を示した瞬間だった。


下から向けられる視線。


驚き。


警戒。


探るような計算。


すべてが私に向けられている。


それでも、私は逃げなかった。


これは、夫が私のために用意してくれた道。


ならば。


私自身の足で、最後まで歩ききらなければならない。


---


朝議は一刻半ほど続いた。


その間、皇帝は三度、私へ話を振った。


私はそのすべてを受け止めた。


そして。


朝議が終わる頃には。


満朝文武が私を見る目は、入殿した時とは完全に変わっていた。


---


殿を出る途中。


兵部尚書が私の横を通り過ぎた。


だが。


数歩進んだところで、彼は足を止めた。


そして声を落とす。


「殿下。本日の殿下は……以前とは違われますな。」


私は静かに答えた。


「ご忠告、ありがとうございます。」


兵部尚書は私を一瞥した。


しかし、それ以上は何も言わず、そのまま去っていった。


ただ。


彼が歩き出した時。


来た時よりも足取りが速く。


背筋も、以前よりまっすぐ伸びているように見えた。


---


東宮へ戻ると。


小満はすでに門のところで眠っていた。


橘猫は彼女の腕の中で丸くなり、長い尻尾を小さな手の甲に乗せている。


眠り方は相変わらず豪快だった。


貴妃の衣の裾は膝までめくれ上がり、白い足が半分ほど覗いている。


守門の宮女たちは、私の姿を見ると明らかにほっとした表情を浮かべ、深く礼をしてすぐに下がっていった。


---


私は腰を屈め、小満を抱き上げる。


けれど。


思ったより重かった。


大人の女性の身体は、私が覚えている五歳の子供の重さとはまったく違う。


腕にずしりと負担がかかり、危うくよろめきそうになった。


すると。


小満がぼんやり目を開けた。


私だと分かると。


「ママ……帰ってきた……」


小さく呟き。


そのまま私の胸元へ顔を埋める。


そして。


また眠りへ落ちた。


---


私は彼女を抱えたまま殿内へ入り、寝台へ寝かせる。


小満は寝返りを打ち、身体を小さく丸めた。


けれど。


その小さな丸まり方は。


成人女性の細く整った身体だった。


それだけで、奇妙な違和感が胸に残る。


私は布団をかけてやり、指先で彼女の乱れた髪をそっと撫でた。


その時。


「……ママ。」


突然、小満が呟いた。


目は閉じたまま。


声は眠気でぼんやりしている。


「太后様がね……私にもう一つ言ったの。」


私は手を止めた。


「何て?」


小満は小さく息を吐く。


「……『父上を怖がらなくていい』って。」


「『父上の心には、もう大切な人がいるから』って。」


「……でも、その人は私じゃないって。」


---


私の指先が、空中で止まった。


小満はそれだけ言うと、完全に眠りへ落ちた。


規則正しい寝息。


穏やかな表情。


まるで。


今の言葉など、ただの寝言だったかのように。


---


けれど。


私は寝台の横に立ったまま。


眠る小満の顔を見つめていた。


背中に。


冷たいものが何度も走る。


太后は。


一体、何を知っているのか。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。


今回の展開、皆さんはどう感じましたか?


登場人物たちの関係や、これから起こる変化について、ぜひ皆さんの予想を聞かせてください。


「続きが気になる」

「この展開は予想外だった」

「このキャラクターが好き」


そんな一言だけでも大歓迎です。


面白いと思っていただけたら、いいねやお気に入り登録、コメントで応援していただけると嬉しいです。


皆さんの反応が、次の物語を書く大きな力になります。


次回もぜひお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。