第一話
目が覚めた...
長い夢を見ていた気がする。
視野に入る風景に見覚えはない。
ここは一体どこなのだろう?
立ち上がったときに違和感があった。
体が凄く軽い!
ポッコリお腹もへこんでいるではないか⁉
これってもしかして転生しちゃった?
しかもかなり若返ったみたいな。
だったら二度目の人生丸儲けじゃアーリマセンカ、アーリマオンセン⁈
御無礼、韻ヲ踏デミマシタ!
思えば前の人生は法の名の下に縛りが多く、とても窮屈だったな。
やりたいこともやれず、言いたいこともいえず欲求不満を溜めたまま寿命を迎えてしまった。
どうせならもっとエロイ...コホン、やりたいことをやればよかったと、おおいに悔やんだが、それはこれからいくらでもできるのだ!
にやけた顔でそんなことを考えながら足の向くまま気の向くまま歩き続ける。
すると前方からこちらに向かって歩いてくる人がいる。
しめしめ、色々聞きたいことがあるし声をかけるとしよう。
「スニマセーン、チョットイイデスカ?」
緊張のあまり新興宗教の勧誘みたいになったが、それでもなんとか今は永禄3年3月15日で一番近い町は清州だと教えてもらった。
太閤立志伝をやりこんだ者にとっては十二分な情報といえる。
永禄3年は1560年のことで5月19日に桶狭間の戦いがおこった年だ。
願ってもない状況に転生したのだから、もはや勝ったも同然⁉
天下人だって夢じゃない...はず?
確かに歴史を知っていることは途轍もないアドバンテージだ。
だがその優位性をどう生かせば良いのだろか?
ここには誰一人知り合いもいなければ伝手もない。
ならばまずは人脈作りが急務かもしれない。
後2か月ほどで戦国時代初期の最大のイベント[桶狭間の戦い]がおこる。
それまでに織田家に入り込み歴史の知識を生かしたいが。
清州の町は今、よく言えば活気にあふれていて悪く言えばごった返している。
信長が尾張を統一後、名古屋城から清洲城に居城を移し、その際に新たに町割りを決め直したからだ。
町のだれもが忙しそうに動いている中、見るものすべてが興味深くのんびり歩いていると罵声と同時に突き飛ばされた。
「邪魔だぎゃ!どきゃれ⁉」
見ればまだ若い小男が息を切らしながら荷車で家財道具らしき荷物を運んでいる。
! (その猿顔、ピンときたぞ)
「おお、これはすまなかった。見れば大荷物に急ぎの様子、良ければ手伝いましょうか?」
「そりゃあ有難い、助かるだがや」
後ろから荷車を押しながら聞いてみた。
「清州に引っ越しのご様子ならば、織田家中の方ですかな?」
「さよう、と言っても昨日小物から足軽に取り立ててもらったばかりだがや。
拙者は姓は木...
もう間違いない!
「名は存じております。木下藤吉郎どのですね?」
「こりゃ驚いた⁉ なぜ知ってるのだぎゃ?」
(その猿顔なら誰でもわかるよ)
「それは企業秘密ですので言えません。それに名前以外にも色々と知ってます」
「ほう、それは面白い。他に何を知ってるというのだがや?」
「浅野家の養女、寧々さんにぞっこん...
「ギクッ! な、なぜそれを?」
「それも企業秘密です」
「企業?はよくわからんが、それにしてもたまげたがや!」
「他にもありますが聞きたいですか?」
「聞くのが怖い気もするが...聞かせてくれ」
「寧々さんにぞっこんでありながら、実のところ一番のずりネタ...もとい夜のおかずは別の女性!」
「何を言うのかと思ったら突拍子もない事を...な、何か証拠でもあるのかな?」
「では続けましょう。確かに寧々さんは可愛いが如何せんまだ若い、若すぎる故に無いのです...胸が⁉
それが良いという御仁もいないこともないでしょうが、おかずににするには少々パンツ...もといパンチが足りない。
それに寧々さんがどうのというより相手が悪すぎる。
藤吉郎どのがおかずにしている人の名はズバリ...」
「待った! 参ったぎゃ、皆まで言わないでくだされ。
たとえ妄想でもこれが知られたら下手すれば首が飛ぶやも...」
「そんなことはないと思いますよ。あの方を見た者は96.9%の確率でおかずにするでしょうから。
抜けるリスト?で断トツの1位の座は揺るぐことがなく、口には出さないだけでいわば暗黙の了解で、皆おかずにしているのです。
それをいちいち咎めて首をはねていたら、それこそ人がいなくなってしまいましょう。」
「なるほど!この藤吉郎感服しました。見事な洞察に加え鋭いご意見!
ぜひ御尊名を教えてくだされ」
(なんと名乗ろうか...どうせなら強そうな名が良いな)
「虎熊龍馬と申します。以後良しなに、木下藤吉郎どの」
「こちらこそよろしくぎゃ、虎熊龍馬どの」
(四頭の猛獣?の名を持つ偉丈夫! 名前といい見るからに強そうだぎゃ)
これが宿命の好敵手、花形みつ...もとい藤吉郎との出会いであった。
(さて、これからの方針を決めておく必要がある。
仮に天下人を目指すとすれば最大のライバルの藤吉郎をどうするか。
早めに藤吉郎を失脚させると歴史が大きく変わる可能性がある。
それは非常にまずい。)
少なくとも最初のうちは味方のふりをしておき、ここぞのタイミングで
藤吉郎を地獄に叩き落とすのが最善と判断した。
(その時が来るまでは精々味方のふりをしておくか、グフフ...)
可愛そうだが信長には本能寺の変で消えてもらわなければならないが、それからが正念場か?
