↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら太子だったんだが、なぜか後宮が私と息子の禁忌の恋に沸き立っている  作者: zhaozhao


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/71

第19話 蘇貴妃と皇帝、今夜の「交渉」

「それで、朕に会いに来たのか?」


小満は背筋をぴんと伸ばした。


「うん。話し合いに来たの」


皇帝が、初めて興味を示した。


「話し合い?」


「そう」


小満は指を一本立てた。


「一つ目。もう太子殿下を怖がらせないこと」


二本目の指を立てる。


「二つ目。毎日のように太子殿下を呼びつけないこと」


そして三本目。


「三つ目は……」


小満はそこで言葉に詰まった。


皇帝が静かに尋ねる。


「三つ目は?」


小満はしばらく考え込んだ。


「三つ目は……もっと太子殿下に優しくすること」


皇帝の眉がわずかに動く。


「朕が、太子に優しくないと?」


「だって、太子殿下を怖がらせてるじゃない」


「朕がいつ、太子を怖がらせた?」


小満はすぐさま訴え始めた。


「いつもじっと見つめてる」


皇帝:「……」


「それに、変なことばかり聞く」


皇帝:「……」


「急に頭を撫でたりもする」


皇帝:「……」


「それから!」


小満はますます勢いづいた。


「太子殿下を抱きしめたこともある!」


皇帝の指が、ぴたりと止まった。


空気まで、一瞬静まり返る。


「朕が……太子を抱きしめた?」


小満はこくこくとうなずいた。


「うん!」


皇帝は目の前の小満を見つめた。


なぜだろう。


その瞬間、脳裏にひとつの光景がよぎった。


自分の腕の中に抱いた少年。


抱きしめた瞬間、その身体が本能的に強張った。


けれど――


しばらくすると、まるで力が抜けるように、ゆっくりと身を委ねてきた。


皇帝は初めて、小満の顔をじっと見つめた。


小満も、その視線に気づいた。


思わず腕の中の猫をぎゅっと抱きしめる。


「……何で私を見るの?」


皇帝は答えなかった。


ただ、別のことを尋ねる。


「お前は、太子のことをずいぶん気にかけているようだな」


「もちろん」


「なぜだ?」


「それは……」


小満の言葉が止まった。


危うく、口を滑らせるところだった。


――だって、太子殿下は私のママだから。


けれど、寸前で母親の言葉を思い出す。


言ってはいけない。


絶対に。


この秘密は、誰にも知られてはいけない。


小満は慌てて言い直した。


「太子殿下は、私にすごく優しいから」


皇帝の瞳が、わずかに揺れる。


「太子が、お前に何をした?」


小満は首を傾げた。


「一緒に遊んでくれる」


「本を読んでくれる」


「私が病気になったら、ずっとそばにいてくれる」


「眠るときだって、それに……」


そこまで言って、小満は突然口を閉じた。


皇帝の眼差しが、少しずつ深くなる。


「それに……何だ?」


小満はぎゅっと口を閉じた。


しまった。


また言いそうになった。


「……何でもない」


皇帝は黙って小満を見つめる。


しばらくして。


ふいに、その手が伸びてきた。


小満の頭を、そっと撫でる。


その瞬間。


小満の身体が、ぴくりと強張った。


頭の上に触れた手のひら。


温かい。


そして――なぜか、ひどく懐かしい。


封じ込められていた記憶の奥底から、ひとつの光景が何の前触れもなく蘇った。


誰かも、こうして自分の頭を撫でてくれた。


眠る前には、物語を聞かせてくれた。


一緒に積み木で遊んでくれた。


大人になったら、いろんな場所へ連れて行ってやると約束してくれた。


小満は呆然と皇帝を見つめた。


皇帝もまた、小満を見ている。


二人の間に、言葉はなかった。


なぜだろう。


この瞬間。


小満はふと思った。


――この人を、知っている気がする。


どこかで。


ずっと昔から。


小満は、無意識に少しだけ身を乗り出した。


皇帝は避けなかった。


もう一歩。


さらに近づく。


近すぎて、皇帝の瞳に映る自分の姿まで見えそうだった。


皇帝は、じっと見つめてくる小満に、思わず苦笑する。


「どうした?」


小満は答えなかった。


ゆっくりと手を伸ばす。


小さな両手が、皇帝の頬をそっと包んだ。


皇帝の身体が、わずかに強張る。


けれど小満の瞳は、どんどん大きく見開かれていった。


その瞬間。


ひとつの呼び名が、喉元までせり上がる。


「パ……」


声が漏れた。


小満は、はっとして口を閉じた。


皇帝の目が、鋭く細められる。


「今、何と言った?」


小満の心臓が、どくんと跳ねた。


皇帝が見つめている。


小満も皇帝を見つめ返す。


時間が止まったようだった。


小満はごくりと唾を飲み込む。


そして、慌てて手を離した。


「パパ……」


皇帝の目の色が、一瞬で変わった。


小満の心臓がさらに跳ねる。


まずい。


慌てて声を張り上げた。


「パパが言ってたの!」


「そう! 私のパパが!」


皇帝:「……」


「何と言っていた?」


小満の頭が高速で回転する。


「えっと……」


「何て言ってたっけ……」


皇帝の目が細くなる。


「思い出せ」


小満:「……」


終わった。


完全に自分で自分を追い詰めてしまった。


そのとき。


外から、太后の声が響いた。


「皇帝!」


皇帝は答えなかった。


視線は依然として、小満から離れない。


「先ほど、朕を何と呼んだ?」


小満は橘猫をぎゅっと抱きしめた。


そして、必死に首を横に振る。


「何も呼んでない!」


「呼んだだろう」


「呼んでない!」


「朕は確かに聞いた」


「聞き間違いだよ!」


皇帝は小満を見つめた。


やがて。


ふっと笑う。


「そうか?」


小満は力いっぱい頷いた。


「うんうん!」


皇帝は、それ以上追及しなかった。


けれど、その瞳の奥に浮かんだものは――


先ほどまでとは、明らかに違っていた。


「まあいい」


皇帝は静かに言った。


「お前の願い、聞いてやろう」


小満は目を瞬かせる。


「何を?」


「もう太子を怖がらせない」


小満の目がぱっと輝いた。


「本当?」


「ああ」


「じゃあ、毎日のように太子殿下を呼びつけるのもやめる?」


皇帝はしばし沈黙した。


「……努力しよう」


「それから!」


小満はすぐさま付け加えた。


「いきなり太子殿下を抱きしめるのも禁止!」


皇帝:「……」


それからしばらくして。


皇帝は長い廊下の端で足を止めていた。


その後ろを、福海が慎重に付き従っている。


「調べろ」


福海が目を瞬かせた。


「何をでございますか?」


皇帝は振り返らなかった。


ただ、瞳の奥だけが静かに深く沈んでいく。


「蘇貴妃を調べろ」


この「交渉」、蘇貴妃の勝ちだと思いますか?

それとも……皇帝は、もう何かに気づき始めているのでしょうか?


続きが気になる方は、ぜひ「いいね」とブックマークをお願いします!

そして、あなたの予想をコメントで教えてください。


皇帝は蘇貴妃の秘密に、いつ気づくと思いますか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。