第1話(19)
「ミィウ、モクル、怪我はない?」
「ただいま、ウォルン。私もモクルもなんともないわ。回復薬で治せるぐらいの怪我ぐらいしかくらわなくなったわね。戦闘が始まったときに比べて連携が上手くいくようになってきたからかしら」
『うぉるんさま、ごしゅじんさまもぼくもぶじです。しんぱいありがとうございます』
「それは良かった」
俺は胸を撫で下ろす。
そりゃそうか、最初は知らない人同士で敵と戦ってたんだもんな。得意な戦い方とかわかってくればだいぶ違うよなぁ。
「連携は上手くいくようになったんだけど……」
「何か困ったことでもあるの?」
「打撲系の武器使いとか魔法使いはいいんだけれど、私の鞭の斬れ味とか、斬りつける武器で戦っているメンバーの武器が良くないわね……。鍛冶屋へ行きたいわ。戦いづらくてしょうがないの」
『ごしゅじんさまのぶきはまだいいですよ。だめーじはあたえられます』
「でも最高の状態じゃないわ。もっと攻撃力があるのに」
ミィウの武器って単なる鞭じゃなかったな、そういえば。
「その点は心配いらないよ。鍛冶師が来てるから。ほら、あそこ」
俺はメルクレンがいるであろう場所を指さした。人だかりになっている。
「何あれ?」
「たぶんだけど、剣とか研磨してるんじゃないかな。前回の集団が戻ったときもあんな感じだったし」
「手が空いたころを見計らって私も行こうかしら」
「それがいいね」
「それにしてもお腹空いたわ」
『んー……にゅー……。んんー……、ごしゅじんさまー、おかえりなさいー……』
ブラウが起きてきた。ノノルはまだ寝てるな。すぅすぅと寝息が聞こえている。けっこうブラウがもそもそ動いてたのにまったく起きるそぶりを見せない。
ディールも熟睡中。少し顔色は良くなってきたみたいだ。
「俺はここでノノルとディールの様子を見てるよ」
特にすることはないが、なんとなくここにいたほうがいいんじゃないかと思った。ノノルやディールが起きたとき、誰もいないのは不安だ。どっちもなんかほっとけないタイプなんだよな。
「私はモクルと食べ物をもらってくるわ。ブラウはどうする?」
『わたしも……ごしゅじんさまといきますー』
ブラウ、まだ眠そうだな。声がそんな感じだ。
ミィウとモクルとブラウは食事の準備を手伝いに行った。モクルとブラウは行く必要があったのか疑問だが、主人のそばにいるのは彼らにとって当たり前のことかもしれないと思い直す。
俺はノノルのふさふさの毛を撫でながら、ディールの様子も視界に入れておく。
ノノルもそうだけど、ディールもぐっすり寝てるなー。がやがやしてるのに。さては一度寝るとちょっとやそっとでは起きないタイプなのかな。
ディールにかけた毛布からチラリと見えているディールの杖。メルクレンの話を聞く限りでは、鉱石には効果がないみたいだったな。なにか特殊な魔法がかけられていたりして。あの杖がなかったら魔法の効果が下がるとか?
冒険者と話す機会がいままでそんなになかったから、魔法使いの杖とかにも詳しくないんだよな。俺も専用の杖を持つとしたら、どんなのがいいかな? どんな効果のものがあるんだろう。
こんなこと考えたこともなかったな。
メルクレンに杖のことを相談するの忘れてたなー、と思いながらノノルを撫でまくる。触り心地いいな……。
ノノルの触り心地を堪能していると、ミィウたちが食事を持って戻ってきた。
「すごい量だね……」
ミィウがよく食べるのは知っているけど。
「当たり前でしょ、このぐらい食べなきゃ戦えないわよ」
モクルとブラウの分もあるもんな。
ミィウたちは座って食事を始める。俺もディールやノノルが起きたら食べよう。




