第1話(43)
俺はディールと一緒に浴場から出て着替えを済ますと、男女共通の休憩所みたいなところに来た。
男湯と女湯の建物からそれぞれ廊下で繋がっていて、飲み物や軽食なんかがある。
「ウォルン、酒はダメだぞ」
「えー、俺も飲みたいー」
「へろへろになるだろ。僕も飲まないから。それならいいだろ?」
「ううー」
いいじゃんかケチー。
「アイスおごってやるから」
「う。ならいいか」
「現金だな」
ディールに連れられて、アイスコーナーへ行く。これ完璧にディールが俺の保護者状態だな。まあいいか。
「うわー、全部おいしそうー。どれがいいかな?」
「俺はシュル味にする」
「それドノーマルじゃないかー。冒険しようよー」
「シンプルなほうがうまいと思うがな。冒険したいなら、コルックルとかいいんじゃないか?」
「どんな味がするの?」
「変な味だ」
「なんだよそれよくわかんないよ」
「あとは、そうだな……。ツポリーなんかいいんじゃないか?」
「ツポリー?」
「甘さが控えめでさっぱりしている。酸味もちょうどいいぞ」
「んじゃそれにするー」
アイスを買って空いているテーブル席へと移動する。
「んまー」
「そこそこかな」
「ディールのも食べさせてよ」
「ほらよ」
「こっちもうまいねー。俺のも食べる?」
「一口くれ」
「はーい」
「まあまあかな」
「ディールはジャッジ厳しいね」
「そうか? それよりもだ、ウォルンは何故アルコールに弱いんだ? 回復魔法で効かなくもできるだろうが」
「そこなんだよねー。微調整ができないからさ、まったくアルコールが効かなくなっちゃうんだよ。それじゃ楽しくないじゃんか」
「消そうと思えば消せるわけだ」
「うん」
アイスを食べながら、まわりを見渡す。ほとんどの人が浴衣姿だ。かわいい女の子もいる。眼福眼福ぅー。
あっ、ミィウとメルクレンが来た。
「おいしそうなの食べてるじゃない」
「ウォルンたちも入ってきたのか。いい湯だったな」
「うん。いい湯だったねー」
「私たちも食べようかしら。どうする? メルクレン」
「食べたいぞ」
「じゃあ、行ってくるわね」
「うーい」
「賑やかになったな」
「あはは、そうだね。そういえばさ、俺たちのパーティの名前決めない?」
「そうだな。ミィウたちも来たことだしな」
ちょっとして、ミィウたちが戻ってきた。
「何その量。そんなに食べるの?」
「甘いものは別腹っていうでしょー」
「腹冷やすなよ」
「1種類だけでは迷ってしまったんだ……」
さっそく食べ始める2人。俺は羨ましそうに見ながらも、気になっていたパーティ名について話す。
「あのさ、俺たちのパーティ名なんだけどさ」
「パーティ名がどうかした?」
「もう4人もいるんだし、決めてもいいんじゃないかと思うんだけど、どう?」
「そうねー。いいんじゃない? いい案があればだけど」
案……。案か……。
「メルクレンは何かある?」
「ふごっ?!」
アイスに夢中で聞いていなかったらしいメルクレンは、急に話を振られて驚いたようだ。
「ごめんごめん。なんかびっくりさせちゃったね」
「い、いや、いいんだ。しかし、パーティ名か。どんなのがいいんだろうか」
あ、聞いてはいたんだ……。
4人とも特にこれといって思いつかなかったから、パーティ名はまたしても未定のままになってしまった。
うーん、かっこいいパーティ名にしたいんだけどなー。
アイスを食べ終わってゆっくりしたあと、それぞれの部屋へと戻ることになった。




