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1度目は落ちこぼれ、2度目は平均、3度目はチートでした。  作者: 八尋
第4章 王立フィオレンツ学園篇入学試験
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第43話 激戦と武術試験終了

遅くなりました。

眠たい中書き上げたので、可笑しな点があるかもしれません。

 ライルはまさに疾風の如き速度でゼンバールの元へと辿り着き、剣を幾重にも振るった。その時間は数秒にも満たなかった。その技の名に相応しい速度をもって攻撃を繰り出した。

 この技以上の速度、威力を出すことのできるものもあるが、この年齢の人間が強化魔法なしに使えるものの中ではこれが最上級だろう。

 移動するだけで疾風を起こすほどのこの技は、通常移動系統の術に使われるものだ。しかし、振速流ではそれを攻撃と無理矢理組み合わせ、詰め寄りから剣技の繰り出しまでを一つの技とした。

 それによって、単なる移動方法であった術が攻撃の手段と化したのだ。しかし、当然ながらその代償もある。体に大きな負担が掛かるのだ。

 [疾風]ではそこまでではないが、上位の[雄風]や[強風]、それ以上のものとなると、皮膚が裂かれたり、骨が折れたり、臓器が潰れたりすることもあるそうだ。

 振速流に限らず、煌振流、酷振流等の僕の使う技は大抵が書物で見て、見様見真似でやっているだけだ。本物の技を見たことがないため、どのくらいの完成度なのかはわからないが、一応使えてはいるのでそれなりにはなっていると自分では思っている。

 屋敷の書庫にあったものや、前々世で手に入れた知識のため、実戦使用は殆どしたことのないものばかりだが、デスト先生には他の流派の技を褒めてもらったことがあったので大丈夫だと思う。

 ゼンバールに一撃でもと考えながら、何度も剣を振るうが、全て受け止められている。様々な角度からの攻撃、それも凄まじい速度での攻撃のはずだが、ゼンバールはそれを全て見切り、受け止めている。

 既に二十を超えた攻撃がゼンバールに届くことは一度もない。

 流石に腕に疲れが生じてきたため、また一度距離をとる。するとゼンバールが声を掛けてきた。


 「今年は優秀な人材が多いようだな。今の攻撃もなかなかのものだった。一つ一つの攻撃に重さがあり、隙をついてくる。その年で見事だ。」

 「ありがとうございます。ですがまだまだその攻撃があなたには届きそうもない。腕もそろそろ限界ですし、次で最後にしてもよろしいでしょうか。」


 その言葉を言い終えたと同時に魔法の効果が切れた。〘暗翳融和(グルームハーモニー)〙のような強化魔法に属する魔法には効果の時間制限がある。高位のものとなるとその限りではないが、基本的に使用頻度の高い魔法は制限付きだ。

 今切れたということは、今まで僕の姿はここにいる大抵の人間(受験生)には見えていなかった。その為、ゼンバールが空間に話しかけているように見え、その方向からそれに答える声だけが聞こえるという、奇妙な場面がこの場で展開されていたはずだ。

 その所為か、他の受験生たちが騒がしい。ゼンバールが構えている剣を凄まじい速度で動かし続け、尚且つ、それと対応してそこに火花が飛び散り、耳を突くような金属同士がぶつかり合う甲高い音が幾度となく聞こえていたら、誰しも黙ってはいられないだろう。

 

 「ほぉう。最後か。少し名残惜しいが時間的にも、お前さんの体力的にもここらが限度か。よし。本気で掛かって来い。」

 「参ります。レベル2解放[神速流移動術極伝・凪][神速流剣術極伝・紫電一閃]」


 神速流移動術は振速流の移動の素早さの元となった流派で、如何に速く、無音で移動できるかを追求した忍びの者が創ったとされる流派だ。

 そんな中でも、[凪]も[紫電一閃]も極伝の技のため、秘奥義のようなものだ。そんなものが普通は簡単に知れるはずもないのだが、既に神速流は継承者が途絶え、消えてしまった流派だったため、全ての技が記された古文書が公開されているようだった。

 しかし公開されたところで、そもそも難易度の高い流派の上、師範がいないため、大抵の人は気にも留めず、その古文書が(アドルクス家)に辿り着いたようだった。

 他の流派と同様、書物に書かれている通りやってみたら意外と習得に時間はかからなかった。ステータスの高さが幸いしたのだろう。

 だが、【制御(コントロール)腕輪(ブレスレット)】がレベル1の状態では流石に難しいため、一つ解放することにしたのだ。

 その技の名に相応しく、風は一切吹くことなく、騒いでいた受験生たちの声も聞こえなくなり、その場は静まり返る。そして技の名を言い切る前に、僕の身体はゼンバールの背後に辿り着いていた。

 上段に剣を構え、移動して来た勢いのまま剣を振り下ろし、斬る...

