第1話(28)
坑道を進んで行くと、なにやらでかいのがうろうろしていた。
あれがゴーレムかな?
『……タマエ。ジュンカイチュウ。ジュンカイチュウ、コウゲキハシナイデクレタマエ。ジュンカイチュウ。コウゲキハ……』
ほんっとに言ってる!
「なっ、なんなんだ、あれは!」
メルクレンが驚いてる。そうだよなー。
「素晴らしい出来だろう。僕のゴーレムは動きも滑らかだろう? なかなかあんな風には……」
「何回見てもおかしいわね、アレ」
「ミィウ、おかしいじゃなくて素晴らしい、だろう?」
「ディール、素晴らしい、ぞ……」
メルクレン、メルクレン。無理しなくていいから。
「こんなこともできるぞ?」
全身ぴかーっ、と光るゴーレム。ディール何してんだ……。ほら、事情を知らない人たちがどよめいちゃってるじゃないか。
「ディール、すごいのはわかったから。前方の人たちが驚いちゃってるじゃないか」
「素晴らしさにだろう」
違う。断じて違う。
緊張感なさすぎるだろう……。なんだろう、ここだけ別世界みたいだ。他のパーティ見てみろよ、まったく……。
しばらく奥のほうへ進むと、ひらけた場所へ出た。
「このあたりから、最近掘り進められていたところだそうよ」
と、ミィウが説明してくれる。
「他のところは道が狭かったようだけど……」
「他のところも同様だ。少し奥へ行けば広くなっている」
なるほど。狭いところはあくまでも道なんだなー。
そこから少し進むと、うわあ、死屍累々だ。
「俺、行ってくるね」
そう言うと、ミィウたちが頷いた。
「ちょっと通してくださーい」
こっちの集団を掻き分けて、現在の前線組の近くまで行く。
うん、1人1人とか面倒だな。まとめてかけちゃえ。
「よっ、と」
回復魔法に状態異常回復も混ぜてかけてから、俺はそそくさとミィウたちのところへ戻る。
「はあっ?」
「なんだいまの」
「回復魔法術師のにいちゃんか!」
なんか色々聞こえてくるけど気にしなーい。
回復魔法自体は疲れないんだけど、反応に対応するのが気疲れしちゃうんだよな。
ってなわけで、三十六計逃げるにしかず、だっけ?
さっと身を隠すんだ、俺!
「すみませーん、通してくださーい」
まああんまりかっこよくはいかないけど。
「おかえりなさい、ウォルン」
「おー……」
振り返って見てみると、魔斧炎獄の人たちが、上手にメンバーの入れかえを行っていた。指揮系統は任せる! 俺には無理だ、うん。
俺たちのパーティも、入れかえで避難場所へ戻っていく人たちが通れるように道をあける。
ささっ、とモクルの後ろに隠れる俺。何事もなく入れかえは済み、まずは先頭にいたパーティが戦うみたいだな。
すぐ後ろには魔斧炎獄のメンバーが控えている。なんちゃらほんちゃら、俺にはわからない呪文を唱えると、魔物が3匹、バリアのこちらがわへ来たようだ。
なるほどなー。少しずつやっつけていくのか。
「いきなり3匹も相手するの?」
ミィウが驚いたように言う。
やっぱり魔物を3匹ってすごいのか。
「あの程度なら楽勝だろう」
と、ディール。
「やっかいな魔法は使ってこないタイプだ。せいぜいが単純な攻撃魔法と物理攻撃タイプだな。スピードもそんなにないから、小手調べみたいなものだろう」
「へぇ、そうなの」
ディールの言う通り、苦戦しているようには見えない。わりとあっさりとその戦闘は終わった。
そしてそのパーティは次のパーティと入れかわるようだ。無理はしないってことかな? パーティの数は少ないわけでもないからなぁ……。
次のパーティも最初のパーティと同じく、3匹の魔物と対峙する。




