第1話(46)
中に入って、俺はテーブルとソファのある部屋にごろんと横になる。ディールもついてきた。
「寝る気か」
「いや、寝ないけど。んーっ」
伸びをする。
ディールはソファに座って、特に何をするでもなく静かだ。
「座らないのか」
「ミィウたちが来たら座るよ」
それまで俺はここででろーん、としているつもりだ。床には絨毯が敷いてあり、なかなか居心地がいい。
何を話すわけでもなく、ぼーっとしていても、ディールと2人だとなんだか気楽だな。
ディールも何も話しかけてはこなかった。
ミィウたちが来るまで、不思議と何も話さず時間が過ぎた。
ポロンポロン、と音が鳴る。呼び出しの音だ。
「俺行ってくるよ」
「ああ」
俺は立ち上がって、ミィウたちを出迎えに行く。
「戻ったわよー」
「腹いっぱい食べてきた。ちょっと苦しいぞ」
「入って入って。座りなよ」
「そうさせてもらう」
「お邪魔するわねー」
ディールは既に座っていた部屋に、ミィウとメルクレン、俺も入ってソファに腰掛けた。
「なんか飲む?」
「とりあえずいいわ。それより、観光に行かない?」
「観光?」
「そう。せっかくテンバドの街に来たんだし、お土産屋を回るだけでも楽しいわよ」
「私は鉱石屋に行きたいぞ。テンバドは鉱石もたくさんあるだろうからな」
「ふむふむ」
「それで、どこかで昼食をとって、そのあとギルドに行ってみるのはどうかしら?」
「そっ、そうだぞ」
「もしかして、ミィウとメルクレンで相談してた?」
「そうよー」
俺、何も考えてなかったなー。
「ディールはどうする?」
「僕はかまわないぞ。みなが行くならついていく」
「じゃ、そうしようか。準備とかはある?」
「特にないわね。どうせぶらぶらするだけだし」
話がまとまったので、俺たち4人はテンバドの街へと繰り出した。
「わりと賑わっているんだねー」
「そうね。鉱山が危険だからって、避難した人も多かっただろうけど。残った人もいるみたいね。普段だったらもっと人が多いんじゃないかしら」
「へー」
俺たちは目についた土産屋に次々と入っては、かわいい小物を見たり、菓子屋で甘いものを食べたりと、観光客のように楽しんだ。
「そろそろお昼ね」
ミィウがそう言ったせいかどうかはわからないが、お腹が空いたような気がしたので、昼食にしようと思った。
「どこかでお昼ごはんにしようか」
「あそこなんてどうだろう?」
メルクレンが指さした先には、落ち着いた雰囲気の定食屋があった。
「いいかもしれないね」
ミィウとディールを見ると、2人とも頷いてくれたので、そこで昼食にすることにした。
量は多目で価格もリーズナブル、味もなかなかだった。ミィウとメルクレンが違う種類のお肉の定食で、とりかえっこしているのを羨ましく見ていた。さすがに女の子が食べてるのをもらう勇気はない。
俺は懲りずにパーティ名はどうしよう、と話したり、メルクレンは鉱石について熱く語ったりと、そこでもゆっくりと時間を過ごした。
食休みも済んだころ、ようやくギルドに行こうか、ということになり。
「楽しみだな!」
メルクレンのテンションはうなぎ登りだ。メルクレンもパーティに入るのとか夢だったのかな。
定食屋を出て、街並みを眺めながらのんびりと歩く。
テンバドに来たときは非常事態だったから、こんな余裕なかったもんなぁ……。




