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第十一話 山登り

王都から辺境の村まで行くのに2日もかかってしまった。理由は馬車で隣街まで行き、そこで転移したからである。


途中で、最初から転送してくれれば良くね?と思ったが、死人が出た後で転送すると、怪しまれて逆探される可能性があるから、馬車で移動したらしい。ちゃんと考えていけるようにならないと、この世界で俺一人じゃ生きていけない。

いや、俺達か・・・俺以外にも、いるんだ。違った道に進まないように、俺が引っ張っていかなきゃいけないんだ。俺に失敗は許されない。ゲーム感覚で人を殺したとはいえ、自分の命までゲーム感覚で失う訳にはいかないのだ。


今は村の宿に泊まって、睡眠を取っている。基本的に山登りになるためある程度力を残さないといけないからだ。しかも、山の標高は4000メートルから5000メートル級の山脈が連なっている。


我等が日本で一番標高が高い山は富士山で3000メートル級。明らかに差がある。ルートによっては、標高は高くないらしいのだが、危ない所を歩くらしい。それに対し、標高が高い所を通るルートは比較的安全らしい。


まあ、選ぶルートはこの二つの内どっちかだが安全な方を行きたいので、後者のルートにした。けれど、そもそも登るのが大変なので、こうして寝ている。

奴隷商人が雇った人たちがサポートするのはここまでらしく、お金と食糧を置いて帰ってしまった。

個人的にはかなりサポートしてもらったと思っているので、感謝が絶えない。


登山具は持っていないが、安全なルートを通るから、そんな心配はいらないだろう。しかし山は絶対に寒いし、テントもなしで寝るわけにもいかないので、2人分の防寒具とテントを買っておいた。

テントは2人用のでかいやつでも良かったのだが、襲われる心配があるので見張りが必要で交代しようと思っているから、別に1人用でもいいと思ったからである。


しっかり睡眠を取り、貰ったお金で、保存食と水を買って行って、山へと向かった。装備と水以外はアイテムボックスに入れて行ったので、軽くて気持ちがいい。山には何回か登ったことがあるが、富士山は嫌いだ。あの山は急だし、地面がゴロゴロしていて、草木も全くないのでどうも好きになれない。


その分日本アルプスの山々は、急なところは急だが、ほとんど緩いし地面もゴロゴロしていない、草木も途中までちゃんとある。まあ、年間死亡者が出ているが。


最初は山登り以外に道はないのか探ったが、そんなものはなかった。まあピクニックとでも思えばいいだろう。何日かかるかわからないけど。



登山中、魔獣を見つけたが、襲ってくる様子は見せてこなかった。あいつらから関わってこないのは幸いである。

けれど登山中は暇なので、ケモミミっ子に話してみることにした。仲良くなっておいた方が、お互いに気持ちがいいからな。逆にギスギスしていると俺が鬱になりそうだし


「そういえばまだ名前を聞いてなかったな。お前の名前はなんて言うんだ?」


「嵐。私はあなたの事をまだ信用していないから」


おっと、ひどい。でも名前は言ってくれたってことは、完全には信用してないってわけではなさそうだ。


「そうか、じゃあお前が噛み付いていた時、俺が信用しろって言って口を離したんだ?」


一瞬、嵐が止まる。覚えていないわけではなさそうだ。


「だから何?あの時はあの時。今は関係ない」


「そっか、まあそうだよな。でも俺はお前の事を信用する。ちゃんと本当の事を言っているみたいだし」


ここで嘘を言っていたら、俺は完全に嵐を信用していなかっただろう。本当は奴隷商人から名前を教えてもらっていたので、さっきのセリフはいらなかったのだが、いきなり名前を呼ばれると、なんやこいつと思われるから、ちゃんと不信感がないようにするために、言っておいたのだ。


この世界で信用できるのは、今は俺だけだ。あの奴隷商人は違うのかと聞かれると、あいつは別だ。あくまで商人との契約は金で成り立っているのだ。懸賞金目当てに俺を売るなんてことは商人としてもあり得ないだろうが、心配ではある。

だから今は1人でも多く、俺が信用できる仲間が欲しいのだ。このため、嵐との友好関係を築き上げるのは、必要不可欠だと思う。


あれから、俺たちは全く話すことはなく。ただ、最初の山の頂上に行っただけで終わった。やっぱり山の上の景色は素晴らしい。しかし、進行方向を見ると

延々と山が続いている。食料はこれで足りるのかと心配になってきたので、今後から節約することにした。


アイテムボックスからテントを取り出し、早速立ててみる。簡単に立てられたのでよかった。その後、二人でご飯を食べた。この世界はまだ技術が進んでいないので、缶詰ではなく、干肉が主食になりそうだ。その辺の虫を食べようか迷ったが、度胸がなくて、やめた。


ご飯を食べ終えると、すっかり夜になっていたので、嵐を寝かしておいた。嵐は俺に寝ないのか聞いてきたが、途中でお前と交代する大丈夫と言った。嵐は何かを言いたげにしていたが、すぐにテントの中に入って寝てしまった。


さてどうしたものか、どうやって夜を過ごそうか。とりあえず今後の予定を考えよう。


この山脈を抜けた後、そこにあるだろう国で何をするかだが、このまま世界を回ってもいいかもしれん。魔王城が陥落したら、噂ぐらい出るだろうし、その時に移動すればいいか。でも、嵐に貴族を殺させるって約束しちゃったし、魔王軍が崩壊しても、あの王は離す気はなさそうだし、行ったら嵐と一緒に殺しに行くか。その後、皆から俺の記憶を戻せばいいんだ。そしたら、皆帰れるし、嵐は貴族を殺せる。いいじゃないか、よしこれで行こう!


後は見張りをするだけか。



とりあえず書けたので出しておきます。


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