第33話 幹部会議と総長
更新遅くなり申し訳ありません。
第11話にて冒険者組合ワーライド支部のトップとして登場したボーレドの役職を、組合長から、支部長へと変更しました。
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「では、君達がエイヴィスティン王国冒険者組合の一員となったことをここに宣言しよう。ようこそ冒険者組合へ。」
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時は少し遡り、幹部会議前日、天蝎には人族に、紅葉にはエルフ族の姿なってもらった。
天蝎の見た目は、20歳前後の白髪短髪イケメン、天蝎の得意分野は近接戦闘なので、それをメインとした動きやすい戦闘服。
一方紅葉は、成人したて、つまり僕と同年代の見た目の、綺麗な長い赤髪の振り向くだけで男を虜にしてしまいそうな美少女。魔法師用のローブを身に纏っている。エルフ族は魔法に長けているため、魔法職をとる者が多い。紅葉自身も魔法が得意なため、丁度良かった。
2人とも素晴らしい出来で、どう見ても元が神獣や瑞獣だったとは思えない。
天蝎は、何でもできるチート主人公、紅葉はエルフ族の国の王女と言われても納得できる出で立ちだ。
「2人とも完璧だよ。まさかここまで完成度が高いとは思っていなかったよ。」
「当然です。主様に仕える者としてこれくらいは造作もありません。」
「うん。2人を従魔にして本当に良かったよ。この前も紅葉には助けてもらったし。」
「主様のお役に立てたのであれば、恐悦至極に存じます。」
「これからもよろしくね。」
「無論です。私も眷属も誠心誠意、主様のご期待に沿えるよう努力いたします。」
「私も紅葉同様、主のお役に立てるよう日々精進し、微力ながらお力添えできればと思います。」
2人の過剰な忠誠心を見せつけられはしたが、変装は完璧。後は辻褄合わせが必要だ。その後、日が傾き始めるまで、念入りに設定を打ち合わせた。
明日、また喚び出す約束をし、一度2人には戻ってもらい、僕も屋敷へと帰った。
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朝起きて屋敷を出ると、行きなれた路地裏へと向かう。そこで2人を召喚し、自分も変装をして、冒険者組合本部へと向かう。昨日訪れているので、今回は道に迷うことなく辿り着いた。
到着し、カウンターへと向かうと、昨日ボーレドさんが言っていた通り、話は通っているようだった。しかし、まだ会議には時間があるようで、控室へと案内された。
控室で設定を再確認していると、扉が叩かれる。「どうぞ」と声を掛けると入って来たのは、ボーレドさんだった。
「いやー、ライル君すまないね。こんな堅苦しいことになってしまって。」
「いえ、問題ありません。あッ、紹介しますね。この2人が今回僕がパーティーメンバーとして誘った、アンタレスさんとルプイメです。2人とも了承してくれたので、来てもらいました。」
「このお2人がライル君が認めた者達か。何でもライル君より強いそうじゃが、どういった経緯でライル君と知り合ったのかね。別に答えたくなければ答えなくても構わんが。」
どうやら、ボーレドさんは少し警戒しているようだ。僕のことを心配してくれているのかな。ボーレドさんの言葉を聞いて、まず口を開いたのは天蝎だ。
「支部長殿、ライルのことを心配してくださっているのは、大変ありがたいのだが、ライルと彼女は幼馴染、私は彼らの保護者のような立場であり、彼らに戦う術を教えた謂わば師匠のようなものでもある。貴公が考えるようなことにはなりますまい。」
今は偽名として、アンタレスという名を使っている天蝎は、少し威圧感を込めてそう言った。貴殿でなく、貴公と言ったのも彼なりの牽制の意味も込めてだったのだろう。
更に、ルプイメと今は名乗っている紅葉が続けて言った。
「そうそう。ライルとは長い付き合いだし、今更何があっても裏切ったり、見捨てたりなんてことはあるはずがないわ。それに、私よりライルの方が強いでしょうし、アン兄もいるんだから、危険な目にあうこと自体そうそうないわよ。」
そう言ったルプイメも顔は笑っていて、不意に見れば間違いなく惚れてしまう程に美しいし、口調は若者のそれだが、どす黒いオーラが放たれているように感じるのが、かなり不気味だ。
「ふむ。問題ないようじゃな。3人とも今時の若者にしては、しっかりしておる。アンタレス君は商人、ライル君は貴族、ルプイメ君は盗賊の相手に向いておるじゃろう。肝も座っておる様じゃし、何より3人とも賢いようじゃ。これなら高位のランクになっても、問題ないじゃろう。良いパーティになりそうじゃ。すまんの、試すような真似をして。」
しかしボーレドさんは、神獣の威圧感、瑞獣のオーラを真正面で受けても、正確に相手を分析する程に冷静でいる。一体、何者なのだろうか。
「それは良かったです。組合に登録するのは今回が初めてでしたから、何かと不安要素が多かったんです。ですが、ボーレドさんにそう仰っていただけて、少し自信が出ました。ありがとうございます。」
「なに、職員として当然のことをしただけじゃ。こちらもすぐには登録させてやれなかったわけじゃからな。今後ワーライドに来ることがあったら声を掛けてくれ。少しは力になれるじゃろう。」
その後、係の人が呼びに来るまで僕たちは雑談をして過ごした。天蝎も紅葉も先程のような威圧感やオーラはなく、楽しく過ごせていたようで何よりだ。特に紅葉は人族の茶や菓子が気に入ったようだった。今度買ってあげようかな。
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暫くして、係の人が呼びに来た。時間になったようだ。舐められないように気を付けなければ...
