第1話(25)
「さってと! 話もまとまったことだし、腹ごしらえといきましょうよ」
ミィウ……?
「さっき食べたばかりじゃなかったか?」
「笑ったらお腹が空いたのよ」
ああ……、うん、いいんじゃないだろうか。
「じゃあお願いね? ウォルン」
ああ……、うん? いい……わけあるかー!!!
しかたなく俺はみんなの分のごはんを持ってくることになった。
「わっ私も行くぞ」
メルクレンだけだよ……、手伝ってくれたのは。
わきあいあいと食事が進む中、俺はおかわりだのなんだのと使いっ走りにいそしんだ。なぜだ。
ん?
あっちとこっちを行き来していたら、なんとなく違和感を覚えた。
なんだろう……?
俺たちのパーティはなごやかなのに、まわりには緊張感が漂っている気がする。
気のせいかな……?
何回目かわからないおかわりを持ってきた俺はミィウに訊いてみた。
「俺の気のせいだと思うんだけど、なんかピリピリしてる……?」
「んもぐっ、んぐ、んもー」
それにしてもよく食うな、ミィウ。ブラックホールか。
「ってわけなのよ」
ごっくんしてからミィウが言った。
え?
「ミィウ、何て言ったんだ?」
「あははははは、冗談よ。まだ何も言ってないわ」
まったく。まぎらわしい。
「そうねー。まわりの雑魚もあらかた片付いたし、そろそろ本番なのよ。強そうな魔物と対峙しなきゃなのよね。今までは雑魚が壁になってたのもあって、楽っちゃ楽だったんだけど」
「魔物……」
「そうよ。見たことはある?」
「ないんじゃないかなぁ……」
「そうよね。あまりお目にかかる機会はないわね。悪魔の棲み家とか、ダンジョンにでも行かない限り。その辺を魔物がうろついてるなんてことはめったにないからね」
「召喚術で喚び出すってこともありえるがな」
と、ディール。
「召喚術で……。誰がそんなことを」
「そうと決まったわけではないがな。可能性は高いと思う。あとは……、召喚の失敗とかだな」
「召喚の失敗?」
「そうだ。未熟な魔術師は召喚術に失敗して魔物を喚び出してしまうことがある。ただの勉強不足だがな。魔法陣を間違えるとそうなる」
「魔法陣を間違え……って、わざわざ鉱山で?」
「噂のせいかもしれないな」
それまで黙っていたメルクレンが口を開いた。
「噂?」
「テンバド鉱山で、リューダリスが見つかった、という噂が流れたんだ」
「それ聞いたことあるかもしれないわ。リュー? ダリ、ス? ってのは知らないけど、なんだかすごい鉱石が見つかったって話題になったって聞いたような……」
「真偽のほどはわからないが。盗賊団が出るかもしれないから注意しろという知らせは聞いたな」
それじゃ今回のことは盗賊団のしわざかもしれないってことか。その珍しい鉱石を狙って、魔獣や魔物を召喚して鉱山を占領しようとしたのかな。
「まっ! なんにしても、私たちがすることは変わらないわよ。魔物を全て倒す! それだけね」
「私も戦闘に参加したいんだがいいだろうか」
「それはウォルン次第ね」
なんで俺っ?
「ウォルンが一緒に来てくれるならメルクレンも安心して参加できると思うわ」
「それはそうだな……。ミィウ、僕もこの鉱山の他の場所は全て見回った。見張りも置いてある。僕も前線について行くぞ。あとはここにいる回復術師だけで対応できるだろう。ウォルン、いや、リーダー、どうする? メルクレンも連れて行くか?」
ぅおいー!
俺は! あくまで! 一時的なリーダーのつもりなんだけど!
「ぶはっ」
え?
「見張りって見張りって、もしかしなくてもあのゴーレム?」
「あのもそのもない。ゴーレムだが?」
「やっぱりディールだったのね! なんなのよあれ、どうしてああなっちゃったの!」
「ああ、とは? 渾身の出来なんだが。通信機能もついているし、消費魔力も非常に少ない優秀なゴーレムだ」




