第2話(7)
「自己紹介がまだでしたね。私、ルクスという者です。流れの冒険者で、1番得意な武器は槍なんですが。まあ、大抵の武器なら扱えますよ。護衛関係の依頼を主に請け負ってます。もしかして、護衛の依頼ですか?」
席に座り、その男は話し始めた。俺も少しは落ち着いたようだ。……たぶん。
先程の奇行などなかったかのように、淡々と話す様子を見ていると、まともに見えるから不思議だ。
いやだってさ、さっきまで窓に張りついて微動だにしなかったんだぞ?
それも、だいぶ長い時間。
んー……。
なんて言ったらいいんだろう。
とりあえず、自己紹介でもしようかな。
「俺はウォルンです。得意なのは回復魔法で、というか、回復魔法しか取り柄がないというか……。まあ俺のことはどうでもいいですね。それより、用というか、護衛の依頼ではないんですけど、」
パーティメンバーは頼もしいというか、やりすぎ感多すぎの否めないメンバーが足りているし、足りて……いや、待てよ。
そうだ! 請けてもらえるかは別として、パーティ対抗戦の一時メンバーを依頼してみるのはどうだろう。護衛の依頼を請けているみたいだし、腕は立つんじゃないだろうか。
それにしても、パーティ対抗戦っていったい何するんだろうなぁ。
本来の目的である、窓に張りついて突っ立っていた事件の解明より、そっちのほうが優先な気がしてきた。なにより、それがもともと目的ではあったのだし。
「どうかしましたか?」
途中で黙ってしまったから、不審に思われたみたいだ。
「依頼というか……、正式な依頼というほどのものじゃないんですが、いまお祭りしてますよね。それで、うちのパーティが対抗戦に出る、いや、出たいんですけど。人数が足りなくて。もしよかったら、一緒に参加とか……、どうですか?」
「いいですね! パーティですか。私はどうもそういったものに縁がなくて。パーティ対抗戦なんて出たことがないんですよ。どういったことをするんですか?」
「それが俺は初めてで。どんなものかわからないんですけど。メンバーが集まらないことには参加もできないので。お祭りですし。せっかくだから出てみたいなー、といった程度で」
奇行はおいといて。……おいておくんだ。誰も見つかりませんでした、とミィウに言うよりはマシ、な、はずだ、たぶん。
「何をするかわからないわけですか。しかし、お祭りですからね。楽しそうです。ぜひ参加させて下さい。幸い、今は依頼を受けていない状態ですから」
おお、好感触。1人連れていけば充分だろう。候補者が多すぎても気まずいだけだしなぁ。
そうと決まれば、いや、待てよ。依頼ってことになるのかなぁ? だとすれば、依頼料とか発生しちゃうんだろうか。
訊いておこう。
「助かります。……ところで、依頼料とか必要だったりするんですか?」
「そうですね。本来なら、今回はギルドを通さずに直接の依頼ですし、依頼料も割り増しで頂くんですが。うーん、どうしますかねぇ? 依頼内容もはっきりとはしていませんし、依頼料をどの程度にするか。危険度がわからないですからね」
そう言われてみれば、確かにそうだなぁ……。俺の回復魔法だって、完璧とは言えないし。まあ、死ぬほど危険なことがあるとは思えないけど。




