第1話(48)
「ふはぁーっ」
やっと宿に着いて、4人で俺とディールの部屋へと入った。
「そんなに重くないでしょ」
「気分的にも重いんだよ」
「だったらギルドに預けてくればよかったじゃない」
「そんなことできるの?」
「できるわよ。てっきり、ギルドに長居したくないからさっさと戻ったのかと思ったのに」
「知らなかったんだ……」
「あらあら」
俺とミィウが話している間、ディールはソファに座ってなにやら瞑想している。何してるんだろ……。
メルクレンは買ってきたお土産物をガサゴソとしている。買ってきたものをチェックしてるのかな。
「とにかく金貨分けるよ。1人25枚でいいかな?」
「あら、リーダーが多く貰ってもいいのよ? パーティの資金にしてもいいんだし」
「パーティの資金って何に使うんだよ。俺、そういう管理とかわからないからやだなぁ……」
「そう? じゃあ報酬も等分して、必要経費も出し合うってことでいいかしら?」
「そのほうがいいよ。状況次第で変えるかもしれないけど」
「今はそうしましょうか」
「うん。ディールとメルクレンもそれでいい?」
「構わないぞ」
「私もいいぞ」
聞いてないかも、と思ってたけど、2人とも聞いてたんだな、意外……。
「じゃ、しばらくはこれでいいね。それじゃ、これね」
俺は袋から金貨を1枚1枚数えて、それぞれに渡す。俺の分も一応数えた。多かったり少なかったりしたら困るもんな。
各自が金貨をしまう。メルクレンは広げたお土産物もしまったあと、お茶を出してくれた。
「さて、これからどうしようか」
「特に予定はないわよ」
「私もだ」
「ディールは?」
「そうだな……。2、3日、ここでゆっくりしてもいいんじゃないか?」
「そっかー。それじゃそうしようか」
でも俺、そろそろノノルに会いたいぞ。
「ノノル何してるかなぁ……」
ぼそっともらしてしまったのだけど、ディールに聞かれてしまったようだ。
「気になるか?」
「うん。そりゃあね」
「心配しなくても大丈夫よー。モクルとブラウもいるんだし」
「そうかもしれないけどさ」
「見てみるか?」
「見るって……、そんなことできるの?」
「僕を誰だと思ってるんだ。泣く子も拍手喝采の孤高なる大魔術師ディール様だぞ?」
え、ああ、はいはい。そういえばそうでしたね。
「見せてくれる?」
「もちろんだ」
ディールは指先で円を描くと、空中に光の輪ができた。
中を覗き込むと、モクルが寝ているまわりで、ブラウとノノルが追いかけっこをして遊んでいた。
モクル……、よく起きないな……。
「問題なさそうだな」
「そうだね。楽しそう……」
「混ざってくるか? 飛ばしてやるぞ?」
「いっ、いや、いいよ! 戻ってこれなくなりそうだし」
「あら、モクルもブラウもいるのよ? 道案内ぐらいならしてくれるわ」
飛ばす気満々なの?! どういうことなの?!
「ウォルンも混ざって体力作りでもしたらどうだ?」
うぬぬ……。
「あんなに速く走れないよ」
「だから混ざってこいと言っている」
本気? ねえ、本気?
「ぶっ! そんな不安そうな顔しなくったって!」
ミィウに笑われた。あれ? 俺、からかわれてた?
「ウォルンは本気にするから面白いな」
「もう!」
「仲が良くていいな」
ちょっと! メルクレンさん! 何をどう見たらそう見えるんですか!
「もういいだろう」
ディールが指先で円をなぞると、その光景は見えなくなった。




