番外編、冥界からの訪問者?(改)
こちら、幽体離脱で水晶玉に吸い込まれ私です・・・。
「姐さん、姐さん!」
「ん・・・?」
赤龍に起こされた私、気が付けばもう朝。そこは、トゥルク訓練校門の近く。
「ねえ、私どうなっている?」
「う~ん、人の姿には見えないかも・・・」
自分の体を通し、周りの風景が透けて見えます。もう、金龍ったら覚えてなさい!
「でも、この姿だと移動が楽だよ!」
思った場所に念じるだけで行けるとか・・・。
「姐さん、誰か来た・・・」
その男性、幟を多数抱え、訓練校の目の前に一本立てて行きました。
「えっと、ユミル建国五百年の祝い・・・」
そうなのね、折角だからニルツ国としてお祝いを伝えた方がいいのかしら? でもまだ私、お尋ね者? あ、そうか、今は肉体がないから捕まらないわ!
まあ、金龍ったら! 私のことちゃんと考えてくれたのね。さっきまで怒っていたのが嘘みたい、気分が明るくなります。
「姐さん、生徒が登校してきますよ!」
訓練校の物陰から門を眺めます。ちょうど登校時間らしく、生徒達が大勢やってきました。でも、その半分近くが鳥族と猿族の生徒です。
「え? これ、どういうこと?」
それでも気を取り直し、ミサトちゃんとタマキちゃんの姿を探します、会えるかしら? そう思った矢先、見知った顔が私の前を横切ります。
「あ、マリーちゃん!」
思わず声を掛けてしまいます。ま、まずかったかしら・・・?
「い、嫌~!」
途端に大声を上げ、凄まじい勢いで駆け出すマリーちゃん。騒ぎを聞きつけ、門から数人が駆け出してきます。私、慌ててその場を逃げ出します。
「ハアハア・・・」
暫く走ると、息切れでもう動けません。すると、赤龍、
「姐さん、姿見えないから逃げなくてもいいのでは?」
「でもマリーちゃん、私の姿が見えたみたいよ」
「何処へいった・・・?」
数人が、目の前を駆け抜けて行きます。その中に聞き覚えのある声、元護衛隊長さんです。私は壁に張り付いて息を潜めます。
一方、こちらは護衛隊長さん。龍巫女様を見つけたら、密かに匿うようリムさんから依頼を受けていました。でも、そんな事は知らない私、二人の距離はどんどん離れていきます。
「確かに、龍巫女先生を見たのだね?」
訓練校に戻った元護衛隊長さん、マリーちゃんに再び確認します。
「うん、龍と一緒に幽霊が出たの。名前呼ばれて、私もう怖くて・・・」
思い出すだけで震えが止まりません。ラシル先生が、冥界から一年ぶりに戻ってきた! そんな噂が、瞬く間にトゥルク訓練校を駆け巡りました・・・。




