表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/47

第20話 続行と盗賊

遅くなりました。この第20話で第2章を終わらせるつもりでしたが、書いている途中で、過去に戻ってしまったので、第2章まだ続きます。

 紅葉のオーラは数秒で2倍程に膨らんでいた。どうやらこの〖補助技術向上〗というスキルは、対象の力を増幅させることができるようだ。

 黄烏が翼を戻すと、紅葉は黄烏に一言労いの言葉をかけ、すぐに魔法を発動しようとした。

 しかし、紅葉が()を開こうとした時、それよりも先に怠惰の魔王が()を開いた。


 「なかなかやってくれるじゃないか。三足烏共...だが、この程度の結界...〘圧迫破壊プレッシャーデストラクション〙」


 怠惰の魔王の魔法で、結界が内側から見えない圧力に耐え切れなくなったかのように、弾け飛ぶ。

 あれもまた、風属性の上級魔法だ。空気の圧力で対象物を破壊する。なかなかの強敵のようだな。流石は魔王と名乗るだけはある。短時間ではあるが、加護持ちの瑞獣の眷属2体が張った結界を、いとも簡単に破壊するとは...


 「鳳凰様、お下がりください。」


 黒烏がそう言いながら紅葉の前に立つ。白烏、赤烏、青烏、黄烏もそれに続く。

黒烏達も予想外だったのだろう。自分達が張った高密度結界をああも簡単に破壊されたのは。表にはそれ程出ていないように見えるが、先程までより慌てている。しかしそんな中、紅葉は普段通り冷静だった。これも想定内だったのかもしれない。黒烏達に次の対応を迅速に伝えている。


 「次は全員で結界生成、できるものの中で最上位のものを。」

 「御意」

 

 主人の命を受け、次の行動に早速取り掛かる三足烏5体。すぐさま結界の生成に取り掛かる。

 紅葉は怠惰の魔王へと向き直り、単身で立ち向かう。怠惰の魔王は先程までの赤烏、青烏との戦いで、それなりにMPを消耗しているものの、未だ紅葉のMP総量を上回る。更に回復もしているようだ。

 対して紅葉は、先の魔法の不発分のMPを消耗してしまっている。かなり高位の魔法だったのだろう。回復はし始めてはいるが、5分の1程が減ってしまっている。

 手助けをすることを考えなかったわけではない。しかし、今まで会話をした相手を殺すことを一度しかしたことがない僕では、足手まといになりかねない。






◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎     ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎






 初めてトレーニングで、獲物を狩りに行った際〖言語理解Ⅹ〗を常時発動にしていた為、獲物の言葉まで理解してしまった。結局その獲物は狩ることができず、〖言語理解Ⅹ〗を解除してから狩りを再開したが、やはり気分が悪かった。生まれて初めて見る生き物の生々しい血液。

 前々世では家に籠っていたし、前世では生き物を殺す経験など滅多になかった。殺めてしまったのも、小さな虫などで、それも自発的ではなく偶発的に起こってしまったことだった。蚊などは、自発的に殺すこともあったが...

 鶏や豚、牛、羊などの動物の肉等は食べていたが、自分で屠殺した経験はなく、魚は自ら獲ったことはあったが、その時はほとんど抵抗を覚えなかった。料理は同年代の男子と比べれば、両親が不在のことが多かった僕は、比較的得意な方ではあったが、それでも出てくる血の量など微々たるものであった。

 しかし、この世界では違う。身を守る為に戦わなければならない。

 初めて狩った獲物は兎だった。魔物ではなく普通の野ウサギだ。初めに狩ろうとした兎は声を聞いてしまい、その悲痛な訴えから仕留めることができず、逃がしてしまった。次に見つけた兎を、意味は分からなくとも声を聞くのが怖かったので、気配を最大限まで殺し、気付かせる間もなく仕留めた。それでも、自分の手で生き物を殺す感覚は簡単に忘れられるものではなく、忘れてはいけないものだと感じた。

