第1話(31)
さっきのちっこい魔物は俺だけでなく、歴戦の戦士たちにとっても脅威だったようだ。
怒鳴る者、申し訳なさそうにする者と様々だったが、彼らはゾロゾロとこの場を後にした。
残ったのは俺たちのパーティと魔斧炎獄のパーティだけだった。
「あれ?」
「どうした、ウォルン」
「俺たちだけ?」
「みたいだな」
「ここからは好きに暴れていいのね!」
ミィウ、嬉しそうだな。
「微力ながら私も手伝おう」
こいつもか。
「あれだけ強いのが出てくるとなると、モクルとブラウはちょっと不安ね。少し離れたところで見ていてもらおうかしら。ウォルン、ノノルだって心配よね?」
『ごちゅじたまー』
いつの間にか足元をノノルがうろちょろしていた。
「じゃあ俺も……」
「ウォルンはすぐ近くであの回復魔法をかけててくれなきゃいけないわよ?」
そうなりますよねー!
「話の途中ですまないが、いいだろうか?」
まそーえんごくのおにーさんだ!
「は、はいっ。ななななんでしょっかっ」
「……なんでウォルンが緊張してんのよ」
うるさいな、ミィウ。
「人数にして10人と、魔獣が3匹、でいいだろうか。気にさわったのならすまない」
「あら、いいわよ」
「こちらは鍛冶師は戦闘に参加させたくないのだが、いいだろうか」
「ええ。こっちも魔獣は参加しないわ。ちょっと後ろに下がっていてもらいましょう。参加するのは私とこっちの3人ね。と言っても、うちのリーダーは回復専門だから。戦えるのは私を含め3人よ。でも余裕よね、怪我しないから」
「それは頼もしい」
「たぶん違うわよ? ウォルンが、あ、うちのリーダーがいるから怪我しない。ノーダメージよ。戦いやすいわよー」
それはつまり?
「そういうわけだから、ウォルン。こちらの4人も回復魔法かけ続けてね」
「はいはい」
「はいは1回よ!」
「はいっ」
疑問符を浮かべたような魔斧炎獄のメンバー。うん、そんなこと言われても意味わかんないよな。
「僕からもいいかな?」
ディールくん? またとんでもないことを言い出す気じゃないだろうな?
「バリアを解いて一斉攻撃でいいか? ちまちまやるのは性に合わない」
「無茶言うなよ!」
「いや、それでいこう」
ちょっとちょっと、おにーさんまで!
「ただ……、そうなるとこちらは魔術師2人が動けなくなるがいいか?」
「補強か」
「そういうことだな」
どういうことー?!
「ウォルン、鉱山で派手に暴れると崩れる恐れがある。そうならないために補強の魔法をかけるんだ。まあ、僕は遠慮なく暴れさせてもらうよ」
そういうことか。
話がまとまったところで、非戦闘組は少し後ろのほうに下がってもらう。
3匹と1人だな。多少なんかあっても、モクルとブラウがいるからノノルのことは護ってくれるだろう。
バリアを解いた瞬間に補強魔法がかかるように、魔術師の2人は詠唱をしていた。
「先に呪文唱えておくってこと?」
「ウォルンにしては物わかりがいいじゃないか」
くっ……! ばかにするほうがばかなんだからな!!
まあいいけど。
「バリアが解かれたら一斉攻撃でいく。僕は氷魔法で広範囲に凍らせるから、凍らなかった魔物を倒して欲しい。以上だ」
「ところでウォルン」
「なんだ?」
「あの回復魔法ってどのくらいの範囲に効果があるの?」
「さあ? わかんないな。広範囲ってやったことないし」
「不安ねぇ」
「まあ頑張ってみるよ」
考えてみれば、今回はみんなあちこち動くだろうからなぁ……。
目で見るのだとしんどいかな?
「じゃ、俺いまから動かないから」
「はあ?」
「回復魔法に集中する」
「任せたわよ」




