第二十八話 詠唱
「クソッ横からも来やがった!!」
「誰か、回復を!」
様々な声が聞こえる。前方から来たと思ったら、横からも来た。しかも相手は魔法での遠距離攻撃。迂闊に近付かない。
これじゃ全滅してしまう。一応、俺は雇われているんだ。逃げることは許されない。とりあえず、どうにかして近づいて、魔法を撃ってきている奴らをぶっ殺さなくては。そういえば、嵐はどこ行った?
周りを探すが、姿が見当たらない。俺の近くに居たはずだが、もしかして死んだ?
いやいや、周りには魔法をモロに喰らって焼き死んでいる奴が、多いが嵐がそう簡単に当たるとは思えない。
だが、姿が見つからないのだ。最悪の場合、死んでいる。
とりあえず、嵐はタフそうだから、生きてるだろう。しかし、どうやってこの状況を打破しようか?
爆式ナイフはゴーレムに全て使っちゃったし、ライトニングはまっすぐ飛ばないし…接近戦しかないか。
だが、どうやって近付く?囲まれているも同然なのに気付かれずに、接近することは、ほぼ不可能。なら、突っ込むか。
近くの魔法使いを発見し、突っ込む。急接近して来る俺に気付いた敵は、俺に魔法を撃とうと詠唱を開始するが、撃たれる前に首を跳ねた。
別の魔法使いを見つけては接近して殺していく。馬があると便利で助かるな。
反対側でも俺と同じことをしていた奴が居たらしく、数人の魔法使いが倒れている。
あ、また一人倒れた。ん?近くにいる奴は…嵐かあれ。やっぱり生きてたか、まぁそう簡単に死なれちゃ困るけどな。
魔法使いを数人殺していったところで、味方が遠距離攻撃がなくなったことにより、手前の方と戦っている。
ようやく、勝負が着いたか。もう魔法がトラウマになりそうだよ。
数時間後、この連中を指揮していた立候補者が見つかり、すぐに殺害されたらしい。これにより、雇われて居た奴が投降し始めた。
「…捕虜は200人。こいつら信用できるの?」
「出来る、出来ないで言ったら出来ない。だけど使えないことはない。それよりも、あなたが算術が出来るとは思いませんでした」
すでにテントを出している俺に頼まれたのは、捕虜の数を数えるといったものだった。俺は捕虜の数を数えるのに算術が出来るという理由で、任されていた。数えるのにかなり苦労した。十人で固まれと言っても、捕虜が十人がどれくらいか分からなくて、結局一人一人数えていった。
しかし、日本ってかなりすごかったんだな。読み書き、算術が出来るだけでこんなにすごいと言われるとは…思ってもいなかった。
嵐は今回も血だらけになって帰ってきたので、俺のフードを貸してやった。女の子が血だらけとか、そんなホラー演出、普通にビビるだけだから血だらけになってほしくないのだ。
「「さっきの戦いもありがとうございました!!」」
昨夜の男達にお礼を言われてしまった。しかし、昨夜と違い何人かいない。言及はしないがそういうことだろう。
「いいよ、別に仕事をしただけだし。それよりも、レベルの平均ってどんな感じなの?」
「レベルですか?確か傭兵なら30とかですよ」
「ふーん。俺よりもレベルが高いのか…じゃあどれぐらいスキルを持ってるの?」
「スキルは…私は三個ですが、多い人だと五個だとか聞きます。英雄や勇者や王族等はたくさん所持出来ると聞きます」
スキルってポンポン取れるもんじゃないの?とりあえず、ポンポン取れることは隠しておくか。
「ありがとう。あとは…どうやったら魔法はまっすぐ飛ぶんだい?」
「そんなの簡単な話ですよ。神に捧げる詠唱を唱え、放てばまっすぐ飛びますよ」
詠唱が必要だったのか…てか神に捧げる詠唱って、神を信じてないのにどうしろというんだ。
「君達には本当に助かるよ。じゃあ」
「ええ」
詠唱ねぇ…格好いいでも考えておくか。
そう思いながらテントに戻ると、嵐が待っていた。
「剣貸して」
「え、別にいいけど」
どうしたんだこいつ?意図が読めないが、一応剣を渡そう。
「そっちの短剣も」
「あ、はい」
嵐が受け取った剣を見て、俺を恨んできた。
「ごめん俺何かした?」
「こんなボロボロになるまで使って…信じられない」
恐らく刃こぼれのことだろう。こいつ刃物に対しての愛情が重いやつだ。
「すみません」
俺はとっさに土下座をする。
「そんなもので許されると?」
あ、これあかんやつや。これは暴走した鉄オタのように扱うのが難しいパターンだ。
「次からは、一本一本を大切に愛で使わせて貰います。ですので何とぞ命だけは…」
「…分かった許す」
よかった。許された。あっぶねぇ殺されると思った。
「でも、今度やったら殺す」
俺に人権はないんだろうか。と思いつつ寝ようと、すると仲間の一人が止めてきた。
「お疲れのとこ悪いけど、今日は見張りをしてもらうよ。そこの嬢ちゃんも」
「すみません!今行きます!」
「もう立派な男なんだから、しっかりしてくれよ?」
そいつの顔は笑っていた。こいつ面白くない冗談を言いやがって…やるか。
「ほら、嵐。さっさと行くぞ」
「分かった」
「お前らの持ち場は姐さんがいるから分かると思うぜ!」
「姐さん誰?」
「褐色のゴリラ女だよ」
あの人か。
「分かったありがとう」
姐さんがいるところまで、走っていった。見張りのことをすっかり忘れていた。
「遅れてすみません!」
「おー遅いぞ!イチャイチャしてんじゃねぇ!」
「嵐とはそんな関係じゃないです…とりあえず、ここで見張りをしていればいいんですね」
「そうだ。交代は2時間後だ。お前達と交代するのは、あそこのテントにいる奴だ。まっ頑張れ」
その後何事もなく、テントの中へ戻れた。
半月頑張ったから、次回は8月とかです。 誤字が目立つので逐次修正していきたいと思います。
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