番外編、王都ラシルズ、そして
ここは、ニルツ国の王都ラシルズ。無我夢中で行う国の運営、あっと言う間に建国から半年以上。今では立派な建物も並び、ようやく形が整いつつあります。
「拝謁賜り感謝申し上げます、ラシル妃殿下」
朝晩が冷え込み始めた晩秋のある日、やってきたのは、ザムの商人若旦那さん。
わざわざ、軟膏と洗い粉の代金を運んできたとか。
「遠い所、苦労をかけます」
本来ならこちらから出向くところを、というと滅相もないですと首を振ります。
「ニルツ王国、噂の都ラシルズを見たかったものですから」
若旦那さん、にっこり笑います。
そうなのです。都の街並み、至る所に繁栄の呪を施した幾何学文様の美しい庭園。見物のため、他国から人が訪れるようになりました。
また、都の名前ラシルズは、龍人族語で「継ぐ者」という意味。いすれも、後世に長く続いて欲しい願いが込められています。
「ところで妃殿下、ユミル王国のトゥルク訓練校をご存じですか?」
「へ?」
思わず変な声が出てしまいます。
「知っているも何も、私、そこで働いていました」
「それは奇遇ですね。実は今注目しているのです」
若旦那さん、トゥルク訓練校で発明された注目の品を熱く語ります。商人の感で、流行ること間違いなしだとか。
(何か、急に懐かしくなってきた!)
その夜、私は金龍におねだりします。
「ねえ陛下、一度トゥルク訓練校の様子を見に行きたいの」
調べものから目を離し、金龍こちらに向き直ります。
「ラシル、魔方陣を描いてくれぬか? それと、水晶玉の用意を」
「はい?」
魔方陣を描くと、金龍、マス目に龍人語で文字を書き込みます。
「左下からパルバク、アルシュ、ユミルの都。右下からザムの三都市、アマルラ、ラーヴィ、聖地シラ。そして、中段下はここラシルズ、上はアルマー」
魔方陣、右側は赤く、そして左側が青く輝きます。中央にトゥルクと言われ水晶玉を置くと、ラシルズとアルマーのマス目、淡い金の輝き。
「ほう、どうやら良い方向に向かっている」
これなら問題なかろう、とお墨付きがでます。やった~!
「赤龍を連れて行くが良い、但し肉体は置いていけ!」
「え? どういうこと?」
「アルの旦那、お任せあれ!」
「契約に従い地に住まう地主神よ、我が妃ラシルと赤龍、彼らが願う地へ魔方陣により運ぶ事、金龍の名において命じる・・・」
ひぃ~! いつの間にか、自分の体を見下ろしている私。久しぶりの幽体離脱!
「数日で戻るように、あまり長く体を離れるとやっかいだぞ!」
「ちょっと、陛下。こんな事は頼んでないから!」
その言葉終わらぬうち、赤龍と一緒にするり水晶玉に吸い込まれて行きました・・・。




