第1話(45)
「それで補強の魔法に見せかけて何かしたんだ?」
「そういうことだ」
「何をしたの?」
「地魔法に見せかけたつもりだったんだがな。誤魔化せていたかどうか……。ま、結果的に問題なかったんじゃないか?」
「だからわからないって」
「護っていたのが人間だったからな。問題ないだろう?」
「それはそうだけど。何をしたかを教えてよ」
「そっちか」
「そうだよ」
「ってことは、案外誤魔化せてたのかもしれないな」
嬉しそうなディール。だから説明してよ、もう!
「完全に補強魔法に見えてたか?」
こだわるなぁ……。
「崩れないように、土をしっとりとさせたんだろ? あれ? でもそれじゃポルポレンを助けることにならないか。何をしたんだよ?」
「ポルポレンは水属性なんだよ。だが鉱山そのものから水分を吸い取りすぎれば鉱山が崩れるな? と言えばわかるか?」
そういうことか!
「わかったみたいだな。ポルポレンは弱っていた。魔力を使いすぎて、だが補給ができない。だから水属性の魔力を分けてやったんだよ。地魔法に見せかけてな。ついでに鉱山の補強もやっておいたが」
「だから土みたいな色してたんだ……」
「そこまで見えてたか。魔法の才能あるんだな」
「そうかな?」
「どうだろうな」
どっちだよ!
でもやっぱりディールはすごいなぁ……。ディールが気づかなかったら、最悪の結末だったかもしれない。
「そろそろ寝ないか?」
「そうだね」
俺たちは部屋の明かりを消して、眠ることにした。
意識が途切れるころ、きゅ、という音が聞こえた気がした。いつ解除したのかはわからない。
そのまま、俺は眠りに落ちていった。
ぺちっ!
「いてッ」
おでこにちょっとした痛みを感じて目が覚めた。ディールだな?
「もー。なにすんだよー」
「いつまで寝ている。もう朝だぞ」
「むぅうううー」
まだ眠いー。
目をこすりながらベッドからのそりのそりと起き上がる。
「寝起き悪いな」
「朝は弱いんだよ……」
うぬぬぬぬー、と唸りつつ着替えをする。ディールは既にバッチリ着替え済みだもんなぁ……。
俺が身支度を整えるあいだ、ディールは優雅にお茶してた……。
部屋から出ると、ドアのところにメモが挟んであった。もともと、お知らせ用にメモを挟む部品のようなものがついてたみたいだ。
「なんだろうこれ?」
「読んでみろ」
「うん。うーんっとね、あっ、ミィウたちだ! 温泉に行ってるから朝はいないわよ、だってー」
簡単にミィウとメルクレンのサインがしてあった。
「どうする? 先にメシにするか?」
「そうだね」
俺たちは、いったん部屋に戻ってミィウたち宛てのメモを書くと、ミィウたちの部屋のドアのところに挟んで朝食を食べに行った。
朝食を食べ終わり、部屋に戻ろうとしたら、ちょうど部屋の前でミィウたちに会った。
「あー、いい湯だったー。ウォルンたちも温泉行ってたの?」
「俺たちは行ってないよ」
「あら? でもどこかに行ってたのよね?」
「朝ごはん食べてきたんだ」
「そうなの。じゃあ、私たちはこれから朝食に行ってくるわね」
「うん。部屋で待ってるよ」
「わかったわ。朝食が終わったらウォルンたちの部屋に行くわね」
「うん」
部屋に入ろうとしたミィウがメモに気づいた。
「あら? なにかしら?」
「ああ、それは俺たちが挟んだんだ。朝食に行くって書いただけだよ」
「なあんだ、そうなの」
ミィウたちはいったん部屋に戻り、それから朝食へ行くようだ。
俺たちも部屋に戻って、ミィウたちを待つことにする。




