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第21話 初めての経験と威圧Ⅹ

連日投稿2日目です。

 「ンッ、ここは...」


 大男は開口一番そう口にする。そして自分の手足が縛られ、腰紐で引き摺られている今の状況を確認し、怒鳴る。


 「んあ、何なんだよ、これは。」


 思っていたより、早く目覚めてしまった大男に僕が驚いていると、大男は僕に気が付いたようで、


 「おい、お前。これは何のつもりだ。」


 そう問いかけてきた。何故こんなにも早く目覚めてしまったのか考え、ガスが抜けきるのと、男達の身体検査とステータス確認に、思いの外時間をかけてしまっていたことに気づく。そのことを考えていたせいで、大男の質問に答えていなかった。無視されたと思ったのか、先ほど以上に大男は敵意剥き出しで、僕に怒鳴る。


 「この餓鬼、こんなことしてただで済むと思うなよ。」


 僕はその言葉につい苦笑してしまう。ありきたりな台詞だったというのもあるが、手足を縛られ、腰紐で子供に引き摺られている大男が、一体僕をどうするというのか。そう思い、思ったことをそのまま口にすると、

大男は完全にキレてしまったようで、スキンヘッドの頭に血管が何本も浮き出で来る。そして、


ブチッ


そう音がした。血管が切れたのか、とも思ったが、そうではなく、大男が手を縛っておいた縄を引き千切った音だった。その後、もう一度同じような音がする。今度は足を縛っていた縄が千切れた音だった。

 僕は呆気にとられてその間何もできなかった。まさか、縄を引き千切られるなど想像もしていなかった。かなりきつめに縛っていたし、何重にも巻いていた。確かに、古めの縄ではあったが、まさか千切れるとは...

 そういえば、この世界は魔物や魔獣を相手にするのが当たり前だ。そんな世界で盗賊なんてものをやるのだからそれなりに腕があるのだろし、明らかに力強そうな見た目をしていた。もっとしっかりと拘束しておくべきだった。

 そう、僕が悔やんでいると、大男は自慢気に「どうだ。」とこちらを明らか下に見ながら言ってくる。


 「少し息が切れているようですが、なかなかやるようですね。」


 内心ではそれなりに焦っていたが、なんとか平静を装い言い返す。すると、


 「お前みたいな餓鬼に言われたって嬉しかねぇよ。それよりお前何者(ナニモン)だ?俺達はそれなりに強いと思っていたんだがな、まさか全く気付くことなく眠らされるとは...」

 

 大男は未だに眠り続けている男2人を横目にそう尋ねてくる。別に答えてやる義理がないので、黙っていると、


 「そうか、教える気がないならそれでいい。なら俺の記憶にも残す必要はない。さっさと消えちまえッ」


 そう言うと同時に、大男は思い切り踏み込み、右拳を突き出し、こちらまで飛んでくる。彼我の距離凡そ2m。この程度であれば、ある程度武術の心得がある者であれば、踏み込みだけで届く。現に、大男の拳は既に僕の目の前である。


 「死ねヤッ」


 そう口にしながら、放たれた大男の渾身の右ストレートは、僕の顔面に直撃、することはなかった。大男の拳は、僕の目の前数mmで見えない壁にぶち当たり、止まっている。

 殺し合いの対人戦闘経験の無い僕だったが、普段のトレーニングや、狩りで身に着けた動体視力や反射能力は、並大抵のものではない。その為、今の攻撃も避けようと思えば避けられるし、止めようと思えば止められるし、受け流そうと思えば、受け流すことができた。しかし、敢えてそれをしなかった。そこには、当然ながら理由がある。

 試してみたかったのだ。あのスキルを。そう固有(ユニーク)スキル〖絶対防御〗。ありとあらゆる攻撃(罠を含む)から、適用者を守る防御系固有(ユニーク)スキル。これの効果を一度確認しておきたかった。

 そこで、今まで何度か魔獣相手で挑戦してみようと試みたが、万が一を考え寸前で諦めていた。主に、魔獣病を警戒してだ。魔物と魔獣の違いは、強さである。魔獣と呼ばれるものの方が魔物より強い。一概には言えないが。その為、僕のステータスでは、魔物に攻撃された程度では、痛くも痒くもない。

 そこで、このスキルを試すには魔獣でなくてはならなかったのだが、魔獣の血液が人体に入ると、稀に魔獣病という病を引き起こすことがある。その為、万が一〖絶対防御〗が発動しなかった時のために、わざと傷を負うようなことは避けていた。

