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~監査人・三ツ谷 華~  作者: 船橋新太郎
第1章・~宝石箱~
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第三十三話 祖母屋、死す

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・三ツ谷 華 (みつたにはな)

蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。


・置田 藤香 (おきたふじか)

故・蓮次の妻。器量と度胸に優れ、夫亡き後は置田勢を率いてきた。若い世代を教育後、村を託そうと切に願う。若くして蓮次に見初められた強靭で屈強な戦士の資質と、美しく気の付く女性の品格を持つ。


○宝石箱(九狼党)


・祖母屋 宇禰 (そもやうね)

美咲に仕える女中頭で金庫番。元は寺院で守役をする知恵と人望の持ち主。今は秘八上の美咲に流れる金を管理している。人の良さそうな笑顔を振りまく老婆。美男子を部屋に監禁し、自分の魅力を肯定する異質な性癖を持つ。その実は違法宝石の仲介人であり、更には美咲に流れる募金に着手する悪人。


■ ▢ ■ ▢




【前回までのあらすじ】


違法宝石の流通を探る華は、次々と暗殺されていく重要参考人を保護することを考える。

華と宗助は、手に入れた顧客名簿に載る人物を追うも、❝宝石箱❞の顧客たちは、次々と暗殺されていくのだった…

華と宗助は、桐谷医院で死体と密書を見つけると、浦路と水本(貴婦人)が宿屋・波にいる事が発覚。

急ぎ、保護へ向かい、受付前で張り込んでいた。

不覚にも睡眠薬を混ぜたお茶で眠らされる宗助は、犯人が暗殺者・雪平若子と断定する。

急ぎ部屋へと向かう華と浦路は、惨殺された水本とその愛人を前に、憎悪と悲しみの気持ちを抱く。

浦路から、【宝石箱】の正体を聞くと、その一人【薔薇】は、祖母屋だった。

そして浦路が違法宝石を取引していたのは南蛮人で、その者の名はロベルト・ロマノ。

翌日、赤島の死体が上がり、華と宗助は、冴島と合流すると、福本も現れる。

赤島は心中したと処理する福本に、異を唱える華。

福本は冴島に、この事件の背後には九狼党の脅威を示唆される。冴島は、華に真実を話す代わりに条件として、今回は赤島の件から手を引いて貰う事を提示。

華ら一行は、秘八上へと向かうと、美咲の代理と瑠璃川と面会となる。

これまでの経緯と、薔薇も正体が祖母屋であることが、生存者の浦路からの情報と説明する華。

これに対し、瑠璃川は後日、連絡をすると残し、この場を解散する。

瑠璃川は、美咲に華との報告を済ますと、しばらく外回りをすると伝え外出する。

祖母屋と、その腹心・棋山は❝頭❞より結果報告にと一早く旅館・瀬織津へ赴いていた。初夢への対抗心を燃やす祖母屋。

しかし、二人へのその評価は散々たるもの。浦路は生きており、華は祖母屋の正体に気付いたことに、生かす価値を問うが、❝初夢❞が最後のチャンスを与えるよう、フォロー。

二人は、悔しながらも、それに応じ、華らの殺害へと向かう。

その運びをする❝初夢❞に才を感じる❝頭❞。❝初夢❞、彼女は実は❝瑠璃川 三葉❞だった。


そして、その正体も知らず、ただただ【宝石箱】根絶を目指す、華たちに、忌部と雪平の魔の手が忍び寄るも、華の機転と仲間の反撃で撃退する。

❝頭❞への報告をしに、棋山と出頭する祖母屋は、いきなり責を問われ、棋山は祖母屋を切り捨てようと反論を述べるも、毒茶を飲まされ殺されてしまう。

❝頭❞に藤香と華の会合の日を教えてもらうと、それが殺害の最後のチャンスと、毒茶にて二人の殺害を狙う。

そして、当日、華は藤香に謁見するが・・・

女中が茶釜を取りに奥へと戻る。

「栗の母がだいぶよくなって、細かいことを色々やってくれるようになったんだが、今日はあの女中を雇ってな。」

