建国宣言
成婚祝いの宴が終わった数日後、いよいよニルツ建国式典が行われます。
「ファラーナ」
「え?」
族長さんの娘さん、旗を持ってきます。
あ、ニルツの国旗です。三つの指輪が重なり、龍人語で文字が書かれています。
そういえば、この言葉どこかで聞いた気がします・・・。
「アルシュの都の名、フラーナですわ。妃殿下」
「へ?」
ルドラさん、丁寧に頭を下げます。突然、妃殿下なんて呼ばれても、ちっともピンと来ません。
「あの、今まで通りラシルさんとかの呼び名で」
族長さんの娘さん、意味が分かるのか黙って首を振ります。そう、ですか・・・。
「さあ、準備は宜しいですか?」
言葉が通じる人もいた方がいいでしょ? と式典進行の予行演習。
今日は、私と族長さんの娘さん、進行係です。手伝ってくださるルドラさん、感謝します。
午後になり村の広場へ。金龍を筆頭に三人の龍の騎士、そして族長さん、正面に陣取り、その周りには大勢の龍人族の人達。
「それでは、これよりニルツ開国式を行います」
私が宣言を行い、族長さんの娘さん、龍人語で通訳をします。
その瞬間、大きな歓声が・・・。
広場中央に進んだ金の騎士、龍人族の言葉で開国宣言を始めます。広場は、ひと際大きな拍手と歓声に包まれます。
「・・ラシルズ・・」
(・・・?)
宣言途中、私の名前呼ばれたような、でも他の言葉は聞き取れません。私の紹介? その後、うっかり忘れてしまいます。もちろん、後で事実を知るのですが・・・。
式典は 恙なく終わりました。残るは、周辺国への親書作成です。宰相となった族長さんが準備し、国王である金龍が国璽を押印していきます。
そして、ニルツ建国を知らせる親書数通、ルドラさんへ託されます。
「お預かりした親書、必ずパルバク王国とユミル王国に届けます」
そう言って 恭しく頭を下げます。
「小国は、それなりに外交で知恵を絞らないとね」
あの二国に先んじることが出来たのは、ラシルさん、いいえ、ラシル妃殿下のおかげですよ、とルドラさん。
式典の終了を皆で祝った後、ルドラさんを見送ります。
「使者を伴わせよう、青龍!」
「は! 承りました」
「ルドラさん、遠くまでわざわざありがとうございました」
これでお別れという訳ではないけれど、手を振る私、熱いものがこみ上げます。
「金龍陛下、ラシル妃殿下、落ち着いたら是非わが国へ。国賓としてお迎え致します」
そう言ってルドラさん、青龍の背に乗り広い草原の空へ。青々と茂る豊かな草原、柔らかな夕日が注ぐ中、その姿小さくなり彼方へと消えていきました。
「命を継ぐ者 (ラシル)の旅-逃亡編」、最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。これで終了となります。よろしければ番外編をどうぞ。




