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ゼロレベル  作者: 光大地
Ⅵ章 滅亡した聖魔街

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Lv47 さようなら

「確かに光ったよな?」


俺は今にも崩れ落ちそうな大使館の中、

瓦礫を避けながら光った場所へと向かう。

おおよそ光ったであろう場所は、

さっき母上の骸骨があった場所だった。

近づくと、母上の骸骨の中心部が緑色に丸く光っていた。


「なんだ?この光の色、さっきの鎖と同じ色だ」


すると突然、緑の光は急に強く発光した。

俺は右腕で目を守り、次に腕を下ろした時……。


「母……上……?」


薄い水色になって透けた状態の母上がその場にはいた。

冠を被り、綺麗な高貴な服を着ている。

紛れもない正真正銘の母上本人がそこにはいた。

母上がゆっくり目を開き、俺の方を見ると、

手で口を押さえながら、ひどく驚いていた。


「フード!そこにいるのはフードなのですか!?」

「本当に……母上……なの……か……?」

「……大きくなっていてもわかります。あの後、

ちゃんと祖母の家に辿り着くことが出来たのですね……」

「あ、あぁ……」


俺は母上に背を向けた。

恥ずかしさもあるが、やはり昔冷たくされたことがあって、

素直に話すことが出来なかった。


「……あなたには辛いことをしましたね……」

「えっ」


思いがけていなかった発言に、思わず母上の方へ振り返る。


「私は焦りすぎていたのかもしれません、

もっとあなた達の事を尊重してあげていたら……」

「どういう……こと……」

「あの子を会長の後継にするために厳しくしました、

かえってそれが、あの子に背負わせてしまった」

「……兄貴のことだよな」

「…………そう、ですね」

「だったら、俺を後継にすれば良かっただろ!!

そうしたら兄貴だって“やりたいこと”が出来たじゃん!

そんなにまでして……。

“風習”って守らないといけないものだったのか――!」


俺が言い終わる前に、母上は俺を優しく抱きしめた。

実体はない、俺に触れることは出来ない。

でも、その温かさは伝わってきた。


「不出来な母親でごめんなさい……」

「…………」

「あなたのことは本当の息子のように可愛がっていました、

これは嘘ではありません。

ですが……。だからこそ、

そんなあなたに重役を押し付けることはしたくなかった……」

「……。

いやちょっと待て、それってどういう意味???」

「……あなたには本当のことを知る権利があります」

「本当の……こと……?」

「あなたは私の実の子供ではありません」

「は!?!?」


俺はあまりの衝撃に思わず、母上から離れた。

実の子供ではない……!?

そんなバカな、だって俺は産まれてからの六年は、

ここで過ごしたんだ……ありえない……!


「……信じられないのも無理はないでしょう」

「当たり前だ!だって、俺は……!」

「あれは雨の降る夜のことでした……。

私が傘をさしながら夜道を歩いていると、

雨音ではない音が聞こえてきました。

空耳かと思い、その音の元へと向かうと、

そこには幼気(いたいけ)な赤子が、

茂みの隅で泣き声を上げていました」

「な……だったら、俺は……!」

「捨て子……だったのかもしれません。

私はあなたの親を探しました。

ですが、誰もが知らないの一点張り。

だから、私はあなたを育てることを決意しました」

「……はは、マジか……」

「……でも、これだけは本当です。

私はあなたのことも大事に思っていました。

身勝手な話ですが……ね」

「……いや、そんなこと……ない」

「……あなたを逃がしたあの夜、魔王軍の幹部。

名をレングァーレムと名乗るゴーレムが侵入してきました。

私はなんとか戦いましたが、致命傷を与えられてしまいました。

私が死ぬ寸前、

封印魔法でゴーレムを封じ込めることに成功しました。

ですが、己の封印魔法によって、私が死んだ後以降も、

私の魂丸ごと閉じ込められてしまったのです」

「……そういうこと……だったのか」

「……フードが解放してくれたんですね、私にはわかります」

「いや!それは……」

「……本当に……強くなったのね……」


俺が誤魔化している時、ふと見上げると。

消えかかった母上が見たこともない温かい優しい目をしていた。

……!?


「母上!消えかかってる!?」

「……そろそろ時間のようね、

最後にあなたとお話が出来て良かった」

「な、何を言ってんだよ。せっかく誤解だって解けたんだ。

……そうだ!兄貴とも話をしよう!

誤解してるのは俺だけじゃないんだよきっと……!」


母上は顔を横に振る。


「もし、あの子とまた会うことがあったら、

伝えてほしいことがあります。

あなたはあなたのやりたいことをしてほしい。

今まで苦労をかけた分、幸せになってほしい」

「そんな!最後みたいなこと言うなよ!!」

「……あの人は……今も天国で待っているのでしょうか……」

「ダメだ!行かないで……くれ!」

「……私はあなたの本当の母親じゃなかったけれど、

……それでも、あなたが……無事で……。

あなたの……母親で……本当に……良かっ……た」

「母さん!!!」


母上は光となって散り散りになって消えた。


「うわあああああああ!!!!」


俺は大きな声を上げて泣いた。

自分でも、こんなに泣いたのは人生で初めてだった。

クームが近くにいなかったのが、唯一の救いかな。

俺は気が済むまで、ただひたすら、

泣いたのであった……。

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