それまでにできうる限りの準備をして力を蓄えればよい。
本能寺の変が1582年5月2日のままなら22年後なので時間は十分ある。
この時代をじっくりと堪能しながらやりたい放題し放題。
エロイ...もとい欲望と本能のおもむくまま生き抜いてやると心に誓う龍馬であった。
「龍馬どの、着きましたぞ。ここが我が家だぎゃ」
「おぉ、見事なまでのあばら家⁉ すばらしい!」
「それって褒めてる?」
「もちろん! しかしこの家では寧々さんを迎えることなど到底かないませぬ。
一刻も早く出世して最低でも足軽組頭、できれば足軽大将ぐらいにはならないと」
「そうなのぎゃ。ところで、実は明日の評定で特別に主命を受ける許可がでたのじゃが、どれを受けるのが良いじゃろか?」
「米の収穫前なので兵糧売りが良いかと。良ければ手伝いますよ」
「それは心強い! そうと決まれば今日からこのあばら家に泊まってちょ。
むろん、飯と酒もつけるでよ」
「承知いたしました。明日より全力で働きましょう」
(寝る場所と毎日の食事を確保できたことは僥倖!
なんせスカンピンの一文無しだからな)
その夜、ささやかな食事の後で二人は安酒を酌み交わしながら大いに笑い語り合った。
まるで長年の知己であるかのように...
(実際は不俱戴天の天敵どうしなのだが)
翌日、藤吉郎と龍馬は荷車に米30石を積み、清州の町の米屋に向かっていた。
「運ぶのが大変だから清州で売ってしまいましょう」と龍馬。
「それが正解だぎゃ。他の町でも大して米の売値は変わらないだろうし運ぶ労力と時間が惜しい」
それでも藤吉郎の見事な交渉で30石の米を30貫(約300万円)で売ることが出来た。
報告すれば1日で最低限度での主命が達成となるが、たいした勲功にはならないだろう。
この程度の仕事はリアルの猿でもできるので信長様もおそらく満足なサルまい。
主命期限は1か月あるので、むしろここからが本番と言える。
馬屋で2頭の馬を借り、その足で座に向かう。
座では針を買えるだけ買って京の町まで馬を駆る。
京の座で針を全て売却し、茶と茜を買えるだけ買う。
次は堺の町へ
座に飛び込み粘り強く交渉しながら全て売却。
この時点で手持ちが60貫を越えた。
上々の首尾と言える。
もうすぐ日が暮れる。
これ以上の取引はあきらめて今日はここ堺の町で宿を取ることにした。
いつもよりちょっぴり贅沢な夕餉と少し上等な酒を飲んだせいか
二人の会話も弾んだ。
「それにしても鮮やかな手並み! 各町での取引は見事でしたぎゃ」
「以前に各地の町で取り扱う産物を調べながら商いの真似事をしていたこともありましたので、それが役に立ちました」
(太閤立志伝Ⅴでいやというほど取引したからとは言えないが)
「なるほど!合点がいきました、流石としか」
「いやいや、私などより藤吉郎どのの見事な交渉術、商人顔負けでしたぞ!」
「いやいやいや、一日で60貫を越えたのは龍馬どののおかげだぎゃ」
「いやいやいやいや、藤吉郎どのの人徳があってこそ」
「いやいやいや... ときりがない。
二人とも褒めあうことでモチベが上がるようだが面倒くさいタイプである。
「ちなみに明日以降も当然取引は続けますぞ、藤吉郎どの」
「承知!どこまで増やせるか楽しみだぎゃ」
少し酔いが回った藤吉郎が声を潜めて
「ここだけの話ですが、誰にも言えず墓場まで持っていくつもりの出来事があったのだぎゃ⁉」
「おお、それは興味深いが、聞いても良いのですか?」
「龍馬どのは口が堅いと信じたうえで話しましょう」
「私の口は岩より堅いので安心して話してください」
(大噓である! 時にはタンポポの綿毛より軽い)
「小者として働いていた頃、様々な雑用の一つに湯殿の掃除と湯の管理があったがや。」
(湯殿?面白くなりそうな予感⁉)
㊟ここから先は一時的に藤吉郎の話を回想シーンとして映像化されたもの
〖働き者の藤吉郎は朝は誰よりも早く起き、夜は皆が眠るまで働くのが日課。
その日も夜遅くまで湯殿の掃除をしていると、背中越しにガラガラっと戸が開き誰かが入ってきた様子。
振り返るとそこにはなんと!
一糸まとわぬ...すなわち真っ裸の...つまり全裸の...(しつこい⁉)
お市の方が‼ いた⁉...《《ら》》良いなと思った...《《ら》》本当にいた‼
(言い方が無性に腹立つう! ブチぎれそう⁉)
お市の方は全く隠すそぶりもせずに、藤吉郎のいる湯船の方に歩いてくる。
歩くたびにプルンプルンと揺れるのが悩ましい⁉
㊟揺れたのはお市の方の見事な胸...ではなく、アホ毛である。
お市の方は湯船の前まで来ると立ち止まり、藤吉郎の方を向いて仁王立ち!
藤吉郎は膝をつき下から上を見上げる態勢‼
全国の皆さん、お待たせしました!
これは物語中最高のサービスシーンと言っても過言ではない?
お市様...もとい観音様の観音が観音開きでもう大変⁉
至近距離からの藤吉郎の下からの視線だとさすがにやばすぎる⁉
下手をすればR18指定?
瞬間、画面がお市の方の背中からの映像に切り替わった。
それでもかなりエロイがこれならギリセーフか?
こうして藤吉郎は最高のずりネタ...もとい、夜のおかずを手に入れた。〗
㊟藤吉郎の回想によるサービスシーン映像はいったんここまで。
もし藤吉郎に絵心があるなら、ぜひとも一筆描いてもらいたいものだ。
―以下に続く―