 だが、人間相手であれば、問題ない。感染症に相手が罹っていれば、問題だったかもしれないが、ステータスを確認した限り、状態異常はなかった。それに、素手での攻撃であれば、発動しなくとも、そこまでの傷を負うことはないだろう。

 そこまで考え、敢えて何もしなかったのだが、大男は動けなかったと勘違いしたらしい。口元を緩め、ざまあみろとでも言いたげな顔で、こちらを見下ろしている。

 そして数秒静止した後、少し拳を回しながら僕の顔の()から手を退かす。

 結果は成功だった。痛みを一切感じないどころか、風圧さえ感じなかった。目をずっと開けたまま大男の拳を見ていたが、目の前に薄い透明の壁があるようにしか思えなかった。これで、〖絶対防御〗は問題なく発動していることが確認できた。僕はこの成果にかなり満足していた。

 一方、こちらも満足顔で右拳を僕の顔の前から退けた大男は、己の目を疑っていた。数秒前まで満足気だった顔は今や、見る影もなく、醜い憎悪のこもった悪相へと変化していた。そして、一切傷の無い僕を見て、吠える。

 

 「何故、無傷なんだッ。この死ねッ、死ねッ、死ねッ」


 大男は無我夢中で僕目掛けて、拳を振るう。

 しかし、数秒間に数十発振るわれたその攻撃は、一切動いていない僕に一つたりとも当たることはなかった。

 僕はこの期待以上の性能に、頬を緩めずにはいられなかった。しかし、傍から見れば、殴られている子供が笑っているのは可笑しな状況、いや奇怪な現象だろう。それは、大男も感じたようだ。

 

 「お前、何故笑っている?」


 大男の顔には、先程までの憎悪はなく、今は恐怖で溢れていた。何度殴っても、傷つけられず、剰えその相手が笑いだしたのだ。恐怖を感じずにはいられないだろう。しかし、そんなこと僕の知ったことではない。盗賊相手に慈悲をかける必要もないので、恐怖で攻撃の手を止めてしまった大男に、更に追い打ちをかける。

 

 「〖威圧Ⅹ〗」


 スキル〖威圧〗 それは、〖恐怖耐性〗等の精神異常無効系スキルを有していない者にとっては、絶大な効果を与える。〖威嚇〗スキルと誤解されることがあるが、〖威嚇〗は自分の身を守るための防御系スキルに分類される。一方、〖威圧〗は相手を押さえつける、恐れさせるなど、攻撃系スキルに分類される。

スキルレベルがⅠであれば、幼児が起こった程度の全く意味をなさないものであるが、Ⅲで大型犬の威嚇程度。Ⅴで猛獣(主にライオン、トラ、オオカミ、クマ等)、Ⅶで大型魔獣、Ⅷで(ドラゴン)と言われている。

 そんなスキルの最大レベルⅩを食らったのである。普通の人間が(ドラゴン)と出くわすと、失神状態や、放心状態になるという。訓練を積んだ騎士ですら、失禁した者もいるという。そんな(ドラゴン)以上となると、(りゅう)や神くらいなものである。

 そんなもの相手に、たかが下端の盗賊が抗えるはずもない。故に大男は死んでしまった。

 別に殺すつもりはなかった、などと言い訳をするつもりはないが、本当に殺すつもりは皆無だった。もうすぐ、学園の入学試験なので、人殺しなどをして気分を悪くしたくない。

 相手が盗賊であったこと、自分が攻撃されたことを踏まえると、別に殺していまっても、さして問題はないが、やはり7歳で人を殺めるというのはあまりよくないような気もするが、今更悔やんでも仕方がない。

 幸いと言っていいのか、血が出なかったことで、そこまで気分が悪くなることはなかった。が、死体を見て楽しむなんて趣味はないし、気分も悪くなりそうなので、さっさとアドルクス家(うち)の警備隊か街の衛兵に引き渡そう。

 そう決めると、急いで準備にかかる。未だ目を覚まさない2人には先程のようなことがないように、拘束魔法をかける。僕が使えることになっているのは、火属性、闇属性、時空魔法のみなので、闇属性七段魔法〘闇束縛(ダークリストレイン)〙を使い、2人を再度拘束する。

 時空魔法を使えば、3人位簡単に運べるが、そんなことをすると、MPの量の隠蔽がばれてしまうので、3人を放置し、人を呼びに行くことにした。念の為、闇属性の結界を張っておくのも忘れずに。

予想以上にこの話が長くなってしまっています。早く終わらせて、第3章に入りたいのですが...もうしばらくお付き合いください。

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