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拾伍

 海鮮料理を堪能して、瓦そばといい、海鮮料理といい、たった一ヶ月ほどだけど離れていた地元に帰って来たなぁ、などと考えつつ、観光客に人気の角島プリンを買う。角島はコバルトブルーの海と白い砂浜が綺麗だと観光客を誘致した島。実際のところ、本当に綺麗な海の色をしている。

 県内だからと言っても毎年訪れているわけではない春香だが、春や夏に何度か訪れている。海の綺麗さを観光の目玉にしているのも納得の綺麗さ。島にある灯台は、登ることが出来る灯台で、登った先から見える角島の海の綺麗さも観光客に人気。


 春香も登ったことはあるけれど、小学生の低学年の頃だったからか、疲れた記憶のみで、多分もう登りたくないって思った気がする。今なら登っても違う気持ちになるのかもしれないけれど、登りたいとは思わなかったので、角島まで足を伸ばしたからには、と灯台までは行ったけれど登らずに終えた。

 ただ、次に角島に来たときは、観光客が乗っていたトゥクトゥクというのに乗ってみたいな、とは思う。トゥクトゥクってなんだろう、とスマホで調べたら、タイの乗り物らしいことを知った。

 自動車と自転車の間のような乗り物がなんだか可愛く見えたから。角島の景色を眺めながらドライブというかサイクリングというか、そんなことが出来そうな乗り物だったので、興味が惹かれた。

 春香が上京する前には既に角島にあった乗り物だったみたいだけれど、春香は知らなかった。ちょっと残念な気がする。


 さて。帰って来て、食後のデザートとして両親と共に角島プリンを頬張る。春香は昼の海鮮料理でお腹いっぱい食べた後でのプリンで。自室に戻った春香。少し食べ過ぎたかもしれないと後悔しつつ、宙に浮いている神功皇后を見て意を決したように口を開いた。


「神功皇后、お尋ねします」


『うむ? ああ、先程の出来事について、じゃな』


 美味しそうにプリンを頬張っていた春香をニコニコと眺めていただけに、口を一文字に引き結んでから、決意を固くした顔で切り出したのを見て、神功皇后は首を捻ってから結論を出した。春香が、まさにそのことについて尋ねたかったんです、とでもいうように、高速で首を上下に動かしている。


「それです! ええと。先ずはあの女性は私と同じ、ですか」


 春香の問いは抽象的だが神功皇后は直ぐに理解したように頷く。


『うむ。あの女性はそなたと同じ、ではないな。見える存在ではない』


「でも、女性は私と同じように、ちょっと違うところに居ましたよね」


『うむ。そうじゃの。だがあれは、あちら側のモノが女性を引っ張ってきていた、ようなものじゃ。そなたは見たくて見ているわけじゃなく、見えてしまう。あの女性は見たいわけではなく、見えないモノが連れて来た、じゃの』


 春香は神功皇后の言い回しに少し考え込む。春香のように見たくても見てしまうわけじゃない。見えないモノに連れて来られた、という話。


「それって……見えないモノにあの女性は気に入られてしまっている?」


『そう思うよな。併しそれも違う。見えないモノを呼び出したのは女性の方じゃな。昔から一定数、あの女性のような人間は現れる。あの女性も同じじゃ』


 また神功皇后の言い回しが遠回しで春香は考えてしまう。


 春香のように見たくないのに見るわけじゃなく。

 見えないモノに気に入られてしまっているわけでもなく。

 見えないモノを呼び出した、女性。


「あの存在を呼び出した……?」


 春香は唖然として繰り返す。


『うむ。呼び出したな』


「呼び出せるモノなのですか」


 呼び出すことの意味が分からない。春香にとっては百害あって一利なしの存在である。


『呼び出せるな。呼び出したい、と思い呼び出したのか、それとも結果として呼び出してしまったのか。それは妾にも分からぬが、呼び出したからこそ、妾がアレらを追い払うのにそなただけでなく、あの女性も居たのじゃ』


 呼び出したくて呼び出したのか。呼び出す気はなくても呼び出してしまったのか。それは分からない、と言う神功皇后。でも結果的に呼び出してしまったということに変わりない。そういうことのようだけれど、そのことの意味を春香は理解出来ない。だから、これはもう少し詳しく聞かないとならない。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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