第1話(41)
それぞれの料理には簡単に説明文があり、材料や料理法が書いてある。とはいえ、全部の料理の説明を読んでいたら日が暮れそうだ。
俺は目についた料理を盛り、テーブルに戻った。
「おしょいわねー」
3人は既にガツガツと食べ始めていた。
「あんなにたくさんあったら迷うよ」
俺は座って、食べ始めようとする。俺の座った目の前には、飲み物が置いてあった。そういえば持ってきてない。
「これ、俺飲んでいいの?」
「遅かったから持ってきてやった」
ディールだったのか。
「ありがとう」
「まあな」
なんだか変な返事だがディールらしい。ありがたく飲むことにする。癖のないシンプルなお茶だ。
「もひゅらむんももも?」
はい?
「何言ってるかわからないよ。飲み込んでからしゃべってくれる?」
ミィウがいっぱいに頬張ったものを飲み込むまで待つ。
「これからどうするの?」
「これからって?」
「何か行き先とか決めてるのかと思って」
「うーん」
特に決めてはいないんだよなぁ……。
「まだ何も。行きたいところがあるならそこ行こうよ」
「私もないわよ」
ないのかよ。うーん、どうなんだろう?
「まずはここでゆっくりしてからでもいいんじゃないか」
ディールが助け船を出してくれる。
「そうだよね。急ぎの用事もないし。とりあえずは明日ギルドへ行ってどうなったのか確認して、メルクレンのパーティ登録をしよう」
「そっ、そうだよな、私も早くパーティ登録したいぞ」
メルクレンが食い気味に早口で言った。
それから俺たちは料理に舌鼓を打ちながら、あれこれとたわいもない話をして、レストランを後にした。
部屋に戻り、ディールと2人になる。
「いやー、おいしかったー! おなかいっぱいだよ」
「よかったな」
「うん。ディールこのあとどうする?」
「せっかく来たんだ、温泉に行くに決まっているだろう。少し食休みするか?」
「うーん。このまま横になったら寝そう……」
「なら行くか」
「そうする」
俺はずるずるとテーブルに近より、パンフレットを手に取る。
「ひゃー! この宿すっごいなー。温泉は屋外にあるのかー」
「見せてくれるか?」
「ほい」
ディールにパンフレットを手渡すと、俺はバタンと横になる。
「おいおい、寝るなよ?」
「だーいじょーぶだよー」
「ほんとかね」
パンフレットを持つディールはあきれた顔をしながらも、目を通している。
「タオルも浴衣も無料貸し出しみたいだな。ほら、行くぞ」
「んーいっ」
勢いをつけて立ち上がった。
いったん1階におりて、魔法陣で温泉へ。宿の敷地内にだだっ広い庭のようなところがあり、そこに温泉があるようだ。
魔法陣から出ると、スタッフが鍵番号を確認するようだ。
「温泉は有料なの?」
「いいえ。お泊まりのお客様の入浴は無料です。万が一のために確認させて頂いております。のぼせたりされる方もいるんですよ」
「そうなんだー」
スタッフさんからロッカーの鍵を受け取った。タオルや浴衣はロッカーに入っているそうだ。荷物なんかもそこに入れるらしい。うーん、なるほどなー。
男湯と女湯は建物が別々になっている。パッと見てわかるようになっているので、ディールと一緒に向かう。
浴衣姿の女の子たちがキャッキャと話しながら歩いているのとすれ違ったりして、なんだかいい感じだ。
やましいことなんて考えてないぞ。
ないもん!
「なに変な顔してるんだ?」
「えっ? 変な顔してた?」
「してたぞ」
うわー。




