第1話(15)
俺、パーティのリーダーじゃなかったかな……。気のせいかな……。
俺は俺の直感を信じ、多めに食事をもらってきた。
思った通り、追加で持ってきた分はブラウはともかく、ディールどころかミィウにまで取られる始末。
もちろん、自分が食べる分は死守したけど! 多めに持ってきて良かった……。
ノノルは俺が戻ったときには既におなかいっぱいだったのか、すやすやと寝息をたてていた。
「僕は寝るぞ。ブラウ、ウォルン、おまえたちも寝ておけ。起きたらまた続きだ。次は少し奥のほうを探索してみるからな。何が起きるかわからない。寝れるうちに寝ておかないとな」
食べ終わると、ディールがそう言って躊躇なく睡眠体勢に入った。
「私たちも寝るわ」
パーティ揃って全員寝るのも安全面でどうかと思ったが、ここなら大丈夫だろう。俺も異もなく寝ることにした。
って、あれ?
食器の片付けは?
「お疲れでしょう。片付けは私たちに任せて下さい」
回復術師の面々だ。そういやいたっけ。まだ魔力が回復していないからと、こういったこまごまとしたことを請け負ってくれる。
ありがたくお言葉に甘えるとして、俺も寝ようと横になった。
思っていたよりも疲れていたのか、あっという間に意識が薄れていく。
夢もみず、ぐっすりと寝入ってしまったようだ。
目が覚めたら大変なことになっていた!
なんてこともなく。
「いつまで寝てんのよ」
飽きれ顔でミィウにはたかれた以外何も起こりませんでした。
「じゃ、私たちは行くわね。交代の時間だわ」
ミィウとモクルは前線へ向かう集団に混ざって行った。
回復薬の、それも強力なやつを作れたりだとか、そういうことができないのが歯がゆい。
「何もできなくて悪いな。気をつけて」
そう声をかけた俺に、ミィウは笑って言った。
「何を言ってるのかしらね。ウォルンがいるから心強いわよ。大怪我したって治してもらえるのだもの」
とはいえ、早く前線に参加したいな。
「何ぼけっとしてるんだ。おまえはここでしっかりおるすばんをこなせよ」
ディールからハッパをかけられた。そうだ、まだ取り残された負傷者がいるかもしれない。
『おうすばんー。しっかいこあすー』
ノノルのほうがしっかりおるすばんできるいい子だな……!
「ブラウ、行くぞ」
『うぉるんさま、いってきます』
ディールとブラウを見送って、また待つだけの時間だ。考えてみたら、ミィウやディールたちとは知り合ったばかりなのに、いなくなったとたん急に心細くなる。
「なんだかおかしいな……」
笑ったつもりだったが、掠れた音が出ただけだった。
『ごちゅじたま、げんきあい?』
ノノルにまで心配されてしまった。
「ノノルがいるから元気だよ」
『ん。ののゆ、いゆ! ごちゅじたま、げんき!』
ノノルの頭をぐりぐりと撫でた。
『ごちゅじたまー。あめてあめてー』
ちょっと強かったか。
『うー』
ぐらぐらするのか、顔を両前足でこしこしするノノル。かわいい……!
そうだ、俺にはノノルがいるじゃないか!
しばらくはすることもなかったのでノノルと戯れていた。
「今度こそ!」
逃げるノノルを捕まえようと地面へダイブ!
ゴンッ。
顔面を強打した。
『ごちゅじたま、あいじょーびー?』
「なんのこれしき」
そう、これが俺でなければ怪我はまぬがれない。しかし転ぼうが斬りつけられようが、俺には効かぬ!!
「何してるの?」
ふっと顔を上げると、刃物をたくさん背負った健康美人がいた。
「かわいいノノルと遊んでいました」
「頭打った? 大丈夫?」
なんだかすごく誤解されている気がする。俺は正気です。
「どこもなんともないです。それにしても、すごい武器の量ですね」
武器運搬班の人だろうか。
「ああ、これ? 春の新作・魅惑の輝きでハートをゲット☆」
ターゲットの心臓を一突き、っていうわけですか。危ねぇな、おい!!
今は春じゃないとかそういうツッコミは止めとこう。新作の餌食第1号にはなりたくない。
「安くしとくから、どう? これとか自信作なんだけどー」
す、と前触れもなく剣を一振り取り出す。確かに魅惑の輝きですね、魂奪われそう、物騒な意味で。