「そうだったんですね。」

藤香が女中を目で送りながら、そう話すと、華も相槌を打つ。

「ところで、宝石箱を追い詰められそうなのか?」

藤香が話を切り出す。

「はい。祖母屋を捕まえ、元締めを聞き出せれば、全容も明らかになるかと。」

「祖母屋か…素晴らしい指導者だったと聞くが…」

「人とは、変わるものですね…」

「欲望が人を変えるのだ。それを己で制御しなくては…」

「…はい。」

藤香の深い話しに、深刻な顔で応える華。


「あ、私、女中(彼女)のお手伝い、してきます。」

「ん?ああ、悪いな。」

「いえ。」

華が奥の台所へと向かう。


「お茶、手伝いまー」

「ーちっ!タイミング悪い娘だね!」

「祖母屋さー」

台所へと入るなり、女中の素顔は祖母屋だったことに驚く華。祖母屋は、近くにあった包丁を手に取る。

「や…止めて下さい!落ち着いて!」

「何言ってんだい!アンタのせいでワタシャこのザマよ!死なば諸ともだよ!」

祖母屋はそう言い放つと、包丁を振り回す。

「止めて下さい、止めー」

華は追い詰められ、茶釜の湯を浴びせかける。


ーバシャ!


「ギャア!この…バカ娘…!ペッ…ペッ!」

熱さでのたうち回りながら口に入ったお湯を吐き捨てる祖母屋。

⦅ー華?何があった?⦆

藤香が物音で台所へと来る。

「ー! これは…!?」

「女中…祖母屋がいきなり襲ってきて…!」

藤香に状況を説明する華。

「…まさか、自分の毒を飲まされるなんてね…!」

祖母屋が苦しそうに言葉を発する。

「毒ですって?」

「祖母屋、お前本当にー」

「ーワッハッハ…何も知らない平和ボケは、このまま九狼党に震えるがいいわ!」

「九狼党?…待って、あなたは宝石箱の人間じゃー」

「ー冥土の土産に教えてやるさ…宝石箱なんてのは九狼党の資金調達部隊に過ぎない…ゲホ!…」

「宝石箱の首領は?誰なの?答えて!」

力尽きそうになる祖母屋を華が抱える。

「ヒッヒ…アンタもよーく知ってるさ、豊倉だよぉ。」

「ー!」

祖母屋から出た人名に言葉に耳を疑う華。

「ヒッヒッヒ…その顔を見れただけでも往生できそうだねぇ…ゲホ…ゲホ…」

「待って、九狼党の首領は?組員は誰?ねぇ!死なせないわ…!」

華が懸命に救命行動をする。

「❝頭❞は…顔すら見せぬ…組員も…アタシなんかには…」


ー!


その時、祖母屋の脳裏に瑠璃川三葉が浮かぶ。

「どうしたの?何かあれば話して!」

「ヒッヒッヒ…ゲホ…❝初夢❞…あの女だけは…殺してほしい…アンタのような女史とやらに、こんな頼みをするようじゃあ…アタシもヤキが回ったんだねぇ…ンゲホ!」

祖母屋が哀しげに口を残すと、吐血する。

「ちょっと…しっかりー」

「ー❝初夢❞…九狼党の手がかりで、…アンタと同じ女史たる民政家という化けの皮を被る…❝頭❞の右腕となり得るあの女…三…」

そこまで言うと祖母屋は絶命する。

「ちょっと…祖母屋!❝初夢❞…?三つ?」

「何か言いかけたな?」

華が整理していると藤香も聞いた言葉に疑問を抱く。

「三つとか…何とか…」

「外に宗助らは?」

「あ、います。呼んできます!」

華が走って外へ出る。

「九狼党…ついに頭角を現したか…!」

藤香は拳を握りしめる。

次回2025/6/19(金) 18:00~「第三十四話 白日の下に、そしてー」を投稿予定です。

 

※今回を以ってGW読書・強化月間月間を終了します。

次回は最終話・特別投稿となります。ご期待下さい。

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― 新着の感想 ―
祖母屋はとうとう死んでしまいましたね。華はやっぱりタイミング良くて素晴らしいですね。
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