案内されたのは、先程の控室よりも数倍大きい会議室だった。アドルクス公爵家にもあまり使われることはないが、会議室はある。公爵家の会議室だけあってかなりの広さがあるのだが、ここもそれに劣らない程に広い。
部屋は天井が高く、1階部分には20人は座れる円卓が部屋の中心に設置されており、それを見下ろす形で2階席、3階席が天井に向け広がりながら備えられている。円卓の中心には魔法具らしきものが置かれている。
今日は円卓にしか人がいないようだが、それでも部屋の奥から順に9人が腰を掛けている。その最も奥にいる人物からは只ならぬオーラを感じる。天蝎や紅葉も警戒しているようだ。
初めに口を開いたのは、一番奥にいた仕事をしている時の父のような瞳をした、マセットさんよりも強そうな人物だった。
「ご足労いただき感謝する。ライル殿、アンタレス殿、ルプイメ殿。私はエイヴィスティン王国冒険者組合総長のキューゼ・アットルだ。ワーライド支部支部長もご苦労。」
「お心遣い痛み入ります、総長閣下。」
「大変失礼ながら、時間の都合上、今回は他の者の紹介は省略させてもらう。申し訳ない。」
「滅相もございません。お忙しい中態々時間を割いてくださったことに深く感謝いたします。」
ボーレドさんの畏まった様子を見るのは初めてだが、かなり緊張しているようだ。組合総長と言うからには、恐らくこの人物がトップなのだろう。幹部会議なのだから、その他の8人もかなりの重役。僕もボーレドさんに倣い、貴族の相手にするように言動に気を付けながら返す。
本当なら、〖鑑定Ⅹ〗を使ってステータス確認をしたいところだが、何か魔法具等で感知されればかなりの失礼になる。それに、かなりの威圧感があり、神獣である天蝎や瑞獣の紅葉程ではないにしても、スキルがなければ動けなくなっていたかもしれない。まるで威圧系のスキルを使われているかのような感覚に見舞われる。うん、今回は顔を覚えるだけにしておこう。
「そう言っていただけるとありがたい。では時間もないので、早速本題に入ろうか。ライル殿、貴公は魔法適性が4属性と1魔法あるそうだが誠か?」
「はい。今この場で開示しても構いませんが。」
「では、そうするとしようか。」
総長はそう言うと、【投影石】を取り出しこちらに渡してきた。
「こッ、これは...」
「【投影石】が壊れているのでは...」
「いえ、この【投影石】は正常です。」
「では、本当にこのステータスで間違っていないと言うのかッ」
【投影石】に映し出された僕のステータスを見て、先程まで黙っていた8人も驚きの声を上げる。
「うむ、聞いてはいたが、実際にこの目で見ると信じがたいものであるな。このような逸材が今まで表に出てきていなかったことは、この国にとって損失でしかない。支部長、彼は君の支部にてATIの1等担当官を倒したということだが。」
「その通りにございます。武術指導1等担当官を魔法一つで降参させました。その担当官は過去に公爵家嫡子の指導をも行っているような優秀な人物です。」
「そうか。では、実力がステータスと食い違っているということもないようだな。アンタレス殿、ルプイメ殿も同等またはそれ以上の使い手と聞いた。」
ボーレドさんはそれに無言で頷き肯定の意を示す。
「あいわかった。暫し待たれよ。」
総長はそう言うと、他の重役たちと話し始める。
暫くしてこの会議の結論が言い渡された。
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こうして僕と天蝎、紅葉は晴れて冒険者となった。
〈次回予告〉
ライル一行の冒険者ランクは何になるのか...
近日更新予定
予定では、この会議で出席している重役全員の紹介をしたかったのですが、あまりにも長くなるので止めておきました。他の8人の役職等は今後徐々に明らかになっていくはずです...(この9人以外にも重役は存在しています。)
それに伴って、ここで異議を申し立てる人物も考えてはいましたが、これも長くなるので割愛しました。早く学園篇に入りたいので...今回割愛した内容は今後どこかに入れたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。




