Lv48 大罪者
俺が戻ると、
クームが待っていました、と言わんばかりに飛びついてきた。
「うわっ!どうしたどうした!」
【あのゴーレムが起きた!】
「なんだって!?」
俺が即臨戦態勢になると、それをクームが全力で止めた。
俺が困惑していると、
クームが先程ゴーレムが居た方向を指差した。
よく見ると、さっきのゴーレムが深く座り込んでいた。
俺とクームは座り込んだゴーレムの元へ向かった。
「どういうことだ?」
「我はレングァーレム、魔王軍幹部だ」
「それは、さっき聞いた」
「我は魔王様に聖魔街への遠征を命令された。
だが、遠征へ向かう途中からの記憶が著しく欠落している」
「はぁっ!?お前“も”記憶喪失なのか!?」
「お前も……?」
「あぁいや、なんでもない、こっちはもう解決してんだ。
そっちの話を続けてくれよ」
「……話すことは以上だ」
「は?……ならなんだよ、
この街で大厄災を起こしたのは、
お前ら魔王軍の仕業ってことなんじゃねえのかよ!」
「……その通りだろう、
この砂漠は……元々聖魔街だったのだろう……」
「……あぁ、魔法使いの聖地だった聖魔街だよ」
「我は……許されない大罪を犯してしまった。
取り返しのつかないことをしてしまった……」
「……なんだよそれ、気持ち悪い……」
「我にはもう何も残されていない、
魔王様との連絡も取れない……。
それに我は……」
「……」
「我はどんな罰も受け入れる。
壊してくれても構わない、むしろ償わせてくれ。
もう我は、これ以上、罪を重ねたくはない」
「…………」
ゴーレムは腕を大きく開いて空を見上げた。
聖魔街を滅ぼした元凶であろう魔物が今目の前にいる。
今すぐ、この抱えきれない怒りを解放してしまいたい。
クームは心配そうに、俺の決断を待っている。
俺の答えは――。
「……お前は殺さない」
「なぜだ!我はこの街を滅ぼしてしまったのだぞ!」
「……お前には何かが巻かれていた。
それのボタンを押したら、お前は動き出して俺達を襲った。
そして、その何かを壊したらお前は通常に戻った。
つまり、お前は何らかの洗脳装置を、
着けられていたんじゃないのか?」
「洗脳装置だと……?そんなものは知らない」
「その魔王様に裏切られてたんじゃねえの?」
「魔王様がそんなことは……!しない……はず……だ」
「歯切れ悪いな。
まぁつまり、お前を殺す必要はないってことだ」
「ダメだ!我がこの街を滅ぼしたのだ!罰を受けなくては!」
「ダァーッ!頭硬えな!ゴーレム過ぎるだろ!
ならわかった!お前の償い方を一つ教えてやるよ!」
「……なんでも聞こう」
「お前、俺達の勇者パーティーに入れ」
「そんなことで償いに……!」
「なるな!俺達は魔王をぶっ倒すんだからな」
【!!】
「俺の生まれ故郷を滅ぼした元凶は魔王ってことだろ。
俺は許せない、俺から大切な場所、人達、思い出。
全部奪い去った、その魔王って奴をな!」
「何を言う!我は魔王軍幹部だぞ!そんな反逆行為……!」
「もう魔王軍と連絡取れねえんだろ?
大厄災から十年も経ってんだ。
お前はそもそも、もう幹部でもねえだろうよ。
それに、お前に拒否権なんてねえからな?
どうせ騙されてたんだろ?だったら俺達に力を貸せ」
俺はゴーレムに手を伸ばした。
雲泥の差のある手の大きさ、
戸惑いつつもゴーレムは俺の手を優しく握った。
「……あれから10年も経っていたのか……。
……誰も助けに来なかった、のか……。
……それが償いになるのなら、我は力を貸そう」
「……あぁ、失ったもん見つめてても、
始まんないからな……」
【フード!魔王討伐する気になったの!】
「討伐する理由が出来たからな、
新生No.1勇者パーティー再始動と行こうか!」
こうして、俺達の勇者パーティーに新しい仲間が増えた。