 ところまで剣は届かなかった。鈍い痛みが腕から伝わり全身が痺れる。音も無く、今までの最高の速度で背後へと回り振るった僕の握る剣が、ゼンバールの剣によって通るべき道(ゼンバールの身体)を遮られていた。

 しかし、攻撃は今まで同様止められたが、先程までと違う点がある。ゼンバールの目だ。

 爛々と輝くその眼には、相手がたとえドラゴンであっても立ち向かおうとする闘志、蟻の子一匹すら見逃さない殺気が灯っていた。

 その目を向けられ、流石に〖恐怖耐性Ⅹ〗を持つ僕も怖気づいてしまう。しかし、戦場ではそれが命取りとなる。

 僕が怯んだ一瞬の隙を突き、ゼンバールは反撃を仕掛けてくる。止められていた剣は弾かれ、僕が体勢を崩す。その間にゼンバールは構え直し振り翳す。そしてその一撃は明らかに手加減しているとは思えない勢いで向かってくる。

 僕の脳内でこの攻撃は受けてはいけないという結論に至る。動体視力などは【制御(コントロール)腕輪(ブレスレット)】の影響を受けないため、幾ら王宮騎士団団長の攻撃でも見切るのは容易い。

 しかし、それを避ける術は今の状態の僕にはない。結果、受けるわけにはいかない、避けることはできない状態の僕は攻撃に移った。攻撃は最大の防御というわけだ。しかしそれが悪手だった。

 避ける時間がない程に迫っている剣を止めるのに、詠唱などしている暇はない。よって必然的に無詠唱での魔法発動となってしまった。

 咄嗟に浮かんだ魔法は火属性四段魔法〘火球(ファイアーボール)〙。

 何かを感じ取ったのかゼンバールは攻撃を中止し、〘火球(ファイアーボール)〙が放たれる前に、即座に後方へと飛び退く。

 それと同時に、崩れた体勢からの苦し紛れの〘火球(ファイアーボール)〙は剣を持っていない僕の左手から放たれた。

 〘火球(ファイアーボール)〙は対象物も碌に決めずに放ったためか、掌の向く方向、正面少し左へと飛んで行き、壁に当たって消散した。結界でも張ってあるのだろう。壁には焦げ一つ残っていない。

 ゼンバールは〘火球(ファイアーボール)〙が消えるのを見て、目の光が収まった。どうやら我を忘れていたらしい。あれが彼の戦闘時の真の姿、剣鬼と恐れられる所以だろう。スキルを持つ僕でさえ怯ませる程だ。他国から恐れられるのも当然だろう。

 そんな剣鬼から普通の王宮騎士団団長の姿へと戻ったゼンバールは剣を下げて口を開いた。


 「すまん。悪い癖が出てしまったようだな。許してほしい。君の〘火球(ファイアーボール)〙がなければ確実に怪我を負わせてしまっていた。本当に申し訳ない。」

 「いえ。閣下にそこまでして頂けるほどの実力が、この身にあったことを非常に満足しております。」

 「そう言ってくれると有難い。君の実力は本物だ。如何だね。君も彼女と同じく我が騎士団に来ないか。」

 

 少女の時と同様に他の受験生たちが騒がしくなる。だが、僕の次の言葉で試験会場が一気に静けさに包まれる。


 「大変有難く、光栄なことですが、私は既に将来が決まっておりますので。」


 勿論決まっている将来とは公爵になるということだが、それはまだまだ先の話で、公爵になるまでなら騎士団に所属することも可能だろう。マセット公爵もそうしていたのだから。

 だが、騎士団は寮住まいで、朝から晩まで稽古や鍛錬だと聞く。冒険者というものも体験してみたい自分からすると正直騎士団は入りたいと思わない。

 しかし先も言った通り、王宮騎士団の団長クラスからのスカウトともとれるその言葉の重みは計り知れない。それを断ったとなると他の受験生たちの血の気が引くのもわからなくもない。

 ライル自身も少しミスをしたかもと思い始めるほどに静かだ。だが、賢明な者なら気が付くだろう。国の重鎮の誘いを断れるほどの力を持つ者が彼の後ろにいるということを。現にゼンバールもそれに気が付いたようだ。 

 王宮騎士団と言えば王直轄の部隊。その中でもトップクラスの力を持つ者に反対意見を言えるものなど限られる。例えば、王家と深い繋がりのある公爵家など...

 ゼンバールは少し考えるような素振りをしてから、傷のある顔を少し綻ばせ口を開いた。


 「そうか。残念だが仕方がない。私は自分の好きなことをすることが一番だと考える人間だ。勿論常識の範囲内での話だが。君のような人材を逃すのは惜しいが、今回の試験では私に非のある部分があるので勧誘はなかったこととしておこう。」

 「ありがとうございます。」


 そこまで話し終えると、試験会場の空気が元に戻った。そしてハーニス担当官の少し安堵したような試合を終了する合図で、僕の武術試験は幕を閉じた。

というわけで無事武術試験が終了しました。

まだこの後、学術試験と魔術試験が残っているんですね。

時間が経ち過ぎたせいなのか、何だかこれで入学試験終わったような気分でした。


こんな時間の更新になったのは、久しぶりにゆっくりできるようになったことと、今ハマっているゲームのイベントが午前4時からあるので、暇な時間ができたためです。

前書きでも書きましたが、そういうわけなので、文章可笑しい部分もあるかもしれません。すいません。


これからもよろしくお願いします。

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