第2話(5)
よくやったわ、とでも言いたげな視線でミィウがこちらを見る。ミィウさんミィウさん、ディールにバレたらどうするつもりですか。
それはともかく。
せっかくディールも参加してくれることになったんだ、なんとかしてあと1人、見つけなきゃな……。
「あと1人、どうやって探そう……」
「ま、どうしても見つからなかったら、ギルドにでも行ってみましょうよ。暇な冒険者の1人や2人いるでしょ」
「そうだねー」
これだけたくさんの人人人でごった返しているんだし、1人ぐらいはなんとかなりそうな気がする。
「手分けして探したほうが見つかりやすいんじゃないかしら」
ミィウのその一言で、俺たちは分かれて対抗戦のメンバーを探すことになった。
ミィウとメルクレン、ディールと俺の2組だ。
しかし、昼飯として屋台に並ばされたあげく、串焼きやスープを食べ終わったディールはどこぞへ行ってしまったので、俺は1人で探す羽目になった。
ディール曰く、
「僕は出れなくてもいいからね。探す必要もないというわけだ」
そしてふらっと消えてしまった。
「はあー……」
おなかいっぱいだし、昼寝でもしたいんだけどなぁ……。
しかして探さずに昼寝してましたなんて、ミィウに言えるはずもなく。
俺は人混みの中へ果敢に紛れ込むのだった。
「歩き疲れちゃったなー」
しばらく歩き続けたけれど、見知らぬ人にいきなり話しかけるのもなかなかに難しい。みんな歩いてるし。目的地があってそこに向かってる風な人しかいないもんなー。どうしたものか。
ふと、喫茶店が目に入ったので、そこで休むことにした。
もう足が棒のようだよー。
喫茶店は目に入ったけど、………………あの人は見なかったことにしよう。うん。俺は何も見ていない。よし。
「いらっしゃいませー」
おっ! 店員さんかわいい。
「こちらのお席へどうぞー」
案内された席に座り、置いてあるメニューを開く。
何にしようかなー。無難にロッビのジュースにでもしようかなー。
お客さんがまばらな店内を、巡回する店員さんを呼び止めてジュースを注文する。
「軽食もあるし、デザートもあるんですよ。今のオススメはフルーツたっぷりのパフェです! いかがですか?」
店員さんはやたらとあれこれ勧めてくる。
うーん……。
やっぱり、あれのせい、かなぁ……。
「いつもこんなに空いてるんですか?」
店内を見渡して、訊いてみる。
「いつもは……こんなじゃないんですけど……」
店員さんも困った風だ。ふと、嫌な予感がして、慌ててメニューについて話を振ろうとメニュー表に目を走らせる。
「あの……」
店員さんがおずおずと口を開く。
間に合え! 俺、何かメニューについて話を振るんだ! なんでもいい! なんでもいいんだ、行け! 先手必勝!!
「あの窓にずっとくっついている変な人、なんとかしてもらえませんか……?」
やっぱりそうなりますよねー!!!
………………間に合わなかった。
「せめて……ジュースを飲んでからでもいいですか……? 喉が渇いているので……」
遠い目をしながら、それだけを絞り出した。きっと俺、目の焦点が合っていない。
「そっ……! そうですよね! 失礼致しました! 今! すぐに! お持ちします!」
パタパタと走り去る店員さん。足音だけ妙にハッキリとしているけど……。よく……見えないや……ハハ……。
ジュースを飲んで、ぼんやりと宙を眺める。
いつまでもこうしているわけにもいくまい。
ミィウ、ディール、メルクレン、そしてノノル。無事に帰れなかったらゴメン。
俺、行ってくるよ!
ノノル……。もふもふしたかった……。
ノノルの首をかしげる愛らしい姿が脳裏に浮かぶ。
「あの……、大丈夫ですか……?」
「大丈夫です……。きっと……もふもふが……もふもふが……」
ノノルはきっと立派に育ってくれるはずだ。老若男女問わずメロメロにするような立派なもふもふに……。
おぼつかない足を叱咤しながら、俺はゆらりゆらりと店内を後にした。




