第1話(40)
まずは1階に魔法陣で戻り、1階から最上階へ魔法陣で行くという手順だ。
他の人が使っているときは魔法陣の中には入れない仕組みになっていて、少々待たされることもある。
「それにしてもよくできてるなー」
「魔法陣のこと?」
「そうそう」
「僕ならもっと便利な魔法陣にするけどね。だいたい、スペースを使いすぎじゃないか。1人ずつしか使用できないのもいただけないな」
「あら、この方法が主流よ。階段を使ってもいいけどね。魔法陣の事故が起こらない画期的なシステムなのよ」
「へー」
「すごいんだな」
「おい、僕の話は」
「さあ! たっくさーん食べるわよ!」
「………………」
おーい、ディールが拗ねちゃってるぞー。
魔法陣から短めの廊下を抜けて、でかくて豪華な入り口をくぐる。
ここにもスタッフが大勢いた。うわー、総勢何人くらい働いてるんだろう。
「こちらは初めてですか?」
そのうちの1人が話しかけてきた。
「そうね、ここは初めてね」
「ではご説明させて頂きます。こちらのレストラン・ホールは大きく分けて2つになっております。1つは注文形式のテーブルのホール、こちらは各テーブルに仕切りがあり、まわりを気にせずお食事を楽しんで頂けます。もう1つはバイキング形式のテーブル。こちらは各テーブルに仕切りはございません。あちらにあるお料理をお客様自身で好きなだけ選んで頂けます。どちらがよろしいでしょうか?」
ミィウが俺たちのほうに振り向いた。
「どっちにする?」
「まかせるよ」
「そっちの2人は?」
「わっ、私はバイキングがいいぞ!」
「僕はどっちでもいいが」
「じゃ、決まりね」
ミィウは振り向いてスタッフに答えた。
「バイキングにするわ」
「かしこまりました。お部屋の鍵番号を確認させて頂いてよろしいですか?」
全員の鍵を確認するのかとあたふたしたが、ミィウが差し出した鍵の番号だけ確認するとスタッフは頷いた。
「1406号室ですね。バイキング4名様分、承りました。お席にご案内致します」
案内された席は4人席で、窓際だった。外の景色がよく見える。
「何かありましたら、スタッフにお声かけ下さいませ」
そう言って一礼するとスタッフは離れた。
バイキングのホールは、Cの字状に各テーブルが配置されていて、その真ん中に料理や飲み物のテーブルがあり、Cの字の先に厨房があるようだ。各テーブルから料理が取りに行きやすく、厨房からも料理を置きに行きやすい配置だ。
スタッフは随所に立っていて、いつでもわからないことがあれば訊きに行けそうな感じ。
夕食の時間には少し早いからか、客の姿はまばらだった。
「さっそく行くわよ」
「色々あって迷いそうだな」
ミィウとメルクレンが立ち上がり、俺とディールも後に続いた。
規則性がないようでいて、絶妙なバランスで取り皿と料理が並んでいる。これならどのテーブルから来ても料理を選びやすそうだ。
飲み物だけは一ヶ所にまとまっているから、客が多いときは混みそうな印象を受ける。
「これとー、これとー、あれもいいわね」
「私はこれがおいしそうだと思うぞ」
「それもいいわね、私もー」
女子は楽しそうだ。
ディールは無言で料理を盛り付けているが、目が興味津々といった感じでこっちも存分に楽しんでいるみたいだ。
俺は、楽しいのは楽しいんだけど、いっぱいありすぎて迷うなー。優柔不断なんだよー。
俺以外の3人が料理を盛り終わっても、俺はまだだった。
「置いてくぞ」
ディール、冷たい……。
3人はとっとと席に戻ってしまった。ううー……。




