第二十六話 就職
魔法陣を踏み、視界が真っ白になり、次の瞬間少しくらい個室みたいな所にいた。やっぱり外に出るようの脱出ルートだったらしい。
辺りを調べて見ると、ちょっと見えにくいが石碑があった。一応読んでみるか。
石碑の中身は「無事我が化身を倒した者よ。残念だが少しばかり罰を与えた。御主らは恐らく、故郷には帰れぬ。ここ我が国から反対に位置する所。御主らに武運があらんことを…」だった。
反対側ってことは、翔達を取り返しに行くのにかなり時間がかかる事になってしまう。でも転移魔法とか使えば行けるか。とりあえず、ここを出よう。
あっさり出口は見つかった。外に出た時、空気を吸いたい物だよな。と思いつつ空気を吸うと、血と焦げ臭い臭いを感じた。
近くて戦闘でもあったのかな?まぁ近付かない方が良さそうだ。
「嵐。やばい臭いはどこから来てる?」
「後ろから」
「よし、じゃあ前進だ」
うん、やっぱり関わりたくない。
「まだ、戦闘は続いてる。負けてる方を助けたらお礼をしてくれるんじゃない?」
確かにそうだが…強すぎるスキルを持っていたら負けるのはこっちだけど、ここが反対側だとしたら情報が欲しいしな。
情報がやっぱり欲しいな。やることは簡単、勝てばいいのだ。
「行くぜ、嵐。人助けだ」
戦闘をしている場所にはすぐに着いた。今押されてるのは…右の方か。というか、どっちも人じゃねぇか。まぁやることは変わらないけど。
「左の方を潰す」
「分かった」
押してる方の中心から接近していき、嵐が入らない前に『現夢』を決める。これで数人は行動不能だ。そして、嵐が左、俺が右と別れて奇襲する。
いきなり横から現れて、困惑している時の首を狙っていく。だが、さすがにやりすぎると相手はこちらを攻撃してくる。対人戦はしたことがないが、ゾンビをたくさん殺してきたからか、ある程度は動きが読める。
短剣で相手の剣を防ぎ、接触して『現夢』を使う。そして、ある程度敵は分かっているので、俺の命令に従うように夢を見させ、現実として押し付ける。これで、操り人間の完成だぜ。
次々と接触していっては、操り人間を作っていく。今まで味方だった奴が、バッサバッサと斬り殺していく。いきなり敵と化したんだそりゃ対応が遅れるよな。
数分後、右側の敵はずいぶんと片付いた。そこで、押されていた人の何人かがこちら側に向かってきた。
「貴方の助太刀に感謝します。出来れば、全滅させたいのですが…」
そう先頭の褐色肌の女騎士が言ってきた。
「ああ、俺の仲間が今やってるから。手助けしに行ってほしい」
「分かりました」
しかし、操り人間を増やし過ぎた。俺は一旦休憩するか。残りのやつは操り人間に任せようじゃないか。
数十人の操り人間を左側に向かわせ、俺は休む。
数時間後、すべての敵を片づけ、血だらけの嵐が帰ってきた。
「お疲れ様」
「これあげる」
嵐が持っていた。何かを俺に投げる。その何かは誰かの首だった。
「偉そうな人の首を取ってきた」
「いや、いらねぇよ」
「…そう」
いや、何シュンとしてんだよ。まぁ、首を取るために頑張ったのだろうか?気持ちだけ貰っておこう。
「いや、その気持ちだけ貰っておくよ。頑張ったな」
しかし、そろそろ操り人間を操るのに疲れてきた。邪魔だし、処分しておくか。
操り人間が持っていた武器で、首を自ら斬らせ、絶命させる。
「お疲れの所すみません。主があなた方を呼んでいます」
さっき話しかけてきた女騎士がそう伝えてきた。
「それじゃ嵐。行こうか」
「うん」
「では私に着いて来てください」
誘導され、豪華な装飾をした馬に乗っている若い男の所まで来た。
「貴方達が、私達を助太刀に入ってきてくれた人ですね。さきほどはありがとうございます」
「ねぇ、何て言ってるの?」
嵐には何て言っているか分からないのか。
「めんどくさいから、ちょっと静かにしてて」
嵐に一言言っておいて、俺は返事をする。
「まぁ、たまたま近くに居たからな」
「そうですか。ところで何故ここに?」
「転移陣を踏んだらここに」
「転移陣?まぁそこは置いておきましょう。あなたたち…こちらの陣営に入りませんか?」
「残念ながら、ここら辺のことは知らないんだ。ちょっと説明を頼む」
「分かりました。しかし、我々は移動している最中なので、移動しながら話すこととになりますが、いいでしょうか?」
「別に構わない。…嵐行くぞ」
俺達は馬に乗っている人の隣を歩きながら、説明を聞く。
「まず私は選挙の立候補者の一人なんですが、別の立候補者が私を殺そうとしてきまして…さきほどのように度々襲われるのですよ。そこで、素晴らしい腕を持ったお二人を雇いたいと思いまして…お礼はしっかりとしますので」
「雇われるつもりはない。後、さっきの礼をして貰えればいい」
「では、どのようなものがよろしいでしょうか?」
「この国の情報と魔王の居場所」
「魔王?そんなものたくさん居ますよ。まぁ各国の首都にいるのではないでしょうか。それとここはジルブラット共和国と言います。巨大な川、ゾアンマがあるとこで有名なんです」
「なあ、嵐。ゾアンマって知ってるか?」
「…知らない」
「そうか」
反対側ってのは本当らしいな。これは大変なことになったぞ。てか、魔王っていっぱいいるんだな。
「情報をありがとう。後街の方向は分かるか?」
「ここら辺に街はないですよ。我々は後で通りますが」
「…じゃあそこまでの契約をしようじゃないか」
「そうですか…ところでお名前は?」
「俺は…ハンスだ。んでこっちが嵐」
偽名を使えって言われたから使っておく。マイケルとかの方が良かったかな?
「では、ハンスさん、嵐さん。よろしくお願いします」
こうして、俺達は傭兵となった。
今回は割と名前に困ってたんで国名がああなってます。後爆式を付与したナイフを、爆式ナイフと今度から呼称します。
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