 自分と同じ命あるものの未来を潰し、これからを無くす背徳感。殺めた後に来る決して離れようとしない蟻走感。これを糧とし、殺めたものの分まで生きようと思う使命感。

 様々な感情、感覚が生まれた。しかし、この世界には、魔物や魔獣が存在する。相手を殺める度にこのような感覚に襲われていては、すぐにこちらがやられてしまう。

 この感覚を感じなくなるよう僕は毎日狩りをした。その度に同じ感覚に襲われた。

 いったいどれだけの数の命を頬むって来ただろうか。やがて、僕は殺すという行為に慣れてしまった。初めて生物を殺めた時の感覚はもう、微塵も感じなくなった。しかし、それは相手が言葉の通じない動物や、魔物、魔獣だったからだ。

 家を発つ数日前、いつものように家の近くの森で訓練していると、今までは人の気配が全くしなかった洞窟から、数人の人の気配を感じた。

 気配を消し、洞窟の近くで魔法を発動させる。風属性八段魔法〘聴覚転送ヒアリングトランスファー〙。その名の通り、聴覚を転送する情報収集系魔法だ。イメージ的には、耳だけ飛ばす感じである。

 聞こえてきた会話の内容から、連中が盗賊であることが分かった。人数は3人。

 父に話せば、衛兵を寄こしてくれただろう。しかし、逃げられる可能性もある。そこで僕は、盗賊を捕らえることを決意した。

 洞窟は謂わば大きな密室である。出入口は目の前のここしかないことを、僕は何度も此処に来ているから知っている。

 盗賊は殺めても罪にはならないが、幾ら相手が盗賊といえども、自分に危害を加えたわけでもない者を殺すのはさすがに躊躇われた。そこで、相手を殺さず、瞬時に無力化する方法として、一番簡単な「眠らせる」という方法をとることにした。

 使う魔法は、闇属性十段魔法〘強制睡眠(フォースドスリープ)〙。睡眠系魔法では、そこまで強力なものではないが、人ならば数十分は起きることはない。

 魔法を洞窟の最深部に発動すると、数秒でガスが出入り口まで出てくる。洞窟内で、盗賊たちの慌てる声が聞こえたのも束の間、すぐに呻き声が3つ聞こえた。続けてドカッという音も3度聞こえた。それを確認し、完全に魔法によるガスが外に出きった後に、僕は洞窟に入った。

 慌ててに外に出ようとしたのだろう。然程広くない洞窟ではあるが、最深部十数ⅿの場所で会話をしていた3人が、そこから数ⅿ先で出入り口の方へ向いて倒れている。

 取り敢えず、【アイテムボックス】に入れておいた縄で3人を縛った。盗賊は、男三人組で、1人は小柄で、恐らく偵察係だろう。スキルも偵察に向いたものばかりだ。1人は普通並みの体系で、鉄製の片手剣を携えていた。そして残る1人は、筋骨隆々で厳つい顔のスキンヘッド、如何にも盗賊の頭という感じの大男だった。大男が倒れている傍に、巨大な、僕の伸長を超す程の両手剣が落ちていた。恐らく大男のものだろう。

 男たちを縛り終えた後、身体検査をする。小柄の男の腰には古びたウエストポーチがあり、中を見ると、数個の魔石とエイヴィスティン王国の硬貨が数枚入っていた。魔物や魔獣の体内にある魔石。強ければ強い程、魔石は大きくなるといわれている。此奴らはステータスを見る限り、中々の実力の持ち主だったようで、盗賊としてそれなりに稼いでいるようだった。

 2人目の男は懐に、毒の塗られたナイフを隠し持っていた。他には何も持っておらず、ステータスでMPが他の2人より高かったので、他は【アイテムボックス】に収納しているのだろう。

 大男は腰に布袋を提げていた。中には、魔石と硬貨、宝石が入っていた。小柄な男が持っていた魔石の数段大きなものもあり、この大男の実力が窺える。硬貨も小柄の男より額が多く、宝石も数個持っていることから、此奴がリーダーで間違いないだろう。

 取り敢えず、3人を縛り、所持品を全て没収し、自分の【アイテムボックス】にしまう。洞窟の出入り口まで、3人を引き摺りながら運んでいると、大男が目を覚ました。 

次回投稿は明日を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