↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好敵手(ライバル)は藤吉郎⁉ 【改訂版】  作者: ケロボッチ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/38

第十四話

 隠し蔵元へはここから徒歩で半刻ばかりかかるらしい。


 東雲姉妹を馬の見張り番に残して龍馬、双葉、勘三の三人は運べるだけの炭薪を背中に担《かつ》いで勘三の後に続く。


 ようやく蔵元に着くと

「爺さんはいるかい。客人を連れて来たよ」と勘三。


「奥で休んでるから行ってみな」


「これ渡しておくよ」と運んできた炭薪を傍らに置いて奥の部屋に向かった。


 双葉と十三も炭薪をおろし並べて置いた。


「爺さん、生きてるかい。客人だぞ」


「相変わらず口が悪いな、炭焼小僧」


「今日で炭焼きは廃業じゃ。運べるだけの炭薪を持ってきたから使ってくれ」


「そりゃ助かるが、これからどうするのじゃ?」


「この方たちと共に戦のない世をつくるのじゃ」


「変な宗教に入ったな。哀れな奴じゃ」


「そうじゃないが、まあいい。酒を買いに来たそうだ。売ってくれるよな」


「運がいいな、ちょうど売りに出そうと準備していたところだ。


 手間が省けるってもんだが、如何ほど買ってくれるのじゃ?


 うちの酒は安くはないぞ」


「特級酒を4壺...いや、5壺と1級酒を2壺でいくらになりますか?」龍馬が問う。


「6貫と言いたいところだが、勘三の門出の祝いを兼ねて5貫に負けてやる。

 どうだい、買うかい?」


「有難く、買わせてもらいましょう」


 こんなに簡単に依頼が達成できるとは夢にも思わなかった。


 これもまたご先祖様のご加護(ご都合設定)に違いない。


 (いい事ばかり続くとかえって不安になるな。よからぬことが起こらねばよいが)


 余計なフラグを立てる双葉である。


 案の定「親方!てえへんだ‼」とでこっぱち風。


「何事だ?!騒々しい!」


「山賊まがいの野武士が10人ほど、酒と銭を出せと押しかけてきました」


「それは非常にまずいのねん!」


「それがしどもにお任せを⁉」と双葉。


 表に出ると野武士が10人、一斉にこちらを見た。


 その中の親分格が「なんだ、てめえら。やろうってのか?」

 見事なまでのお決まりのセリフ。


「私が出るまでもないようだな。ここは双葉と勘三にお任せしよう」

 と後ろに下がる龍馬。

 実は内心ビビりまくっているが顔には出せない。


 双葉と勘三は無手のまま平然と前に出る。


 その様子に野武士たちは気おくれしたのか、後ずさる。


「お前ら、ビビってんじゃねえ。やっちまえ」


 親分格の号令で一斉に切りかかってきた。


 勘三はひらりひらりと刃をかわし、次々に手刀を打ち込む。


 一人、また一人と倒していく。鮮やかなもんだ。


 一方、双葉はいつの間にか、一気に間合いを詰め親分格の前にいた。


 手下どもがあっさりと倒されていき不安が高まってきた親分格。


 双葉が前に出ようとするより早く...


 刀を捨てて土下座をしていた。


「参った、降参します。許してください」


「降参などされたら、それがしの見せ場がなくなるではないか。


 頭領なら少しは根性見せなよ」


「滅相もございませぬ。手下共々心を入れ替えて堅気になりますゆえ」


「双葉さん、許してあげなされ。私の見るところ、根っからの悪人とは思えぬ。

 なにやら事情があっての野武士のようだ」


「おっしゃる通りで。我ら10人もとは同じ村の百姓でした。村が戦に巻き込まれて、家族を殺されたり、攫《さら》われたり..戦さえなければ!」


「よかろう、では今からおぬしたちの住処に案内せよ。話はそこで」


「仰せのままにします」


 蔵元の親方が近寄ってきて

「あんたたちめちゃくちゃ強いじゃないか。

 運び手も増えたみたいだし、お礼に酒壺を増やして渡すよ。代金も3貫で良い」


「良いのですか?かたじけない。あまえついでに、あと若い者を一人一緒に来てもらえませぬか。

 この者たちの住処の場所を覚えてもらい、連絡が取れるようにしたいのです」


「翔平、行ってくれるか」


「あい、行きます」


 翔平!いい名前だ。ちみは世が世ならメジャーで二刀流...はないか。



 道すがら、元親分格の権三が言うには、この辺り一体にある野武士の集団のまとめ役がいて、そのおかげというか、ここいらでは戦がめったに起きないらしい。


 蜂須賀小六正勝その人だ。一度は会ってみたい人物だな。



 野武士もどきの住処はなんら普通の村と変わりがない。

 小さいながらも田畑もあり、元百姓の面目躍如である。


 権三の家に入るなり、カミさんらしき女性が権三に平手打ちを連発!

 ビビビの嫁だ。


「あんた、わっちのいないときに隠し蔵元を襲いに行ったって?

 いい加減にしないといつかひどい目に合うよ」


「ひ、ひどい目なら、今まさにあってますけど?」

 然りだ。


「女将さん、それぐらいで。気を失っては困る」


「だれだい? あんたたち、見かけない顔だね」


「どうやら権三さんより女将さんと話した方がよさそうだ」


「まあわっちがこの里を仕切ってるのはた確かさ。で、話って?」


「この者たち、今日限りで野武士はやめて、まっとうに働くと誓ってくれた。

 その上で頼みたいことがある」


「あんた、本当かい?嬉しいじゃないの! ささ、あがってくださいな」

 打って変わって上機嫌の女将さん。


「で、頼みってなにさ」


「この里にはまだ畑を増やす土地があるようなので、新しい野菜を二つほどつくってもらいたい。無論報酬は出しますゆえ」


「その新しい野菜とは何ぞなもし?」


 懐から紙に包であった種を取り出して

「故郷の筑前の国にいたとき、困っていた南蛮人を助けたお礼にもらったものです。


 こっちはカボチャ、もう一つはニンジンといい、まだ日の本ではほとんど作られていませぬが、栄養もありとても美味しいと」


「わっちらでもつくれるかいのう?」


「簡単にできますし、すべて教えますので安心してください」


「悪い話じゃないし、やってもいいよ。いいよね、あんた!」


「喜んで!」完全に尻に敷かれているな。


 双葉は種の取り方から、育て方、売るときの注意事項までびっしりと書き込んだ手作りの冊子を渡しておいた。


 近いうちに戻ると伝えて里を後にした。


 翔平を送りがてら蔵元に戻ると親方が相談があると言う。


 翔平はなんでも幼いときに戦で両親を亡くし天涯孤独になったが、縁あってここで育てることになったと。


 機転が利いて働き者、何より最近は注文の酒を配達して、届け先でも可愛がられて覚えが良い。


 つまりこう見えてかなり顔が広いというのだ。

 このままここで埋もれさすのも不憫《ふびん》だから連れていってもらえないかと。


「では、それがしの義弟として世界征服...もとい、ともに同じ道を歩む。

 それで良いか、翔平?」と双葉。


「はい!」

 後に人事部長と財務部長を兼ね風の党の要《かなめ》となる逸材がここに加わった。


 ―以下に続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。