第十八話 会敵
扉を開けた先は、だいぶ前に襲われた痕跡がある街だった。しかも天井は岩のはずなのに、昼間のような明るさがある。
夢の中で見たところと酷似している。違う部分は、死体がない事だろう。恐らく、獣にでも喰われてしまったのだろう。つまりあの夢が本当だとして、過去に当たる訳だが…俺は未来では、過去に行けるようにでもなっているのだろうか?他に考えられる事は、別次元、一部の空間だけ時が止まっている、そもそも別の場所、ぐらいかな。あの夢の謎が深まるばかりだ。
少し歩いても、何も見つからない。逃げていった時に、使える物は、全部持って行かれてしまったからだろうか?ロープとかが欲しかったのにな。もう少し探索してみよう。
家の中とかを調べていると、腐った匂いがしてきた。死体はないはずだから、匂いはしないはずなんだがな。危なそうだが、もうちょっと探索してみよう。
「嵐。なんか腐った匂いしない?」
「最初からしてた」
じゃあこびりついた匂いがまだ残っているだけなのかな?だったら問題ないか。
そう思い家の外へ出ると、ばったり人と鉢合わせてしまった。もしかして、ここを襲った人だろうか?とりあえず謝ろう。
「すいません!今度からは気をつけます!」
そして、相手を見る。ここまでは順調だった。出会ってしまった相手が問題だった。相手は…ゾンビだった。
「クロカミィィイ!コロスゥゥウ」
何でいきなり殺すと判断したのか分からないけど、戦うしかなさそうだな。
相手は素手。ゾンビって噛まれたら感染するんだっけ?とりあえず距離を取ろう。
一歩下がる。相手は俺に掴みかかってきたので、腕を切り落とす。死臭がキツすぎて、戦いにくい。
腕を一本切り落とされても、俺に、掴みかかろうとしてくる。下がりながら、もう一本の腕を落とす。相手は掴むのを諦めたのか、口を開けて噛み付こうとしてきた。リ○ナラかよ。
噛み付こうとしてきているので、腹を蹴り、怯んだ所で頭を斬った。
そして、相手は痙攣してから、動かなくなった。
「あっ最初から「現夢』使っておけばよかった」
嘆いた所でしょうがない。使わなかったものは使わなかったんだ。
そこで嵐が口を開けた。
「そいつに幻術は効かない」
「え、何で?」
「そいつ、魔獣と同じだから」
魔獣と同じって事は、こいつ一回死んでるって事?でもゾンビだから、一回は死んでるのか。この世界の魔獣の概念は、死んで生き返った奴ってこと?じゃあ何で獣と付いているんだ?復活した後、獣のようになるからかな?まあどうでもいいや。
それよりも、さっきの発言が気になる。あの言葉を簡単にすると、黒髪=殺すになっている訳だ。つまり、個人的に黒髪の奴に恨みがあるのか、殺した奴が黒髪だったとかかな。後者だと考えると、ここを襲ったのが、黒髪の奴と考えるのがセオリーだろう。そして、殺されたのが、少なくとも1年前だとして、俺達はいない。つまり犯人は、前に召喚された奴か、そもそも黒髪のやつとなるのか。
どちらにしろ、迷惑な話だ。
とりあえず敵が死人であることは分かった。普通に痛みとかは感じてくれなさそうだ。ならなるべく、接触するのは良くないだろう。今回は一体だったが、次は数十体かもしれない。そして、噛まれたら感染して終わりという事か。絶対に集団で来られたら終わる。
嵐が何かあったのか聞いてきた。こいつ家の中にいて気付いてなかったな。もうちょっと警戒しろよ。
とりあえずまだ探索したい。時間はまだあるし、大きい収穫もない。いや、敵が分かっただけ、大きい収穫なのかもしれんが、一応探索を続ける。
途中、何体かのゾンビを見つけたが、見つからずに移動できた。こいつら耳が悪いのかな?とりあえず、この都市の中心地に行きたい。そこなら何かしらの情報があるだろう。
しかし、時間はあっという間に過ぎていき、夜辺りになったら近くの家に入るといった行動を取る事にした。中心地を早く見つけたい。
とりあえず、行動を縛るために、目標を立てる。第一目標が現在地の特定と山道への戻り方、第二目標はここからの脱出と武器の回収である。
脱出の順位が低いのは、例え直ぐに脱出したとして、隣国に行く方向が分からなかったら進めないからだ。適当な方向で歩いて行たらいいが、最悪連邦に戻ってしまうだろう。それだけは避けたいので、脱出の順位は低い。まあ、脱出の重要性が低い訳ではないのだが、上の二つの重要性が高すぎるのだ。
武器の回収というのは、現在の手持ちの武器が破損、もしくは損失した場合の保険が欲しいからだ。
今はこの目標だけで問題はないだろう。欲しかったら付け足せばいい。
出口を見つけないと、食料不足であの世からのお迎えが来てしまう。残り時間は限られてる。
明日に備えて早く寝よう。おやすみ。
一旦設定挟みます。
人族…人間、エルフ、ドワーフが該当する。
魔族…獣人、魔人、鬼人が該当する。
獣、生物…犬、精霊、ドラゴンが該当する。
魔獣…アンデット系、魂が憑依した物が該当する。
人工生物…ゴレームが該当する。
とこんな感じです。ちなみに、魔王軍は大半が魔人で構成されており、他は、義勇兵の人間や獣人です。
まあ、これが連邦の基準です。もしかしたら実際は違うかも、しれません。
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