第74話〜地上へ〜
(この高揚感は実に久しぶりだな、ネロよ。いつも我は貴様のことをずっと妬ましく思っていたな。だが、貴様を嫌いにはなれなかった。魔皇としての振る舞い、力、そして民を思う心が貴様にはあった、そして冥王たる我にも貴様は……)
そう思いながら冥王エレボスは過去の思い出の余韻に浸る。
何百年、いやどれだけ時が過ぎたか分からないだろう。
ネロ、貴様はかつての仲間に裏切られ魔族となった。
魔族からの迫害は常軌を逸し、誰も貴様に救いの手など差し伸べなかったな。
貴様のことを誰が理解してくれるだろう……
貴様は復讐心を心の中に秘めながらずっと生きていた。
己の力を磨き、魔族の在り方を知り、遂には魔皇へと至った。そんな貴様に、よもやあんなことが起きるとはな……
それから今に至るまで魔族は大きく変貌してしまった。
ネロよ、貴様もだ。心に秘めた物をさらけ出してしまったのだろう……
いつか貴様とまたゆっくり話をしてみたいものよ。
さらばだ、我の英雄、天魔の魔皇ネロよ……
エレボスは少し悲しく思いながら零に視線を向ける。
「あぁ残念だ。ネロよ、もう貴様と会うことすら叶わないとは……だが、貴様を潰さないと世界の危機になりそうだな、完全に力を取り戻さずに貴様と戦うのが惜しい。」
「ケルベロス、もういい止まれ。悪魔の小娘、貴様は地上にいきたいのだな、ニンゲンの娘もだ、この先どうなるかは我にもわからん、だが、この世界の未曾有の危機を救うにはニンゲンの力が必要だ。開け、地上の門よ」
「何をしてる?」
あまりの冥王の行動に俺はそう聞く。
「貴様以外のニンゲンは地上へ還す、不必要な殺生だ。だが、貴様はここで仕留めなければならない。
深淵領域」
俺は漆黒の領域に囚われた。
「どう足掻いても出れんぞ……ここで殺さねばいかんからな」
「どういうこと?レイを出して!」
「貴様らは黙っておれ、ほれ、強制送還へ」
突風が起こりソフィアとリリスを飛ばす。
「レイ!」
ソフィアがありったけの魔力で深淵領域に少しの穴を開ける。
「くそ、外からの攻撃には脆いことを見抜いたか?」
「俺も!煌星神!」
「逃がすか!せめて、魔絶破壊!」
その瞬間紫電がほとばしり零の体を襲った。
「魔族は、魔術に特化している。だからこそ魔族が使う魔術への対策を日頃から考えている。魔術術式と魔術を破壊した。貴様はもう魔術を使えん……これで世界が……」
魔術が使えないだと……
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